青森山田の前線で一際献身的に走り、模範となる“寮長”。FW石川大也は「誰からも応援されるような選手に」を貫いて”恩返し”を目指す

青森山田高FW石川大也(3年=足柄FC出身)がスペースへの抜け出しを狙う
 人一倍の責任感を持って走り、戦っている。FW石川大也(3年=足柄FC出身)は青森山田高の2トップの一角を担うストライカー。「自分は身長(登録172cm)がデカい訳ではない。で、何ができるかって言われたら、やっぱり足動かして、走って、チームのためにやるだけなんで。チームのためにっていうのをやっぱり自分は思ってやっている」。特別なサイズがないが、ハードワークすることでチームに貢献している。

 インターハイでは、旭川実高(北海道1)との初戦で前半3分にいきなり先制ゴール。GK松田駿(2年)のロングフィードがDFライン裏へ抜けたところを逃さず、左足ボレーでゴールへ突き刺した。

 さらに7分にもFKのセカンドボールを回収し、右足の弾丸ショットで2点目。チームを勢いづけた。だが、その後は敗れた準々決勝まで無得点。石川は得点できなかったことよりも、自分がやるべきことを徹底できなかったことを反省する。

「(大会序盤に連続得点したことで)逆に点を取る、点を取るっていう風になってしまって、その他の部分が少し疎かになってしまった。やっぱり自分は点を取るだけじゃなくて、しっかり謙虚にやることが大事」。正木昌宣監督からもその点を指摘されたという。まずはチームのために走ること、戦うこと。原点に立ち返ってプレーすることで、現在はチームに良い影響をもたらしているようだ。

 石川は神奈川県の湯河原町立湯河原中で中学3年夏までプレーした。選手権で活躍するという強い思いを持っていた石川は、青森山田への進学を熱望。地区トレセンで面識のあった足柄FCの大久保智史監督や、青森山田OBで元同校コーチの大久保隆一郎クラブアドバイザーのサポートもあって青森山田進学を決めると、中学サッカーを引退した夏から冬まで足柄FCで自分磨きに励んだ。

「覚悟を決めないと、ほんとに潰れていくだけ」と特別な思いで努力。青森山田では今年、シーズン開幕をセカンドチームで迎えたが、「自分、ほんとに悔しくて」「自分が今までやってきたことをもっと磨きをかけて」チャンスを掴み、5月の昌平高戦でプレミアリーグEAST初先発を果たした。その試合で同点ゴール。6月の川崎F U-18戦でもゴールを決めるなど先発出場を続けている。

 青森山田では、サッカー部寮の寮長として120名もの寮生の模範に。「まずはルールを守るとか、そういう当たり前のことをしっかり寮生活でもやる。やっぱり信頼を得る。そこはやっぱり自分が模範となるべきだと」考えて実行している。

 その石川について、チームメートのDF山口元幹(3年)は「サッカー中も自分にこう、ベクトル向けてというか、ほんとに献身的に、ほんといつも一番チームでやっていて、やっぱりどんな時でも声出しますし、走ってくれるんで、ほんと後ろから見て凄い、助かっています」と説明する。チームメートも認める献身性の原動力は中学時代にあるという。

「中学校時代のサッカー部のスローガン的な感じで、『誰からも応援されるような選手』っていうのがあったんで、『誰からも応援されるような選手』は、私生活の部分で抜けてないところであったり、プレーで示せるような選手だと」。石川は湯河原中時代からその姿勢を貫いている。

 もちろん、得点することから目を背けている訳では無い。第3回U-18青森ユースサッカーフェスティバルの矢板中央高戦(8月17日)では裏抜けでチャンスに関わり、左サイドの崩しからポスト直撃のシュートも。「ほんとに自分が1本中の1本決めれなかった。本当に決めれるような選手になんないと。期待してもらっているのに、なかなか応えられていない自分がいるんで、そこは悔しいです」。青森山田のFWとして、1本中1本を決めることにこだわり、支えてくれた人々に恩返しする意気込みだ。

「恩返しの気持ちとか、凄く強いです。恩返しが本当にしたいです。ほんとに色々な人が応援してくれてるんで、神奈川でも。やっぱり一番は結果で。ほんとに出ることだけじゃなくて、示せればいいなと思います」。憧れはFWクリスティアーノ・ロナウド。その努力する姿や、得点を取るための駆け引きから刺激を受けてきた。ずっと目指してきた選手権での「得点王」が大目標。努力を重ね、その献身性とゴールで「誰からも応援されるような選手」になる。

(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー

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