インターハイに出られなかった夏に、変わった。日大藤沢高(神奈川)は今夏の和倉ユースサッカー大会で米子北高(鳥取)や鹿島ユース(茨城)、神戸U-18(兵庫)、桐蔭学園高(神奈川)などを破って参加44チームの頂点に。続く第3回U-18青森ユースサッカーフェスティバルでも鳥栖U-18(佐賀)などを破って予選リーグを突破すると、準々決勝で神戸弘陵高(兵庫)に競り勝ち、4位に食い込んだ。
日大藤沢のMF宮澤朋哉主将(3年=SCH FC出身)は、「この夏、自分たちはインターハイ全国出れなくて。ただ、自分たちが全国大会を経験してない分、やっぱ差っていうのは生まれるけど、その差を生ませちゃいけないし、『逆に自分たちがこの夏で差を作るぐらいにしよう』っていうのは、ほんとみんなで決めていて。そういう気持ちや自分たちがやりたいサッカーもこの夏にかけてほんとにできるようになってきたし、そこは自信がついたのがプレーに出ていて、結果に繋がってると思います」と胸を張る。
“不甲斐ない試合”を変わるきっかけにした。日大藤沢は3年連続のインターハイ出場をかけた神奈川県予選準決勝(代表決定戦)で宿敵・桐光学園高に0-3で敗戦。受け身となった前半に先制されると、後半にも2点を奪われて完敗を喫した。
宮澤は「あれだけ応援されていて、ああいう不甲斐ない試合をやっぱ2度としちゃいけないし、選手権であれをやらないために、和倉や青森も選手権に繋げるために、ほんとに今、全員がやっている」と語る。“日藤らしく”ボールを保持しながら主導権を握り、積極的なサイド攻撃。際の攻防でも相手より一歩が出るなど、勝ちたい、成長したいという気持ちを表現している。
中でも、強い思いでチームを引っ張っているのが宮澤だ。敗れた桐光学園戦は相手の主将、CB杉野太一(3年)に先制点を決められて完封負け。「(記事で杉野が)毎日毎日声からすくらいやってるって聞いて、試合でもやっぱ劣ってるなって感じちゃったんで、そこから自分もほんと声かれるくらいまでやってきました」。登録身長157cmと小柄ながらも鋭いドリブルやハードワーク、リーダーシップが魅力の宮澤は主将として、攻撃の中心選手として、選手権で対戦した際は必ずゴールを決めてリベンジする意気込みだ。
今年のチームは昨年からの経験者が少なく、その影響も大きかった。ただし、「和倉の頃から全員が個人のいいところを出しつつも、チームとしてみんなが目を合わせて、ポジション取ったりしてやりたいサッカーがどんどんできてきて、どの試合でも自分たちがボール持つ時間は和倉からほんと長いなっていうのはやってても感じたし、それが結果にも完全に繋がってるなっていうのは感じます」と宮澤。青森ユース大会は大黒柱のU-18日本代表MF布施克真(3年)が不在だったが、その中で先発チャンスを得たMF杉崎万泰(2年)が神戸弘陵戦で決勝点を決めている。
杉崎は「予選リーグでなかなか出場機会がなくて。いざ試合入った時に、スピード感の違いでちょっと最初苦労したんですけど、プレーが思うように行かなかったので、最後は走って貢献したかった」。後半終了間際にボランチの位置からゴール前へ走り込み、右クロスを頭で合わせてチームを勝たせた。
布施不在でも、「色々なチームと対戦した中で、自分の守備の強度の部分で通用することが分かった」という杉崎や、神戸弘陵戦で先制ボレーを決めたMF北浦悠月(3年)ら各選手が結束し、強豪チームに勝てることを示した。SBS杯国際ユースサッカー(8月22日~25日)で韓国やアルゼンチンと対戦する布施と刺激を与え合い、またチームを強化。9月にスタートする予定の選手権予選優勝やプリンスリーグ昇格に結びつける。
宮澤は「みんな自信はついてきていると思うし、やってきたことが間違っていないと思っている。ほんとに自分たちがここまでやってきたこともさらに洗練させて、持っていくだけ」。日大藤沢は伝統的にチーム内競争が激しいチーム。その競争を勝ち抜いた選手が、ピッチで必ず応援に応えて目標を達成する。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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