クラセンU-15で難敵を次々連破!「試合をやるごとに成長」惜しくも準優勝も岐阜U-15が印象的な大躍進

クラセンU-15で準優勝した岐阜U-15
 今夏行われた第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)で、印象的な躍進をみせたクラブがあった。FC岐阜U-15だ。3年前の初出場時はグループステージで1勝も挙げられないまま(1分2敗)で大会を去っていたが、出場2回目の今大会でクラブ史上初となる全国決勝の舞台まで進出した。

 川島眞也監督も愛弟子たちの成長に目を細める。「試合をやるごとに成長というか、いいゲームをしてくれていた。快進撃といえば快進撃ですが、全国のチームに対しても負けていなかったのかなと思います」。決勝では惜しくも敗れて準優勝に終わったが、その成果は岐阜アカデミーに新たな自信を与えるものになった。

 岐阜の公式サイトをみると、『2029年(アカデミー創立20周年)に、トップチームの登録選手の30%以上をアカデミー出身者にする。』というチャレンジ宣言がされている。2020年より米田徹氏がアカデミーダイレクターに就任。そして今季より過去に日本女子代表(なでしこジャパン)で監督を務めた実績を持つ大橋浩司氏がヘッドオブコーチング兼U-15コーチに就任するなど、コーチングスタッフの充実も図っている。

 川島監督自身は現役時代に広島や福岡、岐阜でプレーした選手で、12年に岐阜で現役を引退後は、そのまま岐阜でアカデミーのコーチに就任。23年よりU-15で監督を務めていた。そして今季は岐阜県のU-15リーグ1部で12戦全勝を継続。さらに今大会の東海地区予選でも準決勝でジュビロ磐田U-15、決勝で名古屋グランパスU-15を破って初優勝を決めて全国大会にやってきていた。

 本大会ではシュートJrユースFC(関東7)を4-2で下して初勝利を挙げるなど、1勝2分の首位でグループステージを突破。そしてノックアウトステージの初戦で松本山雅FC U-15(北信越1)に1-0で勝利して自信をつけると、ラウンド16でガンバ大阪ジュニアユース(関西5)に0-0(PK5-4)、準々決勝でセレッソ大阪U-15(関西4)に3-2、準決勝でFC東京U-15むさし(関東2)に0-0(PK4-2)と、名門クラブを次々と連破する快進撃に繋げていた。

 岐阜のアカデミー史に名を残す世代になったが、選手たちは特にスカウティングを強化して集めたわけではないという。それでも中学1年生の時に担当した川島監督が守備の強度を上げることに注視して徹底的に指導。今季の県リーグ12試合でわずか失点2の驚異的な守備組織を構築していた。「それに名古屋や清水、磐田と強いチームがいた中で勝ち上がってきたことが自信になっていたし、東海1位でこの大会に出てきたということで負けられない気持ちはあったのかなと思います」。全国大会初出場の選手がほとんどだったが、臆することは一切なかったようだ。

 選手個人ではFW高田憲慎(3年)がMIP賞を受賞した。学校で計測した50m走で6秒2を記録した俊足は、今大会でも目を見張るものがあった。さらに準々決勝のC大阪U-15戦ではミドルシュートを含む2ゴールの活躍。「普段はロングシュートを打たないけど、C大阪戦で決めて自信を持てたから、これからはロングシュートを打って行こうと思います」。決勝でもセットプレーから意地の1点を決める結果を出して、個人賞を受賞していた。

 決勝で川崎フロンターレU-15生田(関東6)に1-4で敗れた岐阜だったが、ボールを握って試合を進める時間も多く、試合で放った総シュート数も相手の8本に対して、岐阜は15本と大きく上回っていた。川島監督も「内容的にやられた感じはしなかった」と悔しさの中でも日本一への距離感を掴めた様子だ。このあとのリーグ後半戦の戦いはもちろん、冬の全国大会である高円宮杯U-15の初出場にも繋げたい。「この決勝で負けてしまったので、高円では必ず全国に行って、優勝を目指したいと思います」。高田が自信を持って話したように、岐阜U-15イレブンも日本の頂を現実的な目標としてとらえている。

(取材・文 児玉幸洋)


●第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)特集
Source: 大学高校サッカー

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