「やっぱり1年生から出続けてきて、県大会の準決勝、決勝で負けてきて、全国出れないっていうのはとても悔しくて。神村、城西だけが注目されているので、(今度こそ)自分たちが破って。みんな神村か城西が優勝すると思ってるところを自分たちが打ち破って、また鹿実が全国の舞台に戻ってこれるようにしたい」
プレミア勢を破り、伝統校を選手権へ導く。1995年度、2004年度大会で選手権優勝を成し遂げている鹿児島実高(鹿児島)のCB吉村太希(3年=FC KAJITSU出身)は、森下和哉監督に抜擢されて1年時から公式戦を経験。だが、夏冬ともに7連覇中の神村学園高や鹿児島城西高に阻まれるなど一度も全国舞台に立つことができていない。両校は今年、いずれもプレミアリーグWESTに参戦中で、中でも神村学園は今夏のインターハイで全国2位。ライバルの壁は高いが、最後のチャンスへの強い思いを表現する意気込みだ。
吉村はビルドアップやロングキックの質、予測力、危機察知能力について、「負けたくない」と言い切る186cmのストッパー。空中戦も非常に強く、DFリーダーとしての声がけ、落ち着きも特長だ。
以前は冷静さを欠いたり、ミスも増えていたが、最終学年となり、「あともう少しで高校生も終わるので、残り数か月間の大切さとか、日に日に終わりが近づいてくるとちょっと焦りも感じてるけど、今までの経験とか踏まえて、落ち着いてプレーできるようにもなってきたし、みんなに声掛けて安心させられるようにと」変化を実感している。
8月に開催された「第3回U-18青森ユースサッカーフェスティバル」の帝京長岡高(新潟)戦は、跳ね返しや相手の攻撃を読み切ってのインターセプト、加えてゴールエリアまで戻って決定機を阻止するシーンもあった。0-1で敗れたものの、プレミアリーグ勢で、インターハイ3位の帝京長岡相手に健闘。強敵の前に立ちはだかっていた。
チームは今回の青森ユースフェスティバルでプレミアリーグ勢の青森山田高(青森)とも対戦。吉村は「チームメイトがロングボールを見合って、その1本でやられて、あそこを決め切るのもプレミアとか強いところの特長だし、そういうところを守って勝ち切るチームが選手権とか全国に出るチームだと思ったんで、そこはもっと気抜けないし、チーム全体に声を掛けていかなきゃいけないと思いました」と振り返る。
普段、鹿児島県1部リーグで戦う鹿児島実は、青森ユースフェスティバル序盤、相手のスピード感や強度についていくことができていなかったという。それでも、青森山田戦は1-1の引き分けに持ち込んだ。また、札幌U-18(北海道)とも引き分け、桐生一高(群馬)と西武台高(埼玉)に勝利。プリンスリーグ勢相手から白星を勝ち取り、狙いとする形から得点したことは自信になっている。吉村は「こういう強いチームとの試合とかをもっと大切に自分たちの成長に繋げていかないといけないと思いました」。細部の大切さなど学んだことを今後の公式戦に活かす。
吉村はレベルの高いところで挑戦するために、関東の強豪大学へ進学予定。その前に鹿児島実で「1、2年の悔しさを晴らせるように」と意気込んでいる。「去年も注目されてた代で、結局勝てなくて相当悔しかったし、自分たち球蹴男児(九州U-16リーグ)も(1部から2部へ)落としてるんで、まず県リーグからプリンス(リーグ九州)2部に上げて、そして選手権では全国でまた鹿実の名を響かせられるようにしたい。(個人としては)やっぱ自分が1年生から出ていて経験もあるので、もっとみんなに声掛けて、自分が声でも、プレーでもチームを引っ張っていって、無失点で自分がコーナーで点を決めて、勝利に導けるように頑張りたいです」と誓った。鹿児島実の選手権出場は2007年度大会が最後。プリンスリーグも2016年から遠ざかっているが、注目DFは伝統校を必ず上のステージへ引き上げて高校を卒業する。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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