日本代表の選手とコーチという立場で再会した。W杯アジア最終予選に臨む日本代表は2日から千葉市内で合宿を開始。フランクフルトU-21アシスタントコーチとの兼任で日本代表コーチに就任した長谷部誠氏もグラウンドに姿を見せ、過去3度のW杯をチームメイトとして戦ったDF長友佑都(FC東京)とピッチ上で旧交を温める姿も見られた。
「違和感しかないですね」。練習後、報道陣からコーチとしての長谷部氏と再会した感想を聞かれた長友はそう苦笑いし、「選手のときのハセさん(長谷部)より、コーチのときのハセさんのほうが格好いいですね。オーラが増しているような。やっぱりハセさんがいるだけで落ち着く」と、その存在感の大きさを指摘した。
2018年のロシアW杯を最後に日本代表から引退した長谷部だが、2022年9月に行われた日本代表のドイツ遠征に3日間限定で帯同。当時、選手として所属していたフランクフルトがオフ期間中だったため実現し、練習やミーティングを通してその経験を代表選手たちに伝えた。
当時も長友は選手として参加していたが、今回は長谷部氏が正式に日本代表コーチに就任しての再会。昨季限りで現役を引退したばかりながら、選手とコーチとして再び“共闘”することになり、「全然ビックリしなかった。遅かれ早かれハセさんが来るんだろうなというのは野生の勘で匂っていた」と微笑んだ。
「僕らは代表でも長い間、プレーしてきたし、海外でもいろいろな経験をしてきている。僕は最終予選も今回で5度目。酸いも甘いも経験している。2大会連続で(最終予選の)初戦は負けているので、そういう経験を長谷部さんとともに後輩たちに伝えていきたい」
今月12日で38歳になる大ベテランと、キャプテンとしてW杯3大会を戦ったレジェンドが練習前に交流を深めていると、そこに長友がA代表初招集となったDF望月ヘンリー海輝(町田)を招き入れ、3人で言葉をかわした。さらに全体練習が終わると、居残りでピッチに残り、3人でボールを蹴り合う一コマもあった。
「ヘンリーが僕の圧でビビっていたので、包んでやらないとメンタルがやられてしまうなと思った」。冗談交じりに明かした長友は「長谷部さんがいい感じに整えてくれるので。最後、三角形でパスをして心をつないだ」と、初代表で硬くなる22歳の緊張をほぐしていた。
「ガツガツしているのかなと思ったら、意外に自分でもメンタルが弱いんですと言っていたから。でも、僕も長谷部さんも最初(初招集時)はやってやるぞという気持ちと同時に怖さも感じていた」。2008年5月に21歳でA代表に初選出された長友は当時19歳のMF香川真司と同じタイミングで日本代表に招集され、2008年5月24日のコートジボワール戦ではそろってA代表デビューを果たした。
「僕は(香川)真司と代表に選ばれて、ずっと部屋に2人でいて、あんまり出たくなかったところもあったから気持ちは分かる」と振り返り、「でも、ピッチに入ったら思い切ってやっていいよと。ガツガツ感、ギラギラ感は伝えていきたいし、感じてもらえれば」と後輩への思いを語っていた。
(取材・文 西山紘平)
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Source: サッカー日本代表
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