「今の自分で留まらないようにしていきたい」。駒澤大高FW岩井優太は初のU-16日本代表活動から持ち帰った課題に挑戦中、選手権予選は「全試合得点」

駒澤大高のU-16日本代表FW岩井優太(2年=北九州市立思永中、港区立港南中出身)
[10.6 U-18東京都1部L第15節 駒澤大高 0-1 町田ユース NICHIBUN SAKURA FIELD]
 
 U-16日本代表のストライカーが、選手権での連発と優勝を誓った。インターハイ出場校・駒澤大高のFW岩井優太(2年=北九州市立思永中、港区立港南中出身)は今年8月、U-16日本代表中国遠征メンバーに初選出。刺激を受けたFWは日常から取り組みを変えてきている。

 岩井は1年時に関東ルーキーリーグCリーグでMVP、得点王(16得点)、アシスト王(6アシスト)の“個人3冠”(※アシスト王は表彰なし)。1年生で駒大高Aチームの選手権予選に出場し、ゴールも決めている。今年はインターハイで全国大会を経験し、2試合に先発フル出場。その後、2008年早生まれの2年生FWは、U-16日本代表としてPEACE CUP(中国)に出場した。

 自分よりも技術力の高い代表選手たちの中で、「自分が何かできることはないかなっていう、自分の特長を出していくっていうところをまず意識してやりました」という岩井は、U-16ウズベキスタン代表との初戦で後半36分から交代出場。ハードワークしながらシュート2本を放った。

「決め切れなかった部分はまだまだなんですけど、存在感っていうのは出せた」という代表デビュー戦。続く、U-16中国代表戦では初先発を果たした。だが、「その時は全然ダメだったっていうか。守備の強度からまず足りないなって感じでしたし、あとアクションの数と、継続して自分が動くというところがまだまだ足りないって感じました」。U-16ベトナム代表戦との最終戦は試合終盤に出場したものの、無得点で大会を終えることとなった。

 背後へのアクションの増加と守備強度の向上については、事前にU-16日本代表の廣山望監督から指摘されていた課題でもあった。また、「代表選手のBMI(ボディ・マス指数、体格を表す指標)とか、自分、1番下で。食べなきゃいけないなと」。帰国後、明確になった課題に取り組んでプレーを変化させ、体重はすでに3kg増量した。

 U-16日本代表の廣山監督からは、ペナルティエリアでの感覚、ゴールへの嗅覚を高く評価されたという。ただし、その特別な才能に本人も、チームも甘えていた部分があったようだ。

 駒大高の亀田雄人監督は「守備のところとか、攻撃のアクションも結構少なくて。今までもずっと消えてたけど、(ボールが)入ってきたところでポンって決めちゃったりしていたから、それでオッケーとしてしまっていたところがありました。でも、向こうでいわゆる2度追いしたり、3度追いしたり、切り替えしたり、しっかりハードにやったりということを求められて帰ってきたので。(攻撃面でも)自分からアクションを起こす回数をもっと増やしていきたいので、そこは僕らも求めていきたい」。以前に比べ、チーム内でも厳しい要求。「(成長を)ほんと加速させられるような働きかけをスタッフでやって行こうっていうことは言っています」(亀田監督)。貪欲に取り組む岩井の変化に、駒大高のチームメートたちも刺激を受けているようだ。

 U-16日本代表のスタッフは、9月にも東京都1部リーグで岩井のプレーを視察。岩井は「慢心せずに、もっと向上心を持って、(横浜FMユースのFW浅田大翔ら)もっと高いレベルの選手たちはいっぱいいるっていうのが、代表行って分かりましたし、もう2種登録したりしてる選手とかもいたりして、そういう選手たちにも近づけるようにっていうか、近づいて、追い越してっていう感じで、今の自分で留まらないようにしていきたい」。再び選出されることを目指して一日一日に取り組んでいる。

 10月6日の町田ユース戦は、攻撃の切り札としての役割を期待され、0-0の後半18分から交代出場。前線での競り合い、スペースへの動きなどでチームを勢いづけたが、なかなかシュートチャンスが訪れず、チームも0-1で敗れた。リーグ戦は現在6得点で、3試合無得点中。また、複数得点を決めた試合がないというだけに、「もっと何点も奪えるような選手に。『コイツに渡せば、絶対点決めてくれる』みたいな、チームに安心感とあとは信頼してもらえるような選手になりたいです」。

 10月19日初戦の選手権予選、全国大会で活躍すれば、代表復帰の可能性は高まる。この戦いへ向けて岩井は、「(去年)悔しい思いもしましたし、今年の選手権に懸ける思いっていうのは、負けてないと思うんで、しっかり全試合得点奪って、(決勝の会場の)駒沢でしっかり、勝ちを掴みたい。駒澤は選手権で(全国)ベスト8が最高だと思うんですけど、しっかりそこを超えて優勝していきたいと思います」。数か月前は意識していなかったという代表入りで明らかに意識変化。この秋、冬にブレイクし、自分の将来を変える。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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