小柄な「14」、MF石井陽主将は高校生活最後の選手権で前橋育英の仲間とともに輝く

前橋育英高を引っ張るMF石井陽主将(3年=前橋FC出身)
[10.13 プレミアリーグEAST第18節 前橋育英高 1-0 青森山田高 前橋育英高校高崎G]

 キャプテンとして引っ張り、選手権でチームメートとともに輝く。前橋育英高(群馬)MF石井陽主将(3年=前橋FC出身)はこの日、味方がPK失敗やチャンスを逸する中で「そこは声とかで引き締めないとなっていうので、やっぱり声の部分とかで自分は引っ張っていけたんで、そこは1つ良かったところかなと思います」と振り返る。今年はチャンスを活かしきれずに競り負ける試合が多かったが、チームは最後まで集中した戦いを見せて青森山田高に1-0で勝利。今後への勢いをつけるような白星を勝ち取った。

 石井はボールの奪い返しで奮闘。また、相手のカウンター攻撃を止めるシーンもあった。後半には、チームのビルドアップが好転する中でボールに触れる回数を増加。トレーニングから意識して精度を高めてきたというプレースキックなどでチャンスメークした。

 だが、本人は「セカンドボールでちょっと拾えないシーンとかだったり、拾った後、相手ボールにまたなってしまうシーンもあったんで、そこは永遠の課題だと思うので、そこを高めていくのもそうですし、やっぱり攻撃ではもっと得点に絡むプレーも必要なので、まだまだ満足せずやっていかないとなと思います」と引き締めていた。

 元U-15日本代表候補で、昨年からボランチの先発を務める石井は今年、名門校のキャプテンに就任。シーズン前半はなかなか結果が出なかったが、特にインターハイで7大会連続出場を逃した悔しさをエネルギーにしてきた。

「夏負けて、個人としてもほんとに見直す期間が長かった中で、やっぱり自分の弱さとか、もっとキャプテンとしてもっとチームを引っ張るプレーだったりとか、目立たないですけど支えるプレーとか、声とかで、もっと信頼されるような選手にならないとなってところで、今日もカウンター止めるシーンだったりとか、ほんとに5つの原則じゃないですけど、球際、声、ハードワークとかでチームを引っ張っていけるようには徐々になってると思うんで、そこをもっとあと数か月、本当に完成させていきたい」

 キャプテンとして「自分がやらなきゃ」となり過ぎていた時期から、「陽だけじゃなくて全体で巻き込んで、チームを良くしていこうっていう雰囲気があって、全員がそれはいい方向に向かっている」(FWオノノジュ慶吏、3年)という変化もある。チームメートにも助けてもらいながら、目標の先輩たちのような存在になることを目指していく。

「やっぱり去年は雨野(颯真、現早稲田大)さんで、その前が(現筑波大の徳永)涼さんで、雨野さんなんか本当に後ろでこうドシッと構えてくれて、信頼、安心感が凄いあるキャプテンで、涼さんは本当に声で引っ張ったりとか、プレーで引っ張ったりとかも、全部の信頼を背負ってる選手だったんで、そこに比べたらまだまだ自分も足りないと思うんで、自分なりにいいキャプテンになれるようにやっていきたいかなと思っています」。登録158cmの小さなMFは高校卒業後、「サイズのハンデを埋めなきゃいけない。そこはちっちゃい頃からずっとやってきたので大学でも継続してやっていきたい」「プロとかの夢を叶えるってところはほんとに1番近い大学」へ進学することを決めた。その前に前橋育英のキャプテンとしてやり切って高校生活を終える。

 間もなく始まる高校生活最後の選手権へ向けて、石井は「やっぱり色々な人が見てくれる大会だと思うんで、1試合1試合、本当に自分の全力を出し切れるようないい準備をして、チームとしても、個人としてもいい結果を残していきたい」と意気込みを口にした。「インハイ、見てもらえなかったので」という自分の「14」を全国舞台で見せるラストチャンス。前橋育英にとって特別な「14」を背負う主将が、チームメートとともに必ず選手権で躍動する。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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