[10.13 プリンスリーグ関東1部第16節 健大高崎高 0-1 栃木U-18 健大高崎高校サッカー場]
「嬉しいっすけど、これで満足してたら価値のない選手で終わっちゃうんで。ここからどうやって生き残っていくかだし、もっと上を目指せるかっていうのはもう常に考えていかなくちゃ、そこで終わっちゃう選手になるから、もう休んでる暇ないって感じです」
健大高崎高(群馬)のキャプテン、DF新井夢功(3年=前橋FC出身)は10月7日に2025年シーズンからのザスパ群馬新加入内定が発表された。高校1年時の2022年度選手権群馬県予選などで活躍し、同年12月にU-16日本代表パラグアイ遠征メンバー初選出。対人守備の強さと多彩な左足キックを武器とする180cmDFは、2年時から群馬に練習参加し、今夏も1か月近く群馬に帯同してきた。
「積極的にプレーするってところ、攻撃参加だったらクロスとか、突破するとか。あと、対人が結構自信あって、そこで勝てたんすよ、プロ相手でも。そういう戦う姿勢が見せられた」という新井はプロ入りのチャンスを掴み取った。1年時に初めて年代別日本代表に選出されて以降、強い思いで目指してきたプロになることを実現。だが、ここで満足するつもりはない。
「個人としては一早く(プロの)ピッチに立って、そこで結果残せる選手っていうのと、絶対必要とされる選手になりたいっていう思いがあります。チームとしては、1年でJ2昇格して、その次でJ1行かなくちゃいけないと思いますし、そこの目標に向けて、本当1日1日大切にしていかないと絶対もったいないし、そういう気持ちを持ってやっていかないとそこで終わっちゃうと思うんで。チャレンジャー精神を持ってやっていきたいです」。目の前の相手選手に勝つことはこだわってきたこと。加えて、ビルドアップや左足キックの種類の多さを発揮し、チームを勝たせる選手になる。
群馬では、当時キャプテンを務めていたDF城和隼颯(現山形)のキャプテンシーやチームをまとめる強い意志を学び、各選手の意識の高さに影響を受けた。「こっち(健大高崎)に戻ってきて、もっと還元していかなくちゃ行ってた意味もないし、それが自分の仕事かなって今、思います」という。今年、健大高崎はインターハイ予選で初戦敗退を喫し、プリンスリーグ関東1部では1勝2分12敗と苦戦。10月13日の栃木U-18戦で新井が怪我から6試合ぶりに復帰し、後半途中からピッチに立ったが、0-1で敗れる結果となった。
この試合で新井は左ウイングバック、3バックの左サイドを務め、対人守備の強さや左足キック、ロングスローで流れを変えようとしたが、残留争いの大一番で敗戦。10月19日に始まる選手権予選へ弾みをつけることができず、「力が自分にはまだ足りていない」と唇を噛んだ。
今年、健大高崎の篠原利彦監督は「キャプテンを経験して、今後のサッカー人生に活かして欲しい」という理由で新井をキャプテンに指名。群馬練習参加や怪我による不在の期間もあった新井は、「もう1人1人のレベルが決して高いチームじゃないんで、やっぱチャレンジするっていうのは当たり前で、上手くないなりにどう戦うかとか、目の前のボールをどんだけ頑張って取り行けるとか、そういう気持ちのプレーが去年に比べて減っちゃったから、そこをもっと自分が伝えられれば良かったんですけど、1番後悔しています」と悔しがる。
思うようなシーズンではなかったが、このまま終わるわけにはいかない。「自分たちは今年結果残してなくて、どっちかっていうとチャレンジャー側になるかなっていう感じなんですけど、そこでどんだけ強い意志持って、どんだけ戦えるか。最後、気持ちだと思うんで。もうほんとに、この1週間でどれだけ積み上げているか」。この大会で自分の姿を、恩師やチームメート、群馬のサポーターたちにもしっかりと披露する意気込みだ。
「1年時から出ていて、健大としてもまだ1回も優勝してないし、まず優勝目指してやっていきたいっていうのと、やっぱり自分が戦える選手っていうのを見せたいです」。結果が出ない時期も応援してくれた仲間や、連絡をくれた人々に応えたいという思いは特に強い。「そういう人たちに勝利っていう形で届けられるようにやっていくしかない」という注目DFが、健大高崎を背中で引っ張り、一つ一つ白星を積み重ねる。
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(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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