[10.20 関東大学L2部第18節 順天堂大 2-3 立正大 順天堂大さくらキャンパスサッカー場]
エースが勝利をもたらした。立正大FW多田圭佑(4年=矢板中央高/水戸内定)が後半アディショナルタイム6分に逆転ゴールを奪って勝利に貢献。得点王争いを繰り広げているが、2021年度以来の1部復帰を果たすことが最大の目標だという。
2連敗中の立正大は4ポイント差で追う入れ替え戦出場圏の3位・順天堂大と対戦。敗れると1部昇格が危機的な状況となる重要な一戦だった。チーム最多得点の多田はベンチスタートだったが、FW市川遥人(3年=西武台高)の負傷を受けてハーフタイム明けから出場。「前半から自分は良い準備ができていた」と冷静にピッチに入った。
試合は2-2で後半アディショナルタイムに突入する。終盤は順天堂大がCKなどでチャンスを作っていたが、同アディショナルタイム6分に立正大に千載一遇のチャンスが訪れた。多田が中盤でこぼれ球に反応して味方に繋ぎ、右サイドから攻撃を展開。DF宮崎海冬(4年=帝京高)が上げたクロスを多田が右足ボレーで合わせると、ボールはGKとポストに当たりながらゴールに吸い込まれた。試合は3-2で終了し、立正大が自動昇格圏の2位まで3ポイント差に迫っている。
多田は直近3試合得点がなく、チームも1勝2敗で順位を落としていた。「ここ最近点を取れていなくて、後半入ってすぐの場面でも空振りみたいになって決められないシーンがあってずっと責任を感じていた」と多田。「まずは枠に入れて、こぼれ球でも良いから押し込みたい」と慎重に合わせたシュートが待望の得点になった。
「ベンチで一緒にアップしていたメンバーも『点を取ってこい』と言ってくれて、スタッフも『お前ならやれるよ』と信じてくれている人が多くて、出場していたメンバーも信じてボールを送り続けてくれたので、やっとみんなの期待に応えられたので嬉しかったです」
多田はこれで今季12ゴール目となり、得点ランキングトップまで1点差に迫る2位タイに浮上。「得点王争いに食い込むことはできるんですけど、いつも得点王になれていない部分がある」と本人が振り返るように高校3年時はプリンスリーグ関東で1点足りず、大学2年時は関東大学リーグ2部で2点足りずいずれも同2位に終わった。その中で「そういうところ(得点王)は気にしないで、自分が出た試合で点を取れば負けないので昇格に向けてそういったことを意識しています。そうすれば自ずと得点王も見えてくると思うので、目の前の試合に意識を持っていきたいという気持ち」と意気込んだ。
立正大も2部降格以降5位、4位とあと少しのところで昇格を逃してきた。多田は「自分が1年のときに降格したけど、そのときに1部を少し経験させてもらった。そこの経験はめちゃくちゃ今に生きているので、そういった経験を下の学年にしてほしい」と力を込めた。
チームからは今季すでに5人がJクラブに内定済みで、2部所属大学では屈指の輩出数となっている。その一方でJ1クラブへの内定者は出ておらず、多田は「昇格すれば立正からもっとプロやJ1に行く選手が増えると思うので、そういった舞台を準備してあげるのが4年の責任。昇格させてあげたいなという気持ち」と後輩を思い、1部復帰を置き土産にする覚悟だ。
(取材・文 加藤直岐)
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Source: 大学高校サッカー
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