高岡不在でインハイ16強の経験も力に。後半5発で宮崎3連覇の日章学園は選手権で「日章旋風」「日本一」

日章学園高が宮崎県予選3連覇を達成
[11.2 選手権宮崎県予選決勝 日章学園高 5-0 宮崎一高 いちご宮崎新富サッカー場]

 日本一を目標に掲げる日章学園が、宮崎県予選3連覇――。第103回全国高校サッカー選手権宮崎県予選決勝が2日、児湯郡新富町のいちご宮崎新富サッカー場で行われ、日章学園高宮崎一高が対戦。日章学園が後半の5得点によって5-0で勝ち、3年連続18回目の全国大会出場を決めた。

 日章学園は準決勝でライバルの鵬翔高に3-1で勝ち、決勝進出。先発のGKは有薗大樹(3年)で、右SB野口昊平(2年)、CB吉川昂我(3年)、CB藤山真(2年)、左SB三田井宏生(3年)、中盤は小峠魅藍(3年)と吉崎太珠(1年)のダブルボランチで、右SHが仙台内定のU-18日本代表MF南創太(3年)、左SHが川越廉斗(3年)、前線はサウサンプトン(イングランド)内定のU-19日本代表FW高岡伶颯主将(3年)と水田祥太朗(3年)が2トップを組んだ。

3連覇をかけた日章学園の先発イレブン

 一方、宮崎一は準決勝で都城農高との延長戦を制して初の決勝進出。先発のGKは長友拳士朗(3年)、DFは右から坂本周由登(3年)、松元俐虎(3年)、今別府兼永大(3年)、前田隼佑(3年)の4バック。中盤は松下未來主将(3年)と上野瑛洵(3年) 湯地紀稀(3年)、堀田蓮音(3年)で構成し、前線にエースFW西内宥成(3年)と宮崎幸佑(2年)が入った。

宮崎一は初の決勝進出

 日章学園は4分、右サイドから縦に仕掛けた南のラストパスに高岡が走り込み、9分には小峠の右クロスをファーの高岡が頭で合わせる。ボールはゴール方向へ飛んだが、宮崎一GK長友がファインセーブ。決勝初進出の宮崎一スタンドは、日章学園の攻撃を弾き返したり、クロスへ持ち込んだりするたびに大いに沸いていた。

仙台内定の日章学園MF南創太は序盤からドリブルでチャンスメーク

 前半は膠着した展開となった。風下の日章学園はロングボールを多用。CKやスローインを獲得し、小峠のロングスローなどセットプレーで先制点を目指したが、試合前にファーストコンタクトやセカンドボールの攻防で負けないことを指示されていたという宮崎一は、競り合いで負けない。180cmMF上野や松元、今別府の両CBが良く跳ね返し、170cmのGK長友も奮闘。高岡にドリブルで大きく前進されるシーンもあったが、上野がタックルで止めて右SB坂本がクリアするなどゴールを許さない。

宮崎一は相手のセットプレーをGK長友拳士朗中心に跳ね返した
宮崎一のMF上野瑛洵(右)は高さを発揮し、タックルでも奮闘

 逆に前線の西内や湯地、宮崎がボールを収めて速攻。19分には、FKのこぼれ球に反応した堀田の右足シュートが左ポストを叩く。また、36分には堀田のインターセプトから前田の左クロスがゴール前を横切った。日章学園は川越の左足ボレーや藤山のヘッドでゴールを脅かしたものの、宮崎一は相手FWへの挟み込みを徹底する松下中心にまとまりの良い戦い。0-0で試合を折り返して見せた。

 それでも、日章学園の原啓太監督は「0-0でも慌てることはないっていうことと、1つ仕留めればっていうところだったので」。後半は、「全国大会にどうしても行きたい、そういう気持ちを前半よりも出さないといけない」と選手たちを送り出す。後半1分、日章学園は南のクロスをファーの高岡が折り返し、水田が決定的な右足シュート。さらに4分、左CKのこぼれから水田がポスト直撃のシュートを放つ。また、高岡と南がシュートへ持ち込むなど、開始10分強でシュートを5本、6本と撃ち込んで相手にプレッシャーをかけた。

 宮崎一は西内のドリブルなどで攻め返し、13分には準決勝で決勝点のFW崎山蘭泉(1年)を投入。だが、日章学園は直後の14分、南の右CKをゴールエリアの吉崎が押し込み、先制した。日章学園は直後に川越とMF有働嵩常(3年)を交代。その日章学園は、相手のタックルをかわして前進する高岡、DFの股間を通すドリブルなど打開力を見せた南が個人技で会場を沸かせたほか、有働、水田が次々とドリブルで仕掛けてシュートシーンを作り出していく。

後半14分、日章学園の1年生MF吉崎太珠が先制ゴール
スタンドの応援団と喜ぶ

 宮崎一は前半のタフな守りによって、体力を削られてしまった部分もあったようだ。攻撃の形をなかなか作れず、被シュート数は前半の8本から後半は15と大きく増えてしまう。それに対して日章学園は19分、小峠の右ロングスローから吉崎がこの日2点目のゴール。また、日章学園は野口、吉川、藤山、三井田の4バックが相手のサイド攻撃やロングボールに落ち着いて対応。バランスを取りながら、切り替え速く守る小峠やGK有薗を含めて隙を見せない。

後半19分、1年生MF吉崎太珠が2点目のゴール

 その後、宮崎一は右SB湯地碧斗(3年)とFW川元博斗(2年)を送り出すが、日章学園は34分に左ロングスローの流れから吉川がゴール前で競り勝ち、最後は水田が左足でゴールを破った。日章学園は36分にFW三浦心大(3年)とCB外山歩季(3年)を投入。直後には三浦の奪い返しから高岡が左足で決めて4-0とした。

後半34分、日章学園FW水田祥太朗が左足で決めて3-0
後半37分、サウサンプトン内定FW高岡伶颯主将が左足でゴール。これで高岡は県決勝は3年連続となる得点

 パスを出せばチャンスというシーンでも強引に突破、シュートを目指していた高岡は県決勝で3年連続となるゴール。日章学園はさらにMF荒木龍太(3年)とMF上村彩斗(3年)を加えると40+1分、高岡が圧巻の3人抜きドリブルから右足シュートを叩き込み、5-0で試合を終えた。

後半40+1分、FW高岡伶颯が3人抜きのスーパーゴールを決めて5-0
圧巻の一撃でゴールラッシュを締めくくった
以前、県選抜でチームメートだったという宮崎一MF松下未來主将(右)と高岡が健闘を称え合う

 日章学園は活躍を期待されたインターハイの開幕直前にスーパーエース高岡と前線の要・水田が相次いで負傷離脱。ベスト16で悔しい敗退に終わっている。だが、原監督は高岡が怪我などで不在だった期間にチームが成長したことを実感していた。

「やっぱり筋トレとかも含めて(全体的に)身体のサイズ感も強くなったし、やっぱり(高岡が)いない中でもベスト16でしたけど、そこまで勝ち上がったっていう自信も半分は身につけていると思うので、ちょっとやそっとじゃ動じなくなったというか。焦れずに我慢強く、タフのチームにはなってきてるんじゃないかなと思います。もう1回気を引き締めて、しっかり準備して、(12月にプレミアリーグ昇格を果たし)年末年始にはこう、『日章旋風』を全国大会で吹かせるように頑張りたいなと思ってます」。昨年度、一昨年度の選手権は初戦敗退。だが、指揮官は選手権で「日章旋風」を巻き起こすことを誓い、高岡は日本一を目標に掲げた。

「(インターハイ前に怪我した時から)選手権があるんで、そこで絶対優勝してやろうっていう気持ちでした。もう、ほんといいチームになってきた。自分がインパクト残して、『絶対優勝してやる』って思っています」と高岡。特に攻撃力は全国でもトップクラスにある。加えて、守備面やセットプレーもしっかり準備。夏の貴重な経験や悔しさも力に、選手権で日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)


●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー

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