[11.2 選手権岐阜県予選準決勝 長良高 0-2 中京高 長良川球]
大きな覚悟を持って挑んだ2年目の選手権は、不完全燃焼で幕を閉じた。長良高のエースFW田中梨聖(2年=若鮎長良FC)は準々決勝・各務原高戦(◯2-1)での足首捻挫が響き、準決勝・中京高戦はスタンドでのサポート。「自分が出られない準決勝は見るのもつらかったし、でも応援するしかなかった」。チームは0-2で敗れ、「やっぱり戦いたかった。悔しい思いしかない」と唇を噛んだ。
今年の長良高は3年生が大学受験のため引退しており、選手権予選に1〜2年生編成で参戦。中学3年時に飛び級で国体岐阜県代表に選出され、高校進学時には県外の強豪校からも注目を集めた実績を持つ田中は「彼がライン間で受けて前を向いてというところで、そこでボールが収まるのでそこでワイドの選手が前に出られる」(金森康二監督)という攻撃戦術の軸を担う存在だった。
ところが10月29日の準々決勝・各務原戦で足首を負傷。この1週間でなんとか回復を試みたというが、「痛み止めを打って、テーピングしてやろうかなと思ったけど、ボールを蹴る時に痛みが出るので、全力でできないなら任せてチームに託したほうがいいなと思って、出ない決断をした」。チームは“エースのためにも”という一心で戦ったが、決勝進出は果たせなかった。
試合後、キャプテンのMF竹田陵人(2年=岐阜西SC)は負傷や出場停止で準決勝に出られない選手を思い、涙を見せた。「先生からも『出られない選手のぶんまで絶対に決勝に行かないといけない』という話もあった。彼らのまで決勝に行きたいと強く思っていた。本当に悔しい」(竹田)。
田中に残された高校サッカー生活はあと1年。ただ、この大会を前に引退を決めた先輩と同様、学業との両立が至上命題となる。
金森監督は「選手権の借りは選手権で返すしかない。本気になって勉強をしながらでもできるんだということを示してほしい」という期待を口にしたが、大学受験を志す田中も「現段階では残りたいと強く思う」と決意。「ここから勉強もサッカーも両方を積み重ねて、インターハイを終えた段階でどれだけ学力があるか、選手権への気持ちをどれだけ持てているかを考えたい。サッカーは好きだし、サッカーにかけているけど、それだけが人生ではないのでしっかりそれを頭に入れて考えたい」と言葉を選びつつも、強く来季を見据えていた。
そしてまずは新人戦、インターハイで結果を残していく構えだ。中学時代には県外の強豪校からの誘いもあったが、「サッカーに専念するのか、勉強に専念するのかの2択で迷っていたのと、ミニ国体で負けて岐阜に残りたい思いが強くなった」という田中にとって、文武不岐と地元県代表の座は大きな悲願。「試合に1年生から出させてもらって、ベスト8、ベスト4と来たけど全国に出るという結果には結びついていない。次が最後のインターハイなので、ここから半年準備して、全国出られるように頑張っていきたい」と決意を示した。
(取材・文 竹内達也)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー
コメント