[MOM4943]静岡学園MF山縣優翔(2年)_県予選は出場時間ゼロ。悔しさを力に変えた2年生10番が攻守で存在感

静岡学園高のU-16日本代表MF山縣優翔(2年=千里丘FC出身)は攻守に存在感のある動き
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.20 プレミアリーグWEST第12節 静岡学園高 0-0 東福岡高 時之栖A]

 2年生10番が、悔しさを力に変えている。静岡学園高は、優勝した選手権静岡県予選決勝(11月16日)から中3日で東福岡高と対戦。疲労も考慮し、決勝から先発11人を入れ替えてこの日のリーグ戦を戦った。ただし、モチベーションの高い選手たちが奮闘し、ドロー。特に、U-16日本代表MF山縣優翔(2年=千里丘FC出身)が存在感のある動きを見せていた。

 山縣は「自分でゲームメイクをするっていうのは意識してやってました。(それ以上に)守備の方を意識してやっていて。Bチームの北川(慶コーチ)さんのゲームに行った時に、『球際でもっと強く行かないと』っていうことを教わって、自分の中ではもう今日は全部刈り取るっていうイメージで、ボールにアタック行くっていうのを意識してやっていました」と振り返る。

 山縣はボールを失わない力と、スルーパス、クロスでもゴールを演出する力が魅力のゲームメイカーだが、言葉通りにボールの奪い返しやセカンドボールの回収でチームに貢献。課題だった守備の軽さを見せなかったことに加え、自分から発信して周りを動かしたことが自身の好守に繋がったようだ。

 本来、山縣は鋭い読みを活かしたインターセプトも持ち味。「ちょっと自分から発信する機会っていうのは多分、今年少なくなってて、やっぱ自分で(周りを)動かさないと予測っていうのがズレてしまう。周りの選手を動かせないと、自分の思った通りのところにボールが来なかったりすると思うんで」。この日は積極的に自分から発信。「結構刈り取れたりして、ちょっと守備が楽しかったです」という90分間になった。

 その上で攻撃面でも一際目立っていた。この日、チームは東福岡のプレッシングに苦戦し、なかなかボールを運ぶことができていなかった。だが、山縣はその守りを剥がしながら幾度も前進。川口修監督から「ボール取られないからね。あれが良いよね、山縣は」と評価された2年生は、絶妙なスルーパスを通すなど、ダブルボランチを組んだMF藤本虎之介(3年)とともに攻撃の中心にもなっていた。

 山縣は、中学3年時から年代別日本代表候補を経験。静岡学園では1年時からプレミアリーグでの先発を経験し、今年は名門校の10番を背負っている。だが、守備面の課題が出たり、ボールをさばくだけの試合もあって絶対的な存在になることができていない。選手権予選直前のプレミアリーグWEST・鹿児島城西高戦(10月20日)では先発も、コンディションが悪く、「気持ちが入っていない」という評価を受けて後半14分に途中交代。すると、活躍を目指していた選手権予選は、4試合で1分も出場できないまま終えることになった。

 その悔しさは大きな力に。この日は「やっぱ選手権出れなかったっていう悔しい思いをしてたんで、得点に絡むのが1番やったんですけど、スルーパスとかでチャンスメイクできたのが良かったかなと思います」と強敵相手に特長を出すことにも成功した。

「静学の10番っていうのもあるんですけど。試合にずっと絡みたいっていう思いはありました」という山縣は、ここから選手権までにアピールし、中心選手として選手権に出場することを目指す。

「選手権っていうのは自分の夢の大会でもありますし、3回戦では(青森)山田ともしかしたらできるっていうのもあるんで。自分、やっぱ山田とやりたいなっていうのは思いがあるんで、そこで違いとか出せるように、まずは出場できるように、この1か月のプレミア期間で、自分のプレーをアピールできたらなと思います」。悔しさをバネにしてきた10番が、「予測とか読みとかの頭を使うプレーっていうのは自分の得意としている部分」とドリブル、スルーパスで観衆を沸かせて、静岡学園に白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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