[12.16 インカレ決勝ラウンド第2節 九州産業大 2-3 東海学園大 本城]
「小学校からずっとドリブルしかやってこなかったので」(DF上野滉太=聖和学園高)。テクニック集団・東海学園大の中でも一際大きな自負を持つ生粋の3年生ドリブラーが、終盤になっても切れ味を失わない突破で大逆転の2ゴールを演出し、ベスト8進出への望みをつないだ。
後半38分に1-2となる勝ち越しゴールを許し、敗退の危機に追い込まれた東海学園大。しかし、左サイドバックでの先発ながら試合を通じて仕掛け続けた背番号8が「相手が固めてきていたのでサイドが攻略の鍵だと思った」と突破口をこじ開けた。
まずは後半40分、上野が意表を突いた背走で味方のスルーパスに反応し、ペナルティエリア左のポケットを取ると、折り返しのパスでこぼれ球を創出。するとこれを拾ったFW高橋旺良(1年=中央学院高)がゴールに突き刺し、上野は同点ゴールの起点となった。
「サイドハーフが持った時に相手はラインが下がっていて、ポケットのところが空いてくると思った。いいタイミングでボールが来たので感覚で出したら、折り返しはちょっと相手に当たってゴールになった」(上野)
さらに後半42分には自慢のドリブルで対面の相手をかわし、ペナルティエリア深くまでえぐってラストパス。「相手が1枚しか自分のところに来ていなくて、後ろもカバーいなかったので、ライン際に行けば相手もPKが怖いと思うので行ったらかわせた」。これが今度は高橋の足元に通り、そこからDF大塚一希(3年=神戸弘陵高)のゴールが生まれた。
公式記録の上ではいずれもアシストはつかなかったが、上野の突破力がなければゴールにすら近づけなかったであろう場面。「小学校からずっとドリブルしかやってこなかったので、相手が食いついてきたら絶対にかわせると思ってやっています」神野SC、ロサーノFC、そして聖和学園高。磨き上げてきた自慢の武器が全国舞台で輝いた。
卒業後は「サッカーは続ける」予定だといい、3年時のインカレは勝負の舞台。ただ、持ち前の武器はチームを勝たせるために使うつもりだ。「チームが勝たないと注目もされないと思うし、個人も大事だけどチームが勝てるようにやっていきたい」。まずは18日の最終節・大阪体育大戦へ。勝てば8強決定の大一番でも相手のディフェンスラインを切り裂く。
(取材・文 竹内達也)
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Source: 大学高校サッカー
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