悔しさをバネに成長し、仙台内定、U-18代表入り。日章学園MF南創太は選手権で「得点、アシスト合わせて10得点絡めるように」

日章学園高の仙台内定MF南創太(3年=ブルーウイングFC U-15出身、U-18日本代表)は全国大会でのノルマを「得点、アシスト合わせて10得点」とした
 仙台内定の注目レフティが、選手権で大暴れすることを誓った。日章学園高(宮崎)のMF南創太(3年=ブルーウイングFC U-15出身)はU-18日本代表にも選出されているサイドアタッカー。縦、中へのドリブルでDFを振り切り、左足でゴール、アシストを連発する。

 南は昨秋から強豪・日章学園で先発のチャンスを掴み、2024年2月の九州新人大会で一躍注目度を高めることになった。そして、複数のJクラブの中から仙台入りを決断。存在感のあるプレーを続けて夏冬の全国大会出場を果たしたが、チームメートのサウサンプトン(イングランド)内定FW高岡伶颯主将(3年)に比べてインパクトのある活躍ができていないことを悔しがる。選手権での結果へのこだわりは特別。その南が西目高(秋田)戦から始まる選手権への意気込み、競い合ってきた高岡の存在、進路の仙台などについて語った。

―選手権が近づいてきていますが、今の心境を教えて下さい。
「2大会連続初戦敗退という悔しい結果で終わってきて、応援席でも、試合でも、どっちも感じることができたんで、この悔しさっていうのはどの高校よりも強い悔しさっていうか、どこにも負けてない悔しさだったと思うんで、それを初戦にまずはぶつけるだけだと思ってるんで、悔しさをぶつけるという意味でも楽しみな大会ではあります」

―予選での自分のパフォーマンスの評価は?
予選は持ち味があんまり出せなかったっていうのが1つ反省点と思っていて、アシストも、得点も、思ったより出せなかったというのが自分の中の心境なんで、全国ではもっと結果にこだわっていきたいと思います」

予選の結果については全く満足していない

―去年の選手権も経験しているが、全国大会はどんな舞台だった?
全国大会はやっぱ人もいっぱいいて、応援する側から応援される側になったのが個人的にもあって、その分、やっぱみんなの思いも背負って戦えたので、ほんとに応援される側の立場としては、その勢いというか、やってやろうっていう気持ちが強くなってほんと楽しいですし、緊張も多少あるんですけど、緊張を飛ばせるぐらい、みんなの思いを背負って戦えるので、ほんとに楽しい大会です」

―去年はどういうところが足りなかった?
「決めれるとこはやっぱあったんで、そのシュートの精度だったり。アシストっていう形は残したんですけど、他にも2アシスト、3アシストできる場面もあったんですけど、最後の質っていうのはやっぱ今も言われてるんですけど、そこが足りなかったかなと思います」

―それからの1年でどう変化できた?
「選手権終わって1番自分の中に残っている大会が、九州新人です。そこで点とか決めれるような選手に近づけるようになってきて、そこから得点パターンも増えたり、アシストの形も結構形付いてきて、そこが1番大きな節目っていうか、変わりました」

―自分の進路にも大きく影響した大会に。
「そうですね。新人戦前まで選手権終わってからずっと夜とか練習してきて、今も続けてはいるんですけど、やっと結果として出たのが新人戦だったんで。プロの道にもチャレンジするっていうきっかけをもらえたのも新人戦だったと思っています」

―日章学園での3年間はどんな3年間だった?大分から出てきてだったが。
「悔しさの方がやっぱ大きい3年間にはなりましたね。1年生も球蹴男児っていうリーグ戦があったんですけど、そこもなかなか自分の実力が出せなくて、ベンチスタートだったり、途中交代っていう形が多くなって。そこから先輩方と身体作りとかやって、少しずつ悔しさを返していけるっていうか、ピッチに出て、課題を改善して、その繰り返しの3年間だったと思います」

下級生時は思うような活躍ができていなかったというが、努力を重ねてブレイク

―日章学園に来て驚きみたいなことはあった?
「いや、思ってた高校サッカーの生活だったんで。驚いたことはないんですけど、やっぱ高岡(伶颯)の存在っていうのは、彼は最初からずっとトップチームでやってるんで。驚いた環境じゃないんですけど、同年代にそんな質の選手がいるんだっていうのは驚きました」

―彼を追ってきた3年間に。
「追ってきた3年間ですね」

―だいぶ肩並べるところまで来ている。
「いや、悔しいですけど、やっぱアイツは点取るところで取るし、絶対結果残せる選手なんで。そこがあるから世界に羽ばたけると思ってるんで。自分ももっと追いつけるように、J2に挑戦するんですけど、そこからどんどんステップアップできるような選手になりたいです」

―ライバルとして、超えたいっていう気持ちが強い?
「ライバルっていうよりかは、やっぱ刺激し合える仲っていうのはずっと言ってるんで。超したいっていう気持ちはあるんですけど、『アイツがやってるから俺も負けたくねえ』っていうのはあって、ライバルというよりかは、ほんと刺激をもらえる仲だと思ってるんで。そこはちょっと一線を引いてっていうか、(個人としては)敵としてですけど、(チームでは)味方であるんで、リスペクトというのを最大限払って、その中で刺激し合ってる仲だと思います」

チームメートのFW高岡伶颯の存在は大きい

―この3年間、サッカー以外で大変だったことはある?
「寮生活っていうのは今でこそ慣れてきたんですけど、1年生の時は親にずっと甘えてた分、洗濯だったり、身支度っていうか畳んだり、全部自立した中でやらないといけなかったんで、いい経験にはなったんですけど、最初はほんと大変でした」

―あまりやってこなかった。
「出張とか親が出かけてる時とかは自分である程度やってたんですけど、どうしても親いると甘えちゃうんで。そこはあと親の大変さっていうか、分かりました」

―育ててくれた親御さんには凄く感謝している。
「そうですね。1、2年の途中まではほんとずっと試合出れなかった中でも、やっぱ毎週試合がある時は必ず来てくれて、食事も寮生活だと思うように摂れないこともある中で、仕送りだったり送ってもらって、身体作りという面でもそのお陰で体重も結構増えて、ほんとに親のサポートがなかったら絶対ここまで来れなかったと思ってるんで、そこはほんとに感謝しています」

―選手権で活躍して、仙台へという気持ちは相当強い。
「自分がプロに行く選手っていうのをこの大会で全国に見せないといけないと思ってるので、『高岡だけじゃない』っていうのを毎回言ってるんですけど、見せつけられたらと思います」

―自己分析すると、どんな性格?
「日常は自分で言うのもおかしいんですけど、一線引いて真面目。ふざけるんですけど、これ以上やったらヤバいっていうところでちょっと越したりする時もあるんですけど、そこでちょっと一歩引いたりできるんで、自分では真面目な方だと思っています」

―ピッチ外ではどういう時間の過ごし方をしている?
「ピッチ外はいつもいる友達がいるんですけど、その人の部屋に行って練習の話をしたり、下らない話をして、ゲームをたまにしたり、アニメ見たりっていう普通の生活を送っています」

―マイブームみたいなのはある?
「時間ある時に限られるんですけど、部屋暗くして映画見ることですね」

―例えば?
「見た映画は最近だと『MOTHER マザー』っていう、長澤まさみさんが出てる子供と親の話なんですけど、そこでもやっぱちゃんとした親でよかったなっていう風に思いました」

得意のドリブルで相手の守りを攻略する

―スパイクの話も聞かせてもらおうかなと思いますけれども。今日から履いている『コパ』(アディダス)はどうだった?
「結構軽さもあって、自分もF50とか履いてみたりした中で1番しっくりくる製品だったんで、ほんとにやりやすかったです」

―結構、縦のドリブルとかも行けていたかなという印象だが?
「軽い分、やっぱ自分のスピードを活かせると思うんで、そういうところでやりにくさっていうのが全然なくて、初めて履いたんですけど、違和感なくプレーできたのでよかったです」

―中でのブレやフィット感については?
「中のブレも全然なくて、キックする時も思ったところに飛んだり、思ったように蹴れるっていうのが結構ありました」

―1番いいなって思ったのはどこ?
「やっぱ軽さがあるんで、初めて履いたのにドリブルとかしやすいっていうのは本当にしっくりきました」

―これを履くことで、自分のこういうプレーで引き出せそうだなっていうところはある?
「軽さってずっと言ってるんですけど、自分のスピード、ドリブルとか活かして、その中でクロスだったりっていうのはほんとに蹴りやすいスパイクだったんで、そこを特長としてやっていきたいです」

―デザインはどうかな。
「シンプルで、派手すぎない感じで、ほんとにちょうどいいと思っています」

―踏み込みとかは?
「違和感なく、ずっと(これまでと)遜色のないプレーができていました」

―普段、スパイク選びはどういうところにこだわっている?
「1番は軽さと履いた時の蹴りやすさなんですけど、その2つです」

―スパイクによってプレーは変わる?
「キックする時に中でズレたりすると、足首結構捻挫癖があって捻挫しちゃう。初めてのスパイクで何回も捻挫してきたんで、今日はそれが全然なくて、ほんとにやりやすかったです」

―これまでサッカー人生で自分に1番影響を与えた人や選手がいたら教えて下さい。
「そうですね、やっぱ選手で言うと、1番は高岡選手。高岡に影響を受けて過ごしているんですけど、今までの指導者の影響は大きいです。小中高もそうですけど、自分のウィークポイントとかストロングポイントを全部教えてくれたんで、そこで自分のドリブルが武器になるっていうのは分かりましたし、逆にウィークポイントで言ったら、走力だったり守備の面だったりっていうのは口酸っぱく言ってもらったんで。走力はついてきたんですけど、守備面ではもっとレベルアップしていいかなと思うんで、もう少し頑張りたいと思います」

―そのドリブルはどうやって培ってこれた?
「小中ずっとブルーウイングっていうチームで、ドリブルチームなんですけど、もうドリブルばっかしてきて、コーンドリブルだったり1対1だったりして、自主練ではやっぱお父さんとコーンドリブルをずっとやってて、ドリブルばっかしてきた幼少期だったかなと思います」

―左利きで良かったな、と感じることは?
「左利きはやっぱ少ないんで、そこで左利きっていうだけで1つの特長になりますし、左利きのドリブラーって自分の名前が響き当たりやすいっていうので、左利きで良かったなと思います」

全国大会での大暴れを狙う

―仙台ではどんな活躍をしたい?
「自分のドリブルからチャンスメイクして、得点パターン増やして、得点に絡めるような活躍ができたらと思います」

―仙台に内定した後、仙台の歴史を調べたりしたのかな?
「そうですね。結構か分からないですけど、J1に上がった時とか、逆にJ2に落ちてしまった時とか、切り抜き動画だったり、youtubeだったり調べて見ました」

―仙台は震災を乗り越えてきた町。サポーターを勇気づけるようなプレーを見せたい。
「実際、向こうに行って練習とかした時に、ほんとにサポーターがいっぱいいて、ホームの試合見させてもらって、本当に声援というか、応援がやっぱ人が多い分、本当にこの中でやりたいなっていう風に思いましたし、これからサポーターのことを背負う分が多くなってくると思うんで、そのサポーターの気持ちに応えられるような、愛されるような選手になりたいです」

―日章学園の原監督もかなり熱い方だけど、仙台の森山さんも相当熱い方。
「伶颯がちょっと代表でお世話になった期間あって、そこで色々話聞いて、こういうプレーが好きとか教えてもらったんで、自分も熱いプレーを見せられたらと思います。伶颯みたいに体張れる選手が好きって言ってたんで、無理が利く選手っていうか、踏ん張れる選手とか、そういうところで評価してもらえるような選手になりたいです」

―1年目はどんな活躍を。
「1年目、最初はほんと試合に出ることがまず目標で、試合に出てから高卒プロっていう高校生のようながむしゃらさっていうのを見せれたらなと思います」

―仙台サポーターも見てくれると思うが、選手権はどのような大会にしたい?
「選手権をサポーターが見てくれるかは分からないんですけど、活躍してどんどん上に上がっていったら必ず目には留まると思うんで、そこまで行けるように、自分がチームを勝たせて、得点、アシストに絡むような活躍を県大会よりもっと増やしていきたいです」

―ノルマは?
「得点、アシスト合わせて10得点絡めるように活躍したいです」

―チームとしても歴史を変える大会に。
「『今年こそは』って言って去年も挑んできた大会なんで、本当に『今年こそは』っていう思いで最後ですし、もう無駄なプレッシャーとか関係なく、もう暴れたらやっぱ勝ち上がれるチームだと思ってるんで。もう何も気にせず、あと暴れるだけだと思うんで、頑張りたいです」

(取材・文 吉田太郎)


●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました