「ずっと上手かった」「1人学年違うみたいな感じで」。流経大柏のプロ内定コンビ、FW松本果成とMF亀田歩夢が相棒の凄さや選手権について語る

流通経済大柏高の湘南内定FW松本果成(3年=上州FC高崎出身、左)と富山内定MF亀田歩夢(3年=P.S.T.C.LONDRINAジュニアユース出身)
 第103回全国高校サッカー選手権が28日に開幕する。今大会はJリーグクラブ内定選手6名が出場。流通経済大柏高(千葉)は、湘南内定FW松本果成(3年=上州FC高崎出身)、富山内定MF亀田歩夢(3年=P.S.T.C.LONDRINAジュニアユース出身)という2人のJクラブ内定選手を擁している。

 U-17日本代表の松本は、スピードやスプリント力などで違いを生み出す大型アタッカー。今シーズンは右SBとしてスタートしたが、現在は攻撃的なポジションでその武器を発揮している。一方、フットサル出身の亀田はチーム屈指のテクニシャン。その正確なボールタッチと判断力でチャンスを生み出し、ゴールも決める。その2人が自身にとって初となる選手権への意気込みや、3年間で成長したところ、また互いの凄さなどについて語った。

―全国大会が近づいてきてますけれども、今の心境をそれぞれ教えて下さい。
松本 「高校に入ってきた理由としても、選手権に出たいっていう思いがあります。自分がやっと3年になって、チームとしても3年ぶりの全国なんで、ほんとに他のチームより、誰よりも全国で勝ちたいという気持ちは強いと思うんで、やっとの全国なんで、ほんとに全力を出し切って頑張りたいっていう気持ちです」
亀田 「自分としてもちっちゃい頃からの夢であった選手権っていう舞台にやっと立てる。チームとしてもずっと出れてなくて、やっと自分たちの代で出れたっていうところで、果成も言った通り、勝ちたいという気持ちは絶対どこのチームよりもあると思うんで、それを出し切るだけかなと思います」

―入学してから選手権予選の決勝は初めて。雰囲気どうだった?
松本 「ほんと、ピッチ内の声も全然通んないような環境で圧倒されてるような感じだったんですけど、その中でサッカーできるってことはほんとに楽しくて、自分としても選手権予選で少しずつコンディション上げれたんで、ほんとにいいタイミングっていうか、いい経験させてもらってるなと思っています」
亀田 「緊張感とか味わったことないところで、決勝ってだけでも緊張しますし、あれだけ人が入ったらやっぱ緊張して、応援だったりそういう部分もほんと声通んないと思ったし、自分のプレーを発揮するのも難しいですけど、その中でみんなああやって自分の特長などを出せて勝てたので、全国も県予選と同じようなプレーができたらなと思います

―こいつ、緊張してんな、っていうのは無かった?
2人 「無かったです」

―それぞれ決勝のパフォーマンスはどうだった?
松本 「自分としては、プレミア(リーグ)もちょっと出れてない時期があったりして、あんまりコンディションが上がってなかった中で選手権になって、ポジションは(SBからSHへ)変わったんですけど、スタートで使ってもらえるようになって、ほんとに選手権から徐々に調子も上がってきたんで、 コンディションはだいぶ良かったです。点は取れなかったんですけど、積極的にシュートを打ったり、クロスでチャンスメイクっていうのはできたんで、徐々に良くなってるんじゃないかなと思います」

―亀田君は?
亀田 「自分はあんま慣れてないポジション(トップ下)でしたってところで、前半は守備の時間が多くて、そういうのも含めて自分の特長っていうのは、決勝であんま出なかったんですけど、守備のところでチームのためにっていうのは考えてやっていたので、そういう部分では凄くいい試合ができたと思います」

―優勝の瞬間は?
松本 「自分、ずっと強いチームにいたっていう訳じゃなくて、県優勝ってことを経験したことがなかったんで、ほんとに嬉しかったですし、この県を絶対優勝するっていうのをまず目標にして全員が取り組んでたんで、ほんとにあの瞬間は1番嬉しかったです」
亀田 「味わったことない嬉しさで、1番嬉しかったっていうか、人生で。みんな、ほんとに泣き崩れてた選手もいましたし、それだけ頑張ってたんで、何か優勝した瞬間は解放されたっていうか、やっと結果出したなって感じました」

松本は復調し、選手権予選では攻撃的なポジションで奮闘
亀田は県予選準決勝で大活躍するなど、優勝に貢献

―凄くいいスタートを切りながら、苦しい1年でもあった。
松本 「なかなか調子良かった時があったけれど、落ち込んだ時がほんとに沈みきっちゃったみたいな感じだったんで、まず県を優勝できたのは良かったです」

―どの時期が特にキツかった?
松本 「前期の最後らへんからちょっと負けて、負けて、後期入っても勝てないっていう時期が続いた時は、ほんとにチームとしても苦しかった時期です」

―個人としてもちょっと大変だった。
松本 「自分としても前期の最後からちょっと出れなくなったり、後期が始まってもサイドバックとして出れない時期が続いていたので、あの時期は1番苦しかったですね」

―それどう乗り越えてきた?
松本 「『苦しい時期が来ない人なんてない』と思うんで、そういう時に自分がどうやってチームに貢献できるかっていうのを考えてやっていました」

―亀田君は?
亀田 「最初が良かった分、悪い時期はやっぱ結構辛いっていうか、チームとしても、個人としてもキツかったんですけど、市船にインターハイ負けたぐらいからちょっとチームが落ちていって。それぐらいからは個人としても前期の良さっていうのがあんまなくて、そこが1番キツくて。でも、選手権入るぐらいになってまた調子を上げれて、今も少し調子良い状態なんで、辛い時期があった分、今また良い時期が来たかなと思います」

―マークが厳しくなって、思うようにいかなくなってしまった。
亀田 「マークする人も多かったですし、あんま寄せてこないっていうか、ちょっと対策っていうのはされてて、そこは乗り越えないといけないと思うんで、自分自身が何か工夫できることを、シュートのところをまた磨いたりして、少し乗り越えられたと思います」

―プロへ行くし、選手権は絶対っていう思いもあった。
松本 「最初決まった時は周りから見られ方が変わってきてて、ほんとにプレッシャーにはなっていました。選手権でもそういう見られ方をしたんですけど、少しずつそういうプレッシャーっていうのを自分の中で改善して、自分自身の受け方としては期待感として受けようかなって思っていて。そういう部分では、自分の考え方を変えるために、良かったと思います」

―亀田君もプレッシャーはあった?
亀田 「自分より先に果成が決まって、その後に自分が決まったので、決まった時は、そんな周りから見られるっていうのはあんまなかったです。でも、チームのために貢献度をその分上げないとダメだなと思って。だから、そういう部分では危機感というか、もっとやんないとヤバいなと思っています」

―松本君から見た亀田君の『ここはえぐいぞ』『ここ半端ないぞ』ってどういうところ?
松本 「歩夢は自分とほんとに全然違うタイプで、自分は足元じゃなくて、歩夢はチーム1ぐらいで足元の技術が高くて。自分がサイドバックやってた時に歩夢と対峙することもあったりして、そういう時はほんとに足が出せなかったり、タイミングズラされて縦突破されたり、ほんとに1番面倒くさいっていうタイプのスタイルでほんとにプロ行くって納得だなっていう感じです」

亀田はトレーニングから技巧で差を見せつけている

―亀田君から見て松本君は?
亀田 自分もそれは思っていて、身体が自分はあんまない中で、果成はそこがチームでズバ抜けてますし、試合終わった後とかも『Knows/ノウズ』とかの数値見てるとズバ抜けていて、こういうやつがもっと上行くだろうな、プロ行くのは納得だなって思いました」

松本は抜群の能力の高さが魅力

―下級生ぐらいから、そんな感じだった?
松本 「歩夢はずっと上手かったです。去年からプリンスとか試合で出て、ほんとにそういう舞台でも歩夢は通用していたんで、歩夢はプロになるんじゃないかなって思っていました」

―亀田君は松本君をどう見ていた?
亀田 「自分は1年からは果成を見てて、やっぱルーキーリーグとかも最後の方出てて、凄い試合は何か1人学年違うみたいな感じで、ほんとサイズ感も違くて、『コイツは凄いな』と。プロへ行くのは妥当だと思います」

―この後、プロ行ったらライバルになるけれど、どういう存在になりそう?
松本 「同じタイミングで高卒からプロ行くんで、本当に負けられないなっていう思いはあります」
亀田 「今同じチームですけど、高校卒業したら違うチーム行くっていうところで、果成ともし対峙したら自分が上っていうのは見せたいですし、やっぱ絶対勝ちたいって思います」

―3年間同級生。ピッチ外ではどんな感じ?
亀田 「クラス一緒なんで話しますし、果成は結構静かだった方。結構学校とかでも静かなんで」

―隠している?
亀田 「素じゃないですか?」

―松本君から見て亀田君は? 
松本 「歩夢はみんなから愛されてて可愛がられるタイプ。クラスの中でも、寮の中でも、サッカーでも」

―それは狙って?
亀田 「いや、それはないですけど。でも、それ言ったらやっぱ果成も愛されキャラじゃないですか」

―それぞれ中学校まで自分が築いてきたもので、どういうところが大きかった?
松本 「中学校からあんまりプレースタイルは変わってないと思うんで。中学校よりも周りの技術が上がったりしてて、みんなのレベルも高いんで。それで自分は活かしてもらってる側だと思うんで、流経に来れて良かったです」

―流経来てからの3年間で特にここは伸びたなっていうのはどこ?
松本 「1番自分が感じているのは、ほんとに運動量っていうか、走れるようになったなって思います。中学の頃は攻撃行くと疲れて戻ってこないみたいに言われてる感じだったんで、ほんとに自分が動けるようになったんで、そこはチームのためになってると思ってるんで、そこは流経に来て変わったかなと思います」

―プロの練習に参加しても、スプリント回数はJリーガーよりも遥かに上だったと。
松本 「それは聞きました」

―3年間の取り組みの成果?
松本 「そうです」

松本はダイナミックな動きでゴールへ

―亀田君はどうかな。中学までに培ってきた足技はかなり活きている。
亀田 「ずっとプレースタイルっていうのは変えてなくて、自分だけのプレースタイルっていうか、他の選手とは違うっていうのがあると思います」

―高校入ってからここは伸びたな、というところは?
亀田 「やっぱ足元の技術も伸びたのかなと思いますし、あとは守備のところで戦うっていうところとか、寄せるスピード、強度っていうのはかなり上がったかなと思います」

亀田は特長のテクニックを存分に発揮するか

―スパイクの話も聞かせてもらおうと思いますけども、松本君が今履いているのはプレデター(アディダス)
松本 「(履き始めたのは)3年のプレミアの前期の途中ぐらいです。元々はプーマだったんですけど、試してみようと思って履いてみて、ほんとに履きやすくてプレーもしやすかったんで、そこから変えたって感じです」

―自分のここが引き出されてるなっていうところはある?
松本 「キックは蹴りやすくなったと思います。自分のサイドバックのクロスが結構1年の時下手だったんですけど、3年になってちょっと良くなったと思います」

―なぜキックが良くなったと思う?
松本 「プレデターは内側に入っているグリップっていうか、それの摩擦でカーブとかかかりやすくなっていると思います」

―他にこのスパイクの好きなポイントは?
松本 「軽いんで、とにかく。ほんとに他のスパイクよりも全然軽いんで、走りやすいです」

―これまで。スパイクを選ぶ時のこだわりはどのようなところだった?
松本 「足のフィット感っていうのはこだわっていて、そこはアディダスのプレデターは変わらずフィット感があるので、良いです。そこは前から意識していました」

―もう足入れた感じから違う?
松本 「横がちゃんとギュッとするんで。ズレないんで」

―このスパイクを履いて、選手権ではどのようなプレーを。
松本 (注目してもらっている立場に)恥じないように、ゴールを決めたり、裏へのスプリントだったりもどんどん増やしていけたらなって思います」

―亀田君はモレリア(ミズノ)のジャパン2。いつ頃から履いている?
亀田 「モレリアは小学校6年とかから履いていて。たまにちょっと他のスパイク履いたりもするんですけれども、結局モレリアが良いなと思って履いています」

―モレリアにこだわってる理由は?
亀田 「(天然の)皮革がいいですし、何か自分の足の形になっていて、キックだったり、ドリブルが凄くしやすいです」

―上手い選手が履いてるようなイメージがある。
亀田 「確かに自分と似てるスタイルの人はよく履いているなと思います。やっぱ1番やりやすいなという感じです」

―ボールタッチのどの部分が違う?
亀田 「自分、足裏とかも使うし、ポイントも何か丸型ですし、あと(天然)皮革っていうところでファーストタッチとかも違いますね」

―モレリアはフィット感が良いと聞くけれど実際どう?
亀田 「めちゃくちゃいいです」

―他を履いてもなかなか上回ってこない。
亀田 「そうですね。1番いいなって感じます」

―小学校の時からスパイクこだわってモレリアを履いていた。
亀田 「シンプルに、ちっちゃい頃は格好良いっていうので憧れで履いていました。今はフィット感とか。でも、そういうのから始まりました」

―選手権はどういう大会にしたい?
松本 「チームとしても3年ぶりの全国で、全員が憧れてる舞台なんで、しっかり全員が同じ方向を向いて、日本一っていう夢に向かってチーム一丸となって頑張っていきたい。個人としては、予選で点取れてないんで、全国っていう舞台で点取ってチームを勝たせるぐらいの気持ちで頑張りたいです」
亀田 「チームとしては、久々の全国大会っていうことで、必ず自分たちが全国で結果残して、この流経っていうのをもっと進化させたいと思いますし、個人としては見ている人が楽しむっていうか、自分のプレーを出して、また得点も決めて、個人としては必ず結果を出したいです」

亀田は「個人としては必ず結果を出したいです」
松本は「点取ってチームを勝たせるぐらいの気持ちで頑張りたいです」

―亀田君から松本君にノルマを。
亀田 「ノルマっすか。果成、最近になってポジションも後ろから前になってて、結果残すってところでは5点ですか」

―松本君は?
松本 「歩夢はもうずっとプレミアで点取ってるんで、自分以上に点取って欲しいんで、6、7点ぐらい取って欲しいです」

―選手権は来年に向けても良いアピールの場。最後に、応援してくれるサポーターへのメッセージも教えて下さい。
松本 「全国はテレビで放送されたり、より見て下さる機会っていうのは増えていくと思うんで、コイツが来年から来ればチームは良くなるんじゃないかっていう期待をして頂けるようなプレーを見せていきたいと思うんで。ほんとに色々な試合で見て頂けるように頑張るので、応援して下さるとありがたいです」
亀田 「自分は大胆なプレーっていうのはなくて、大胆なプレー以外で、細かなプレーを見てもらうためにも、自分が出ている試合は結構自分だけを見て欲しい。自分の良さを選手権では必ず発揮して、やっぱ富山の人にこういう選手が来るんだっていうのを見てもらいたいです」

2人は3年間クラスメート。チームメートとともに日本一を勝ち取る

(取材・文 吉田太郎)


●第103回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー

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