[1.2 選手権3回戦 東福岡高 1-0 阪南大高 駒場]
生みの苦しみを味わっていた。しかし、東福岡高(福岡)FW伊波樹生(3年)に待望の瞬間が訪れた。
1、2回戦ともに先発出場した背番号9を背負うストライカーだが、2試合で放ったシュートは計2本でノーゴール。平岡道浩監督も「表情が暗かった」と振り返る。だからこそ、「とにかく、80分間、関わり続けよう。関わり続けたらチャンスが必ずくるはずだ」と伊波の背中を押してピッチへと送り込んでいた。
すると、前半8分にいきなり見せ場がやってくる。左サイドでドリブルを仕掛けたMF神渡寿一(3年)が相手の注意を引き付けると、前線へとフリーで駆け上がる。「昨日からずっと、神渡が『俺が突破してアシストするから』と言ってくれていたので、自分は信じて待つだけだった」。
ボールを呼び込んだ後も冷静だった。「相手GKの動きを見て、落ち着いて決めることができた」と右足のシュートでネットを揺らし、決勝点となるゴールを記録した。「自分としてはもっと早い段階から点に絡みたかったけど、とりあえず一点決められて良かった」と安堵の表情を見せた。
しかし、40分に訪れた追加点の場面で右足から放った強烈なボレーシュートが相手GKに阻まれ、「あれはマジで決めたかったです。もっと落ち着いてコースを狙えていたら、決められたはずなので反省しないといけない」と唇を噛んだ。
「正直、悔しい気持ちがある。1点は決めたけど、もっと点を取ってチームに楽にできたと思う」と試合後には悔しさを滲ませたが、これまでの2試合で「暗かった」という表情は、もはやない。待望の今大会初ゴールも生まれたことで「波に乗っていけるはず」と吹っ切れたストライカーは、「ここからドンドン決めていきたい」とゴール量産を誓った。
(取材・文 折戸岳彦)
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Source: 大学高校サッカー
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