[プリンスリーグ九州1部]残留争う筑陽学園との直接対決。九州国際大付が気迫と高さ、速さで制し、9位浮上

前半12分、九州国際大付高CB山本遥斗が先制ヘッド
[10.7 高円宮杯プリンスリーグ九州1部第15節 筑陽学園高 2-3 九州国際大付高 福岡フットボールセンターA]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 九州1部は7日、第15節を行った。残留を争う9位・筑陽学園高と10位・九州国際大付高との福岡県勢対決は、3-2で九国大付が勝利。筑陽学園をかわし、9位へ浮上している。

 ともに今季2勝と苦戦の続く両チーム。選手権福岡県予選前最後のゲームは、左SB田中翔太主将(3年)が「下位同士の絶対に負けられない試合だし、選手権前良い流れで行きたいなと思ったので、アップから勝ちにこだわっていた」というように、ウォーミングアップから気合十分の九国大付が制した。

 江藤謙一監督は「(相手は小柄。)技術的なところは相手の土俵だから、今日はスピードと高さで自分たちのストロングと相手のウィークでぶつけてやろうと」と振り返る。その勢いと高さによって、前半、ライバルを凌駕した。

 12分、MF藤井滉稀(3年)の右CKをファーの注目CB山本遥斗(3年)がヘディングシュート。これが決まって先制すると、勢いそのままに追加点を奪った。15分、右ロングスローの流れからMF三好響輝(2年)が頭で競り勝ち、PAにボールが落ちる。これに反応したFW濱中翔太(3年)が右足ループシュートを決め、2-0とした。

 九国大付はベンチも含めて全員でゴールを喜んだ。対する筑陽学園は、前線で精力的な動きを見せるMF吉田虎次朗(3年)や主将のMF堤翔之介(3年)を軸にボールを繋いで反撃。26分には、果敢な攻め上がりを見せていた右SB小浦優希(3年)がパス交換から右足を振り抜く。だが、九国大付は34分にも圧倒的な高さを示していた山本が左SB田中翔太(3年)の右ロングスローで競り勝ち、ゴール方向へボールを落とす。最後はCB赤金翔(2年)が頭でプッシュ。リードを3点へ広げた。

 九国大付は今年4月にGKからFWへ転向した10番FW木須亮介(3年)が高さとスピードで相手を苦しめる。江藤監督が「凄く素直で頑張る子。めちゃくちゃ良くなった。献身性とかチームのために自分ができる武器を存分に発揮するのは相手にとって嫌だと思います」と評したFWが体を張ったほか、濱中の突破などから追加点のチャンス。一方の筑陽学園は多くの時間帯でボールを保持しながらも、3点を追う展開となった。正確にボールを繋ぎ、サイドから仕掛けてクロスにも持ち込んでいたが、山本を中心とした相手の堅い守りに弾き返されてしまう。

 それでも、後半開始から10番FW柏木蓮杜(3年)を投入した筑陽学園は、前への意識が向上。左SB上甲健輔(3年)の左足CKやクロスからチャンスを作り出す。九国大付は守備の時間がより増える中、濱中、木須の2トップから相手の攻撃に制限を掛け続け、相手に自由を与えない。試合終盤へ向けて守りに緩みが出ていたが、それでも、DFラインがシンプルに相手の攻撃を跳ね返していく。

 筑陽学園もこのままでは終わらない。38分、相手の隙を突く形で上甲が左クロスを上げ切る。これを交代出場で攻撃を活性化していたMF綿貫巧大(1年)が頭でリーグ初ゴール。さらに40分、吉田がPAへ潜り込むと、最後はCB清水陽斗(3年)が左足で押し込み、1点差とした。

 九国大付は自分たちから崩れてしまい、流れは完全に筑陽学園。だが、この試合にかけていた九国大付は踏ん張る。際のところで体を張り、人一倍の運動量も見せるMF目良真寛(3年)と藤井のダブルボランチが献身的な守りを続け、山本や田中が高さや守備対応の特長を発揮する。そして、3-2のまま試合終了の笛。九国大付の各選手は全身で喜びを表現していた。

 九国大付は昨年のインターハイに出場し、全国1勝。今年もポテンシャルの大きなチームだが、気持ちの部分で強さを出せなかった。接戦で勝ち切れずに下位へ後退。それでも、この日は「3年生の責任感ですね。1、2年生に繋げなきゃという責任感や絶対に1部を保持しなければいけないという責任とかをしょっていない気がして。(3年生に対し、)『1、2年生に来年2部で戦わせる気か』と。『自分たちだけ良ければ良いではなく、伝統を受け継いでやらないといけない』と伝えました」という指揮官の檄で選手たちが発奮し、3週間後の選手権予選準々決勝でも戦う可能性のある筑陽学園に勝利した。

 田中が「最後までやり通すところが課題だと思うし、失点も最後のところで気が抜けていた」と振り返ったように、反省点があったことは確か。それでも、チームにとって大きな1勝となった。田中は「3点取れたのは大きいことだと思うし、守備も粘り強さは出せたと思います。やるべきことを徹底してやったら(選手権予選)優勝も全然狙える思う。練習から強度高くやっていきたい」。今回の勝利を自信に、また、飛躍のきっかけに。九国大付が後輩のためにも、プリンスリーグ九州1部に残留し、選手権予選でも勝つ。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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