「絶対、あの日を忘れないでおこう」。草津東の新主将CB武久宏斗は目の前で決まった東海大相模のラストプレー決勝点の悔しさを糧に

滋賀の名門・草津東高の新主将、CB武久宏斗(2年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)
「もう、忘れられないですね。『絶対、あの日を忘れないでおこう』って、『いい経験だけで終わらせない』ってもうずっと言ってるんで」。選手権出場校・草津東高(滋賀)の新主将、CB武久宏斗(2年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)は後半ラストプレーで失点して敗れた悔しさを忘れずに1年間を過ごす。

 草津東は、3年ぶりに出場した選手権初戦で東海大相模高(神奈川)と対戦。相手が強くて上手いチームだということは理解していたが、前回大会準優勝校・近江高を破っている自分たちにも自信があったという。

 前半17分にセットプレーから先制。だが、追いつかれ、後半40+4分にクロスバー直撃のシュートの跳ね返りを押し込まれた。武久はゴールライン際に落ちてきたボールを懸命にかき出そうとしたが、目の前で失点。草津東が初戦敗退となった一方、勝った東海大相模は準決勝まで勝ち上がった。それだけに、2025年シーズンに懸ける思いは特別だ。

「(敗れた悔しさだけでなく、)もう、ラストワンプレーも自分の前で失点してしまって。今年、キャプテンになって、もう1回全国に行って、絶対去年の結果を超える、先輩たちを超えるっていう思いが凄く強くあります。もう新チーム始まって1週間ですけど、凄く強度は求めて厳しくやってるつもりですし、やっぱりこれを1年間続けて、絶対にもう1回全国の舞台に戻りたいっていう思いは強いですね」と思いを明かした。

 高校2年生ながらU-19日本代表入り、トップチームとのプロ契約を締結しているG大阪ユースの逸材GK荒木琉偉(2年)は、G大阪ジュニアユース時代のチームメイトで寮でも同部屋だった仲。普段から連絡を取り合っているという荒木からも、「(試合後に)『守れよ!』って言われました。(彼がU-20ワールドカップアジア1次予選などの)ああいう舞台に立ってやってるって思うと、やっぱ凄い。自分もやらないといけない」。旧友からの言葉もエネルギーに再スタートを切っている。

 その武久は14日と15日の2日間、「2024地域トレーニングキャンプU-17関西」にチームメイトのCB池永一太(2年)、MF波多野凛空(2年)とともに参加。「遠慮しちゃってた感じだったんで、もっともっとできたなと思います」と首を振ったが、強みであるコーチングや競り合い、1対1の強さを発揮していた。

 初日の11対11のゲームでは最終ラインからのスルーパスでゴールの起点に。「自分1人でも守る、自分1人でチームを勝たせられるようにっていう思いはあります。もっとゴール前の寄せの速さとか(レベルアップし)、あとはビルドアップの時にただ繋ぐだけじゃなくて、決定機になるようなパスを出せるような選手にもなりたい」というDFは、一つ目指す形も表現した。

 今回、年代別日本代表の廣山望監督の指導を受け、ゴール前で相手選手に対して強く行くこと、またシュートブロックも発揮。「(年代別代表の映像などを見て)もっとちゃんとやらないとダメだなっていう風に感じて、ゴール前の強度とか寄せとかをもっと意識していこうって思っていました」。15日には、3本目に同点ゴールを阻止して勝利に貢献した。

 草津東勢は最終日の11対11でチームメイトの波多野が決勝点。草津東で武久と2CBを組む池永も複数のポジションで対応力を発揮するなど奮闘していた。新チームの練習試合では連続で無失点。武久は「(池永らとともに)堅守はやっぱ今年も続けていけてるなっていう風には感じますね」という。

 1年時は滋賀県予選決勝で近江に延長戦の末に惜敗。その近江が全国決勝まで勝ち上がり、悔しさをより味わった。だが、1年後の選手権予選決勝で近江に3-0でリベンジ。今年も惜敗した相手の躍進がエネルギーになることは間違いない。武久は「2024地域トレーニングキャンプU-17関西」で学んだことをチームに持ち帰って共有し、次は自分たちが全国舞台で勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー

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