[1.27 練習試合 U-17日本高校選抜候補 2-4 東京国際大]
全国ファイナルまで駆け上がったインターハイ。主力としてシーズンを戦い抜いたプレミアリーグ。そして、晴れ舞台まであと一歩届かなかった高校選手権。貴重な経験を積み重ねてきた1年間を経て、いよいよ臨むのは高校ラストイヤー。もっと、もっと、自分ならできると信じて、より高いステージまでたどり着いてやる。
「個人としてももっとチームを引っ張る側として、一段階上にレベルアップしないといけないなと思っています。こういう活動を通しても自分から積極的にコミュニケーションを取って、いろいろな選手に声を掛けて、リーダーシップを発揮していきたいですし、まだ代表には全然関われていないので、もっと注目されるように頑張っていきたいです」。
確かなリーダーシップと明るい笑顔でチームを引っ張る、U-17日本高校選抜のディフェンスリーダー候補。DF中野陽斗(神村学園高/2年=神村学園中出身)はレベルの高い環境で、新しい仲間たちと切磋琢磨しながら、勝負の1年に挑む準備を整えていく。
「自チームでやっている以上に個々のレベルは高いですし、選手権で活躍していた同級生が練習でも1対1の対人の相手にいるのはとても面白いですし、『こんな選手がいるんだな』という発見にもなったので、こういう活動は楽しいですね」。
3日目の合宿活動が終了したタイミングで、中野は笑顔を浮かべながらそう話す。全国から精鋭が集ったU-17日本高校選抜候補の選考合宿。この日に行われた東京国際大(関東大学1部L)とのトレーニングマッチでも、とにかく最終ラインから積極的に声を出す姿が印象的だったが、本人の中ではこの合宿期間中に少しマインドチェンジを図ったという。
「1日目や2日目の午前は自分の中で緊張や不安があったりして、少し楽しめていなかったんですけど、2日目の午後から『選抜なので合格不合格はあるけど、サッカーを楽しもう』と思って、そういう気持ちでやれるようになっていきました」。周囲に指示を送り、お互いの意図を確認しながら、チームメイトとのコミュニケーションを深めていく。
相手は2つ以上も年の離れた大学生。それだけに実際に肌を合わせつつ、自分の力の出しどころを考えていたとのこと。「大学生が相手ということで、自分たちより格上というのもわかっていたので、身体が大きい相手にどう戦うかだったり、どう自分がプレーすればいいのかという“試行錯誤”も楽しもうと思ってやっていました」という言葉にも、携えているパーソナリティが滲む。
最終日に組まれた日本高校選抜候補とのトレーニングマッチでは、1本目にセンターバックで登場しながら無念の3失点を喫する形となったが、4日間の活動で得られた小さくない収穫を、いよいよ本格的に始まる新シーズンへと生かしていくことになる。
2024年シーズンの中野は、プレミアリーグWESTでも開幕から3試合は出場機会を得られなかったものの、第4節の大津高(熊本)戦で初スタメンを飾ると、以降は最終節までの全試合で先発メンバーに指名されるなど、定位置をがっちり確保。インターハイでも全国準優勝に輝いたチームを、後方からきっちりと下支えした。
とりわけ日常から世代有数のアタッカーたちと対峙してきたプレミアでの経験は、自身の成長をより促してくれた実感があるようだ。「サンフレッチェだったら井上愛簾選手みたいな選手がいますし、いろいろなバリエーションを持っている選手とも対戦してきたので、裏抜けの背後の対応や1対1の対応も考えながら、シュートモーションから逆を突かれたりすることで、いろいろな対応の仕方ができるようになりましたね。同じ鹿児島の大石脩斗(鹿児島城西高/2年)はクロスに合わせるのが上手いですし、そういう相手とやってきた体験を、こういう選抜の舞台でも生かせるように意識はしています」。
一方で大きな悔しさに直面したのは高校選手権予選。8連覇を狙っていた神村学園は決勝で鹿児島城西高に0-1で競り負け、全国切符を取り逃がしてしまう。敗退の瞬間をピッチで迎えた中野にとって、あの日の80分間は改めて日常を見つめ直すきっかけになっている。
「とても悔しい経験にはなりましたけど、自分としては日常生活だったり、普段からの礼儀だったり、そういう小さなところから突き詰めないといけないなという学びにはなりました」。オン・ザ・ピッチも、オフ・ザ・ピッチも、突き詰めるべきは些細なディテール。同じことを繰り返さないために、日々の行動から自身を律していく。
映像で見た選手権の決勝は、とにかく刺激的なステージだった。「約6万人の方々が見ている決勝のような試合の中で、『自分はどれぐらい楽しんでやれるのかな』とか、いろいろなことを思いましたし、同学年でプレーしていた前育の選手や流経の選手もたくさんいたので、とてもうらやましいという気持ちはありますけど、ここからチャレンジャーとしてあの舞台を目指さないといけないなと思いました」。
「この合宿で前育の選手は結構仲良くなりましたね。(竹ノ谷)優駕はコミュニケーションを取るのが得意で明るいので、結構話しますし、白井(誠也)くんは『決勝は吐きそうだった』と言っていたので(笑)、それぐらい重圧が凄いんだなと思いました」。来年こそは、自分があの舞台へ。経験者の話を直に聞いたことで、より強い決意を固めている。
この合宿後は鹿児島に戻り、自チームで過ごす日常を重ねることになるが、中野はある“野望”を心に秘めている。「新人戦は自分がキャプテンをやっていたんですけど、有村先生は複数人のキャプテンを作ると言っていたので、何人かの試合に出ているメンバーで引っ張っていけたらなと思います。ただ、『神村のキャプテン』というのは重圧もあると思いますけど、そこも乗り越えていかないと個人のレベルアップにも繋がらないですし、その経験は社会に出てからも自分を助けてくれると思うので、そういう面でもキャプテンをやってみたいと思っています」。
ガンバ大阪でプロキャリアをスタートさせている名和田我空が昨季は背負っていた、『神村学園のキャプテン』への立候補宣言。届きかけた日本一への再挑戦となる新シーズンは、オレがこのチームを牽引していく。2025年を戦う神村学園のリーダーに名乗りを上げた中野陽斗、要注目。


(取材・文 土屋雅史)
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Source: 大学高校サッカー
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