[2.2 東京都CY U-17選手権決勝L FC東京U-18 3-0 FCトリプレッタユース 東京ガス武蔵野苑多目的G]
自分の足でグラウンドに立ち、ボールを蹴ることができる喜びは、誰よりも強く感じている。発散すべきエネルギーは蓄えまくってきた。高校ラストイヤーにそれをすべて解き放つため、もう未来の方向だけを向いて、とにかく最高の1年を過ごしてみせる。
「まずはこの新人戦で優勝できるように、みんなで『1勝ずつ積み上げていこう』と話していますし、個人としても去年は悔しい想いをした分、今年はプレミアという舞台で力を発揮できるように、良い準備をしていきたいと思います」。
その時々の最適解を見つけ出せるクレバーさと、周囲を巻き込むパッションを携えているFC東京U-18の新リーダー候補。MF二階堂凛太郎(2年=FC東京U-15深川出身)はケガに泣いた昨シーズンの悔しさを胸に、勝負を懸ける2025年のスタートを堂々と切っている。
2月2日。東京都クラブユースサッカーU-17選手権決勝リーグ。FC東京U-18はFCトリプレッタユースを“ホーム”に迎え、新チームになって初めての公式戦を戦うことになる。
キャプテンマークを巻いた二階堂は、ボランチの位置でMF田邊晴大(2年)と並びながら全体のバランスを維持しつつ、ボールを引き出して攻撃の起点創出に腐心。前半31分にはMF高橋裕哉(2年)のアシストからFW江口海渡(2年)が先制点を挙げたものの、チーム全体のギアはなかなか上がらない。
「新チーム初の公式戦で、最初は『ちょっと硬いかな』という感じはある中で、前半は1点しか入らなくて、自分たちとしてももう少し獲りたかったですけど、焦らず後半に行けたかなと思います」(二階堂)。決定的なピンチを迎えながらも相手のシュートミスにも助けられると、江口と途中出場のFW井部結斗(1年)が追加点を叩き出し、終わってみれば3-0で勝利を収めてみせる。
「久しぶりの公式戦だからといって、そんなに気持ちが入り過ぎたわけではないですけど、キャプテンマークも任せてもらって、少し緊張もありながらプレーしていました。楽しかったですし、やっぱり勝つと嬉しかったですね」。そう笑顔で話した二階堂の“久しぶり”は、他の選手のそれとイコールではない。彼にとってはこの日の試合が、実に約9か月ぶりとなる公式戦の出場だったのだ。


「彼の2アシストで勝った試合で、ここからというところだったんですけどね」と佐藤由紀彦監督が振り返るのは、昨年の5月19日に行われたプレミアリーグEAST第7節の尚志高戦。スタメンで出場した二階堂は、1点をリードされた後半に2ゴールを演出し、逆転勝利に大きく貢献。さらなる飛躍が期待されていたが、この一戦を境にメンバーリストから名前が消えてしまう。
「左のモモ裏の肉離れで、手術もしました。ケガした時期もやっとプレミアでもスタメンで出られるようになって、ここからという時期だったので、一度は気持ちも一番下ぐらいまで落ちましたね」。手応えを掴みつつある中での戦線離脱。その心中は察して余りある。
「焦りはメチャメチャありました。みんなが活躍している中で、自分は見ているだけしかできなくて、『何しているんだろう……』という気持ちもありましたし、正直悔しかったですね」。それでも、立ち上がる。自分を信じて、前を向く。すると、今まで当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなかったことに気付いていく。
「トレーナーの方やドクターの方が自分のために全力でサポートしてくれましたし、自分も『プロになるためにも、強くなって戻ってこよう』と思って一生懸命リハビリしていた中で、走っている時に『ああ、走れているだけでありがたいことなんだな』というマインドにもなってきましたし、『プレーできること自体が嬉しいな』と思いましたし、そういう意味では気持ち的にも強くなったのかなと思います」。
決して短いとは言えないような苦しいリハビリ期間を経て、ようやく戻ってきた公式戦のステージ。1つ1つの感触を確かめながら、ピッチに立つ感覚を少しずつ身体に馴染ませていく。“久しぶり”の真剣勝負は、やはりメチャメチャ楽しかった。
前述してきたように、この日の試合のキャプテンマークは二階堂に託されていた。佐藤監督は「まだキャプテンは決まっていないんですけど」と前置きしながら、こんなことを教えてくれた。「実は去年の3年生からアンケートを取って、リーダーにふさわしい選手とその理由を自分に提出してもらった時に、その集計結果を見ても彼が非常に信頼度が高かったので、今日はキャプテンをやってもらいました」。
指揮官の言葉は、さらに続く。「先日の“三送会”でも彼に1,2年生の代表で話すタスクを与えたら、凄く感動的かつリアリティある言葉を3年生に送ったんです。それは大人も聞いていてグッと来るような言葉で、『彼の言葉は強くて、深いな』と自分も感じました。彼はゴリゴリにリーダーシップを発揮するというよりは、俯瞰してピッチ内外の状況を見られる選手なので、選手の中の支持は非常に高いですね」。
本人も今シーズンのチームを牽引していく覚悟は、十分に整えているようだ。「監督ともいろいろな話をしていくうちに、自分の中で覚悟や責任も持っていて、本当にこのチームを良くしたいですし、もっともっと自分が引っ張っていかないといけないなという気持ちです」。
とうとう幕を開けた、このアカデミーで戦う最後の1年。青赤のユニフォームに袖を通すからには、やらなければならないことがある。このグループをポジティブな方向へと導くためのエネルギーを有した、FC東京U-18のキャプテン候補。2025年の二階堂凛太郎が発揮するしなやかなリーダーシップから、目が離せない。


(取材・文 土屋雅史)
Source: 大学高校サッカー
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