「国歌を聴いた瞬間から…」初の大舞台で“初戦の緊張感”襲う、U-20日本代表MF小倉幸成(法政大)が味わった45分間の悔しさ

初戦で悔しさを味わったMF小倉幸成
 試合開始直前に思わぬ緊張が襲った。U-20日本代表MF小倉幸成(法政大)はAFC U20アジアカップという大舞台のグループリーグ初戦・タイ戦で先発入りも、持ち前のパフォーマンスを発揮しきれず。前半45分で途中交代となった。「自分のなかで振り返って、(交代は)当然だろうなというのはあった」と悔しさを噛み締めた。

 U-20ワールドカップにつながるU20アジア杯の戦いが始まった。14日のグループリーグ初戦でU-20日本代表はタイ相手に3-0で勝利し、貴重な勝ち点3を獲得した。小倉はMF大関友翔(川崎F)と2ボランチを形成。実戦を重ねて攻守の肝となりつつある中盤コンビだが、小倉は「もう全然ダメでした」と振り返った。

「正直なところで言うと、本当に国歌を聴いた瞬間からちょっと緊張してしまった。緊張しないという、そういう気持ちではいたけど、どうしても体のところが正直ではなかった」。もっとも、持ち前のボール奪取力は発揮した部分もあった。それでも小倉自身は「(奪取を)もっと増やせる、増やしたかった」と後悔。加えて、自身の課題と捉えている攻撃面は改めて反省する。

「引かれた相手に対して自分ができるプレーとして、もっとシンプルにやることだったり、なるべく前に選択できるようなプレーをもっとできたんじゃないかと。自分のプレーを振り返って、もっとできた、もっとできると。そういう気持ちはある」

 鹿島アントラーズユースでキャプテンを務めた中盤の要だが、日の丸を着けたのは高校3年の3月、U-19日本代表として参加したヨルダン遠征だった。「高校年代で呼ばれていない中で本当に悔しさがあった」。ようやく訪れた機会を「本当に最初で最後のチャンス」と捉えて活動に臨み続け、着実に代表定着。昨年6月にはモーリスリベロトーナメントにも参加。同年9月のU20アジア杯予選では3試合すべてで先発入りした。

 日の丸への思いが強くなったからこそ、大舞台でいわゆる“初戦の緊張感”が襲ったのかもしれない。それでも小倉は「初戦の難しさというのは言い訳だと思う」と自戒。「初めてこういう大きな大会で出させてもらって、自分のなかでも熱くなりすぎた部分があった。判断のところも、頭の中で冷静になれていなかった」と胸中を明かす。前半終わり際にはファウルも増え、ハーフタイムで途中交代。「本当にイエローだけもらわなかったのは幸いだった」と自身のプレーを総括した。

 45分間で味わった悔しさは、次戦への価値にしていく。「この1試合でちょっとずつだけど慣れてきた部分はある」と前向きだ。次の相手は初めて参加したヨルダン遠征でも戦ったシリア。「本当にカウンターが強いイメージ」の相手にこそ、小倉の真骨頂が生きるとき。「(マークが)余っている選手のカウンターを潰すことが自分の役割」。次の舞台に向かうためにも「絶対にアジアで終わらせたくない。一試合一試合死ぬ気でやるだけ」と決意を新たにした。

(取材・文 石川祐介)


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Source: サッカー日本代表

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