アジアの戦いは、かけがえのない経験になっている。U-20日本代表は23日の準々決勝・イラン戦を制してU-20ワールドカップ出場が決定。25日の練習後、MFニック・シュミット(ザンクト・パウリU-19/ドイツ)は「イラン戦は気持ちが大事だった。みんなががんばってPK戦で勝った。試合後はみんなで楽しんだ。チームはもっと強くなった」と喜びを語った。
日本人の母とドイツ人の父を持つシュミットは、ドイツ生まれドイツ育ち。昨年10月にU-18日本代表として初めて日の丸を背負った。翌11月にはメキシコ遠征を行った今回の代表チームに初招集。そして、AFC U20アジアカップも飛び級でメンバー入りを果たした。
「新しいチームだったから、最初はちょっと難しかった」(シュミット)。一世代上になる今回のチームに参加したのは、昨年11月に続いて二度目。それでもチームの輪に入るには時間がかからなかった。「いっぱい時間があったから、いっぱい話して、いっぱい遊んだ。そしてもっと仲良くなった」。笑顔で取材に応えるシュミットの横を選手たちが通り過ぎ、笑顔でイジる。シュミットも笑いながら「黙れ!(笑)」といなしていた。
「みんなもっと強い友達になった。ニックはいっぱい助けてもらっている。ニックも日本の選手に英語の勉強を教えている。そういうのが面白い。みんな優しい。めちゃ優しい友達になった」
シュミットは、グループリーグ初戦・タイ戦で終盤に途中出場し、8分間で国際大会デビューを果たした。だが、それ以降は出場機会は得られていない。「ちょっと残念だけど、ニックはわかる。あまりプレーできないことは、アジアカップ前からわかっていた」。試合に出たい気持ちを抑えながら、冷静に言葉を整理する。
「アジアカップは初めてだから、そのエクスペリエンスをもらう。オグ(小倉幸成)、(中島)洋太朗、大関(友翔)はすばらしい選手。ニックもいっぱい教えてもらっている。もっと強くなって、この後もがんばる」
トレーニングでは、積極的にシュートを打つ場面が目立つ。とある練習後の自主トレでは、菅原大介コーチと1対1で徹底的にシュートの練習を行っていた。ドイツのときからシュートにはこだわりを見せており、両足でパワーのあるシュートが可能になったと胸を張る。
イラン戦ではシュミットと同ポジションの小倉が値千金の同点ミドルを突き刺した。そのシュートにはシュミットも大きな刺激。「(オーストラリア戦も)しっかりチャンスはある」と意欲を見せた。「ニックも見せしめてやる」。小倉のように日本を救うゴールを予言していた。
W杯出場が懸かったイラン戦前日の夕食にはウナギが振る舞われた。ただ、魚が苦手なシュミットは食べられなかったという。「ウナギはお母さんもおじいちゃんもおばあちゃんも好きだけど、ニックはあまり食べれない」と弁明。「ほかの日本のごはんはめっちゃ美味しい」。チームに帯同したシェフが作ったカレーには感動。「今日はにゅうめんだった。あれはめっちゃいい」と教えてくれた。
充実した日々をまだ続けるつもりだ。26日の準決勝・オーストラリア戦に備えた練習を終えて準備は万端。「明日は絶対勝つ」。力を込めて、日本の勝利を誓った。
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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