[デンチャレ]J1開幕戦でスタメンを飾った“U-18の同期”に芽生えた対抗心。FW真鍋隼虎(明治大)が「関東選抜Aの10番」に滲ませるプライド

チームメイトとハイタッチを交わす関東選抜A FW真鍋隼虎(明治大3年=名古屋U-18)
[2.27 デンチャレグループA第2節 U-20全日本選抜 1-2 関東選抜A 時之栖スポーツセンター 裾野C]

 ストライカーというポジションを突き詰めてきたからこそ、実感していることがある。『チャンスは突然やってきて、一瞬にして通り過ぎていく』。だから、掴む。目の前に現れるゴールのチャンスを。より高い場所へとたどり着くチャンスを。勝負はまだまだこれからだ。

「自分は大学に進んでから、選手としてだけではなく、人間性や人間力を学べていますし、プレー面での幅も広がったと思うので、あとはゴールを取るという自分の特徴に磨きをかけて、大学サッカーの中でナンバーワンのフォワードになって、プロの世界に行きたいと思います」。

 関東選抜Aの10番を託された獰猛なゴールゲッター。FW真鍋隼虎(明治大3年=名古屋U-18)はとにかく得点という成果を出し続けて、自ら望んだステージを奪取していく。

「チームとして僕らは『関東選抜A』ということで、やっぱり関東がナンバーワンじゃないといけないと思っているので、そこのプライドは持ちつつ、しっかり優勝したいと思います」。

 真鍋は表情を引き締めながらそう話す。強豪ひしめく関東の各大学から集められた『関東選抜A』には、既にDF諏訪間幸成(筑波大3年=横浜FMユース/横浜FM内定)やFW肥田野蓮治(桐蔭横浜大3年=関東一高/浦和内定)のようにJ内定選手も選出されるなど、好タレントが揃っている。

 そのチームで10番を託された自覚は、しっかりと持ち合わせてきた。「大学に入ってからこういう選抜には呼ばれていなかったですけど、今回は関東選抜Aの10番ということで、去年だったら中村草太さん(サンフレッチェ広島)が付けていましたし、もっと大学サッカー界で突出した存在にならないといけないと思います」。

 だが、真鍋も先発出場した初戦の東海選抜戦は、2点を先行しながらも3失点を喫してまさかの逆転負け。優勝を狙う上では絶対に落とせない2戦目。「昨日の選手間のミーティングで1つになった感じはありましたね」とチームの一体感への手応えを口にする10番は、ベンチから出場機会を窺う。

 前半の序盤は圧倒的に押し込まれ、流れそのままに先制を許したものの、29分にDF佐々木奈琉(早稲田大3年=帝京長岡高)が同点弾を叩き込むと、少しずつゲームリズムは関東選抜Aに。すると、真鍋もピッチサイドで交代のタイミングを待っていた後半35分に、途中出場のFW佐藤遼(城西大3年=仙台育英高)が貴重な逆転ゴール。チームは1点のリードを奪う。

 アディショナルタイムも含めて15分弱。もちろん追加点は狙いつつも、クローザーとしてのハードワークも欠かさなかった真鍋の耳に、タイムアップの笛が聞こえる。歓喜する赤いユニフォームの選手たち。「今日の結果が出たのは良かったですけど、まだ1位通過が決まっていないので、明日も勝ちたいですね」(真鍋)。関東選抜Aはグループステージ最終日に決勝進出を懸けて挑むことになった。

 名古屋U-18の3年時には、夏のクラブユース選手権で得点王に輝き、チームの日本一に大きく貢献。世代最高峰の高円宮杯プレミアリーグでも12ゴールをマークするなど、本格派のストライカーとして大きな期待を集めて明治大へと入学した真鍋だったが、1年時の6月には右ヒザ前十字靭帯断裂の重傷を負ってしまい、長期離脱を余儀なくされる。

「チームを客観的に見ることができたので、練習を見ていても気づくことが多かったですし、あとはケガしないような身体作りという部分で、筋トレとかケアへの意識は高くなりました」。離脱期間に重ねたさまざまな経験は、もちろんオン・ザ・ピッチへの好影響をもたらしてくれたが、オフ・ザ・ピッチの部分でも、よりポジティブな意識改革が進んだという。

「ケガをしていても『チームに対して何ができるか』というところは常に考えてきましたし、それこそ試合に出られない先輩も自分の悔しい気持ちを抑えながら、チームのために何ができるかを常に考えて行動していたので、どんな立場にあっても、チームが勝つために自分はどんな貢献ができるかということは、より大学に入って考えるようになりました」。

 少しずつ状況は好転する。2年時の10月に関東大学リーグ初ゴールを記録すると、昨シーズンはリーグ戦17試合に出場して、中村、MF藤森颯太(3年=青森山田高)に続いてチームで3番目に多い7ゴールをゲット。ようやくその持っている才覚の一端を、大学サッカーの舞台でも解き放ち始めている。

 今月に入ってからは、小さくない刺激を受ける出来事があった。2月15日。J1開幕戦。川崎フロンターレと対峙する名古屋グランパスのスタメンリストには、真鍋にとってU-18時代のチームメイトであり、筑波大蹴球部を退部して1年“前倒し”で古巣のトップチームへと帰還したMF加藤玄の名前が書き込まれていたのだ。

「開幕スタメンは想像していなかったわけではないですけど、むしろ副キャプテンだということを聞いた時にはビックリしました」と笑いながら、続けた言葉に確かな対抗心も滲ませる。

「大学に入っても常に玄のことは意識していたので、そこは切磋琢磨してやれてきたとは思っていますけど、もちろん玄のそういう話を聞くと悔しい気持ちはありながら、自分も早く追い付きたいですし、玄に負けないぐらいの活躍をしたいと思います」。

 デンソーカップから幕を開ける2025年は、オレが大学サッカー界の主役をさらってやる。虎のように力強く襲い掛かり、隼のように雄大に羽ばたく。紫紺の命運を託されたストライカー。真鍋隼虎のゴールに懸ける執念、比類なし。

(取材・文 土屋雅史)
Source: 大学高校サッカー

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