[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.14 中国高校新人大会1回戦 作陽学園高 4-1 瀬戸内高 キリンレモンスタジアム人工芝多目的グラウンド]
「僕が作陽に来てからなら、センターバックとしては一番だと思う」。作陽学園高(岡山1)の酒井貴政監督と太鼓判を押すのが、キャプテンを務めるCBのDF藤田結大(2年)だ。
瀬戸内高(広島2)と対戦したこの日もポテンシャルの高さを随所で感じさせた。最大の持ち味は184cm、83kgのフィジカルを生かした競り合いの強さ。「県大会も中国大会も背後に蹴ってくるボールが多いので、ヘディングで負けないように意識していました」。そう振り返る藤田は「絶対に負けないというメンタルが生きている」という高さを発揮し、ハイボールへの対応でことごとく勝利。大型でありながらもステップワークの良さも彼の強みで地上戦でも穴を感じさせない。
無失点で終えた県大会に続き、今大会でもクリーンシートを目指していたが、前半28分には風の強さも影響し、CKを直接決められ失点を許してしまう。それでも、以降はきっちり対応。奪ってからはもう一つの武器である左右両足でのロングフィードも披露する。
利き足は右だが、バルサアカデミー奈良に所属した中学時代、右足を怪我したことを機に「左足も蹴れた方が良いと思って」自主練した結果、左右両足で長いボールを蹴れるようになったという。ただ、闇雲に蹴るのではなく判断よく蹴り分けることができるのも彼の良さだ。サイドに展開し、相手DFが警戒すれば手薄になかったDFの背後に入れてゴールに近づいていく。
そうした攻撃への貢献度の高さも藤田の強みで後半18分にはボールを奪った勢いのまま前進し、ゴール前のスペースを狙って浮き球のパスを展開。走り込んだFW佐野峯隼弥(2年)が落ち着いて決めて、3点目をマークした。
課題だったビルドアップの技術を身に付けるため、入学を決めた作陽に来てからの成長は著しい。「自分のサッカー観が変わっていった。作陽は小柄な選手が多いのですが、デカい選手やJのアカデミーとやっても圧倒できる。身体能力がなくても戦術で勝てると学んだ」。先輩CBの存在も成長を後押ししており、昨年CBを務めた小椋翔太(現桐蔭横浜大)と岸本椿右(現大阪国際大)のコンビはそれぞれ高さと足元の技術を備えていた。酒井監督から「両方の良い部分を盗め」と声を掛けられる藤田は、“何でもできるCB”を目指し、自主練に励んでいるという。
昨年から出場機会を掴み、岡山学芸館高に敗れた選手権予選決勝も右SBとしてプレーしたが、0-1で敗れた。「勝てると思っていただけに悔しい。あんなに何もできなかったのは初めて」。敗戦を機に食事と筋トレに拘るようになった結果、この4月で体重が2、3kgアップ。当たり負けしない力強さも身に付けた。
「中国地方のCBとしてナンバーワンになりたい」。そう意気込む今年は全国の強豪と対戦しても持ち味を存分に発揮している。「“岡山県は学芸館”となっている空気を取り戻すために絶対に中国新人で優勝したい」と話す今大会も引き続き、最終ラインで存在感を発揮し、勝利に貢献する。
(取材・森田将義)
Source: 大学高校サッカー
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