[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.12 国体少年男子1回戦 茨城県 5-1高知県 加世田運動公園多目的広場]
プレーのレベルは、U-16年代の中で頭一つ抜けている。U-17日本代表にも名を連ねる茨城県のFW徳田誉(鹿島ユース、2年)が、高知県との初戦で4得点を奪って、格の違いを見せつけた。
国体にかける想いの強さが大量得点に繋がったのは間違いない。鹿島アントラーズつくばジュニアユースに所属していた2年前も、先輩たちに交じって茨城県のメンバー入り。関東ブロック大会を勝ち抜いて本国体への出場権を掴んだが、新型コロナウイルスの感染拡大によって大会は中止となった。
鹿島ユースの一員として挑んだ昨年は、本大会への出場権を逃しており、早生まれとして挑む今回は3度目のチャレンジ。「最後のチャンスなので今年にかける想いは強くて、優勝したい。特に昨年は自分の責任で負けてしまった部分があるので、取り返して今年こそはと思っている。最年長でもあるので、引っ張っていきたい」
186cm、83kgとフィジカルに恵まれたタイプだが、裏への抜け出しも鋭い。8月にはトップチームで2種登録されてJリーガーとプレーする機会も多いため、この日のプレーは余裕すら感じる。マルチな能力をチームとして活かすため、ある程度自由を与えられているのも、徳田にとっては好都合。中盤に落ちて引き出したボールをサイドに展開し、クロスに飛び込んだかと思えば、スペースに抜け出してゴールに襲い掛かる場面も見られた。
「自分の良さが色々出せた」と振り返るスタートを切ると、最初の決定機は1点リードで迎えた前半24分。MF中川天蒼(鹿島ユース、1年)が上げた左CKを打点の高いヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らした。
持ち味のヘディングによるゴールが、後半の更なる活躍に繋がったのは間違いないだろう。「1点目を奪ってからは落ち着いてプレーできるシーンが増えた。だから、たくさんゴールが生まれたのかなと思います」。後半14分と35+2分には「ある程度コースがあると、決められる自信があるので、迷わず振っていこうと思っている」と自信を覗かせるミドルシュートで2得点。24分にはシュートカウンターがゴール前にこぼれた所を押し込んだ。この日見せた圧巻のプレーは、“徳田ショー”と言っても過言ではない。
チームとして日本一を目指すと共に、今大会は個人としてのアピールの場でもある。06ジャパンの立ち上げ当初から常連だったが、今年4月に腰を負傷し、6月に行なわれたU-17アジアカップのメンバーから外れた。9月のフランス遠征でU-17代表への復帰を果たしたが、腰の怪我を再発し、直前で辞退。来月行われるU-17ワールドカップのメンバーに入るには、自身の能力とコンディションの良さを見せつけなければいけない。
「大事な大会に行けなくて、凄く悔しかった。(U-17アジアカップで)優勝した瞬間にいられず、もどかしさもあったけど、今は気持ちを切り替えている。U-17ワールドカップに絡むためには、今大会が最後のチャンス。結果を出して、評価して貰わないといけない。今までは怪我で悔しい想いをしてきたので、必ずメンバーに入っていきたい」。意気込み通り、自らのゴールラッシュで国体優勝に導き、世界大会行きの切符を掴み取る。
(取材・文 森田将義)
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Source: 大学高校サッカー
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