[関東]昨季無敗Vの明治大新監督はサラリーマン兼業「難しいチャレンジになる」池上新体制が船出

明治大の池上寿之新監督
[4.5 関東大学L1部第1節 日体大0-0明治大 味フィ西]

 王者の新たな船出は、スコアレスドロー発進となった。5日に行われた第99回関東大学サッカーリーグの開幕ゲームで、明治大は8年ぶりの1部復帰を果たした日本体育大と0-0で引き分けた。池上寿之監督は「難しい試合になることは分かっていた。試合全体としては悪くはなかったと思うけど、最後のフィニッシュのところ。次節に向けて修正していきたい」と口元を引き締めた。

 衝撃の発表があったのは、昨年末のことだった。昨年度の関東大学リーグ1部で史上初となる無敗優勝を達成。2015年に明治大の監督に就任し、10年間で5度のリーグ優勝を飾る常勝軍団を築き上げた栗田大輔監督の退任が明らかになった。

 昨季の主将だった中村草太(現広島)ら選手らも発表日当日に知らされたというほどで、東京ヴェルディの副社長に転身したが、教え子で現在東京VでプレーするMF稲見哲行もクラブ発表で認識したというほど、極秘に進められていた人事だった。

 そして後任が注目された中で明らかになったのが、池上氏の就任だった。広島県出身の池上氏は明治大のOBで、卒業後に横河電機に入社。横河武蔵野FC、東京武蔵野シティFCとチーム移行が行われる中でも一筋で在籍し、選手だけでなく監督やフロントも歴任。昨年はJFL残留争いの中で監督に再登板し、残留へと導いていた。

 そんな折、栗田氏から池上監督のもとに一本の電話が入ったという。「全くイメージになかった」という母校の監督就任オファー。ただ驚きはあったが、「断る選択肢はなかった」という。「名誉があることなので、何とかしてやりたかった。OBもたくさんいる中で、すべての人ができるわけじゃないので」。

 ただちにサラリーマンとして兼業できるかをシミュレーション。「仕事は人事総務。フレックスタイム制度を使って6時から働いて、2時間練習を抜けて、また戻る。テレワークなので、終わってすぐに寮で仕事を始める感じです。学校が始まると、6時から練習して、8時半からそのままテレワークをすることになると思います」。12月に実際に指導と仕事の両立ができるかを確認したうえで、オファーを快諾した。

 しかし不安もなかったわけではないと素直な告白もする。「前監督の栗田さんからどうだということでしたが、優勝して引き渡されても大変じゃないですか。それは分かっていたのでいいんですけど、難しいチャレンジになるなと思った。でも栗田さん(アドバイザー就任)は全面的にサポートして下さる。いろいろ確認しながら進めていきたい」と意欲的に話す。

 もともと東京武蔵野シティFCの監督は昨季限りで退任する意向があり、「自分の子供が所属している少年サッカーチームのコーチをやろうと思っていた」という池上監督だが、新たな挑戦の場が待っていた。「今の明治はほかの大学の見本になる存在。それは前監督の栗田さん、その前の神川さんが作り上げてきたもの。私も社会人の視点を私も持っているので、人としてのベースを作ってあげることは変わらないのかなと思います」。新生・池上明治の戦いが始まった。

(取材・文 児玉幸洋)


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Source: 大学高校サッカー

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