昌平がプレミアEAST“埼玉勢対決”制して2勝目! 長&山口の両SH躍動、浦和ユースは中村が開幕3戦連続弾も追いつけず

昌平高が今季2勝目
[4.19 プレミアリーグEAST第3節 昌平 3-1 浦和ユース 昌平高校グラウンド(人工芝)]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EASTは19日に第3節1日目を行った。昌平高(埼玉)と浦和レッズユース(埼玉)の“埼玉勢対決”は、昌平が3-1で勝利を収めた。

 昌平は前節・流通経済大柏高戦(●0-3)から先発1人を変更。MF飯島碧大(2年)が今季初先発となった。4-2-3-1の布陣で、GKは小野寺太郎(3年)、4バックは左からDF森井智也(3年)、DF伊藤隆寛(3年)、DF高橋心晴(3年)、DF安藤愛斗(3年)。2ボランチは飯島とMF人見大地(2年)。2列目は左サイドがMF長璃喜(3年)、右サイドがMF山口豪太(3年)、中央にMF高江洲春虎。最前線にFW齋藤結斗(3年)が入った。

 昇格組・浦和ユースは前節・柏レイソルU-18戦(○3-1)で待望の今季初白星。今節は先発1人を変え、負傷から復帰していたDF田中義峯(2年)が今季初先発となった。4-4-2の布陣を敷き、GKは大槻久翔(3年)、4バックは左からDF東方田純永(3年)、田中、DF安藤純和(3年)、DF片野大志(2年)。2ボランチはMF和田直哉(3年)とMF白井桜介(3年)。左サイドはDF高橋温郎(2年)、右サイドはFW阿部湧心(3年)。最前線に2試合連続ゴール中のFW中村虎太郎(2年)とMF吉田真信(2年)が並んだ。

 ともに1勝1敗で今季2勝目を狙う“埼玉勢対決”。序盤から攻勢に出たのは昌平だった。3月のU-18日本代表に選出された長が圧倒的な個人技を披露。また前半10分には齋藤が敵陣PA内から鋭いシュートを放つ。鋭い弾道はGK大槻にセーブされ、ボールはクロスバー直撃。じわじわとゴールに迫りつつも、得点には至らない。

 昌平は、長が左サイドからスピードに乗ったドリブルを見せると、右からは昨年U-17日本代表にも選出された山口が技巧的なドリブルで突破を図る。浦和ユースは和田らが守備意識を高める声を張り上げ、数多の危機を乗り越えた。

 前半30分近くからは浦和ユースが攻勢に転じる。それでもシュートは単発に終わり、前半はスコアレスのまま折り返した。ハーフタイムには交代カードを1枚切り、右SBの片野を下げ、MF小川直澄(2年)がトップ下に入る。後方は5バック気味になり、左SHの高橋と右SHの阿部がWBとなった。

 後半9分に均衡が崩れる。昌平は人見が右サイドからパスを出し、飯島が冷静に左足シュート。待望の先制点が決まり、ここから昌平が勢いを加速させていく。山口が敵陣近くで鋭い切り返しから突破を繰り返すと、15分にはプレゼントパス。最後は長が豪快に決め、2-0と点差を広げた。

 浦和は後半29分に3枚替え。田中、和田、吉田に代えて、MF野口直(3年)、MF田中暖大(2年)、MF中田夕也(2年)を投入。再び4バックに戻すと、その1分後に1点を返す。小川が落としたボールを中村が収め、GKとの1対1を制してゴール。中村は開幕3試合連続ゴールを挙げ、1-2と点差を縮めた。

 しかし、昌平の勢いは止まらない。後半41分にはダメ押しの3点目。2点目と同様の形で山口が右サイドを切り裂いて中央に折り返す。3分前に途中出場していたFW島田大雅(2年)が合わせ、3-1とした。

 最後まで気迫を見せた浦和ユースだが、昌平は2点差を冷静に守り抜く。そのまま試合は終了し、昌平が3-1で今季2勝目を手にした。

 昌平は前節シュート3本に抑えられて完敗。今季からチームを率いる芦田徹監督は今節、フィニッシュの積極性を選手たちに求めたという。2アシストの山口は「今日はまずシュートを15本以上打つというのを言われていた」と指揮官からの指示を明かす。

「最初いい入りができて、前半から結構シュートを打てた」(山口)。前半の決定機はいずれも得点にはならなかったが、チャンスを作り続けたことで攻撃の感触は掴めていた。山口は「自分たちがああなったら止められないというのは、みんなわかっている。焦りはなかった」と胸を張る。攻勢を保ち続け、後半の3発につなげた。

今季から就任した芦田徹監督

 昌平にとって価値ある2勝目だ。新チームにはまだ波があり、開幕節は市立船橋高に2-1で勝利したものの、第2節は流経大柏に0-3で完敗。芦田監督は「まだまだ不安定で、まだまだ自分たちの自信というところまではいかない」とチームの現在地を見定める。だからこそ今節の勝利には「こういうタフなゲームを自分たちらしいプレーで勝つことが一番の自信になる」と目を細めた。

 3試合を終えて2勝1敗。ここから先をいかに安定させていくかがチーム躍進の鍵になる。芦田監督は「僕らもそうだけど、勝ち負けにかなり一喜一憂してしまう。だけどまだ22分の3が終わっただけ」と律する。

「僕らにとっての一番のリスクは1か月後、2か月後、半年後に成長していないこと。できることを一つひとつ増やしていき、チームや個人ができることを増やす。本当に日常に向き合わないとダメとかなり言っているので、まだまだそこまで行っていないけど、今日の勝ちをひとつ自分の肥やしにして、そういう取り組みをチームや個人でやっていけることが理想。そういう意味で今日(の勝利)は本当によかった」

 一方、4年ぶりにプレミアリーグに復帰した浦和ユースは前節に続く連勝とならず、今季2勝目を逃した。2022年からコーチを務め、今季から監督に就任した阿部勇樹監督は「昌平さんのやりたいことが多く出た試合だった」と悔しさを垣間見せた。

今季から監督に就任した阿部勇樹

「サイドのところで個で優位に立てる選手がいるので、そこでやってくると思って準備をしてきた」(阿部監督)。昌平の圧倒的な個である山口と長への対策は取っていたが、「準備していたよりも上回られ、得点を決められてしまったという現実」と指揮官は振り返る。

 個の強さに引けてしまい、振り回されて疲弊してしまった。「ボールにプレッシャーに行けず、動かされて走らされますというのは、本来ならばうちがやらなければいけないことだった」。そう語る阿部監督は「暑さで集中力や判断のところが落ちるのはわかるが、それは相手も一緒。どうタフに戦っていくかというところを感じてほしい」とも説く。「(敗戦が)よかったとは思わないけど、この敗戦が彼らにどう影響を与えるのか。前節勝ったからといって調子に乗ってお灸を据えられたじゃないけど、そういう風になっていければ」と次戦への糧にするよう求めていた。

(取材・文 石川祐介)


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Source: 大学高校サッカー

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