[MOM5077]流経大柏DF増田大空(3年)_「流経のダブルキャプテン」の一角を託されたアグレッシブな左SBが完璧なアシストで勝ち越し弾を演出!

流通経済大柏高の“ダブルキャプテン”を務めるDF増田大空(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.3 プレミアリーグEAST第5節 横浜FCユース 1-4 流通経済大柏高 横浜FC・LEOCトレーニングセンター]

 3年目でようやくデビューを果たしたプレミアリーグでの試合を重ねるごとに、間違いなく手応えは掴んできた。でも、もっとやれる。もっとできる。このチームの中で絶対的な立ち位置を確立して、さらに上のステージまで一気に駆け上がってみせる。

「シーズンが始まる前はプレミアに出たことがなかったので、ちょっと不安な部分もありましたけど、いざ始まってみたら自分が通用することがわかりました。でも、通用するだけではダメですし、自分がトップに立つぐらいの気持ちでやらないとなという感じですね」

 首位を快走する流通経済大柏高(千葉)の左サイドバックを任された、攻守両面でハイレベルな仕事をこなせるアグレッシブ系レフティ。DF増田大空(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は自分の確かな成長を感じつつ、目指すべき視座を上へと向け続けている。

 横浜FCユース(神奈川)とアウェイで対峙した、プレミアリーグEAST第5節。「今シーズンは自分が攻撃の起点になろうと思っていますし、キツい時は自分のところで落ち着かせるというイメージでやっています」という増田は、立ち上がりから積極的にボールを引き出すと、10分には左サイドから中央のFW大藤颯太(3年)へ鋭いダイレクトパスを蹴り込み、FW金子琉久(3年)が挙げた先制点にきっちり関与する。

 その後もゲームを押し気味に進めつつ、後半には横浜FCユースに退場者が出たことで、数的優位も得たものの、後半20分には10人の相手に同点弾を献上。だが、増田も「『何も気にする必要はない』と。実際に人数も1人多いわけですし、『ここから下を向いたらダメだから、点を獲りに行こう』という話をしました」と口にしたように、チームはもう一度気持ちを引き締め直す。

 試合終盤に差し掛かり始めた29分。DF乙川宙(3年)の右クロスはファーに流れ、MF山元琉士(3年)が拾ったボールを外へ流すと、受けた増田は冷静に周囲の状況を見極め、瞬時に複数の選択肢を思い浮かべる。

「相手が1人プレッシャーに来ていて、最初は『自分で剥がしてから侵入していこう』と思ったんですけど、中に大藤とメンディーがいて、2人とも高さがあったので、『もうシンプルに入れてみようかな』というイメージで蹴ったら、良い感じでクロスが上がりました」。

 6番の左足から放たれた綺麗な軌道に、本来はセンターバックながらこの日はフォワードへ送り込まれたDFメンディー・サイモン友(2年)が頭で合わせたボールは、ゴールネットへと吸い込まれていく。

「もともとクロスというか、キックは武器だったんですけど、プレミアが始まってからアシストが付いていないのはわかっていたので、数字にこだわっていきたい中で、自分がイメージしているような良いクロスが上げられて、アシストが付いたので良かったと思います」。文字通りの“ドンピシャクロス”で、増田が勝ち越しゴールを演出する。

 さらに流経大柏は38分に大藤が、45+2分にMF島谷義進(3年)が追加点を奪う。印象的だったのはゴールが入ると、増田はスコアラーに背を向けて、GKの藤田泰土(3年)の元へダッシュし、2人で抱擁を交わしていた。第4節のFC東京U-18戦でも同じような光景を目にしたが、これにはちゃんとした理由があったそうだ。

「泰土が『点が入った時に1人だと悲しい』と言っていたんです(笑)。僕も後ろの選手ですし、ポジション的にも近いので、『じゃあオレが行ってやろうかな』と思って、ここ最近は泰土のところに行っています」。2人の“儀式”が増えれば増えるほど、チームは勝利に近付くということ。この日も結果は4-1での快勝。チームを率いる榎本雅大監督も「増田はずっといいですよ。いつマン・オブ・ザ・マッチになってもいいなという働きですよね」と好評価を口に。開幕からの無敗を5試合まで伸ばした流経大柏の中で、この左サイドバックの重要性は試合を追うごとに高まっている。

チームメイトのゴールに藤田と抱擁を交わす増田

 今シーズンの増田は、試合時に腕章を巻いている島谷との“ダブルキャプテン”に指名されている。昨季も奈須琉世佐藤夢真(ともに流通経済大)という2人のキャプテンがチームを引き締め、最終的に高校選手権のファイナリストになったわけだが、やはり彼らがお手本にすべき存在であることは間違いない。

「まだ奈須さんや夢真さんのような存在にはなれていないですけど、チームをまとめることは楽しいですし、義進と一緒にうまくやれているのかなと思います。夢真さんは選手権に負けた後に『嫌われることが怖かった』と言っていて、それぐらい普段の練習から厳しく言っていましたし、夢真さんの声掛けや背中で引っ張るところは真似できないですけど、憧れというか、目指していますね」

「自分も義進も結構熱くなるタイプなんですけど、お互いが熱くなるとさすがにダメなので、周りを見て、義進がそういう時があるならチームを落ち着かせようかなと思ったり、それが逆の時もあるので、良い関係性でできているのかなと思います」。2025年の“ダブルキャプテン”も補完性はばっちり。このスムーズな関係性がチームの好調にもたらしている影響も、決して小さくないはずだ。

 2年生だった昨季はプリンスリーグ関東を主戦場に置いていたが、今季に入ってプレミアのレベルを体感したことで、自分に課すハードルは確実に上がってきた。自信はある。せっかくこの年代最高峰の舞台で戦っているのだ。目指すところは高ければ高いほどいいに決まっている。

「今年はキャプテンということで、自分が先頭に立って、チームを引っ張らないといけないですし、自分が攻撃でも守備でも圧倒的な存在になるというところで、サイドバックですけど、得点やアシストもどんどんしていきたいですし、守備だったら自分がいれば大丈夫だと安心させられるようなプレーをしたいと思っています」。

「あと、自分は早生まれということもあって、U-17の代表にも入らないといけないと思っているので、もっとプレミアの舞台で目立って、義進も言っていたように『代表に選ばざるを得ない選手になる』というところは意識していきたいですね」。

 向上心を持ち続けている限り、大きく羽ばたくための空は、どこまでも目の前に広がっていく。流経大柏を攻守で引き締める、絶賛成長中の実力派レフティ。リーダーシップと豪快で繊細な左足を兼ね備えた増田大空は、これからも確固たる信念を貫きながら、左サイドを颯爽と駆け抜ける。

(取材・文 土屋雅史)


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Source: 大学高校サッカー

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