[5.10 茨城県サッカー選手権決勝 筑波大1-0流通経済大 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]
この日も粘り強い守備が光った。天皇杯本戦出場権をかけて流通経済大との“ライバル対決”に臨んだ筑波大だったが、前半は相手の猛攻を受ける格好になってしまう。
それでもDF池谷銀姿郎(3年=横浜FCユース)やDF小川遼也(3年=富山U-18)のCBコンビを中心にした守備陣が集中力を切らさない。そしてMF廣井蘭人(3年=帝京長岡高)の先制弾で奪ったリードを守り抜いて、今年もJクラブとの真剣勝負の場に進むことを決めた。
「流経は個人能力が高いチームで、個で負けないように、組織としてプレーしていた。前半は押され気味でしたけど、そこを耐えたら自分たちのペースになると思っていた。これまでの試合を通していい感覚があった。そこを耐えれたことが、勝利の要因かなと思います」(池谷)
注目DFが今季も着実に成長をみせている。筑波大は主将を務めたDF福井啓太(大宮)が卒業、DF諏訪間幸成(横浜FM)は大学サッカーを1年早く切り上げる決断をしたことで、昨年は右SBで起用されていた池谷が今年はCBで出場している。
池谷自身も「自分がCBをやった方が組織的にはいいものが出来上がる」と、納得した上でチーム方針を受け入れている。「世界に行くならSBだと思っている」としながらも、「CBができるに越したことはない。大学生活を通していろんなポジションができる選手になって、自分の価値を高めたい」と前向きに話す。


逸材が揃う筑波大3年生の中で、池谷も当然注目株の一人だ。早くも複数のJクラブが関心を寄せており、2年生の夏には湘南ベルマーレ、今季開幕前の3月にはガンバ大阪の練習に参加した。「筑波とは違ったものが見えましたし、通用する部分も見えました」。貴重な経験値を積んでいる。
G大阪では元日本代表の遠藤保仁コーチが自主練習に付き合ってくれたという。「SBとして行ったので、クロスの自主練をしてくれた。個人として成長するにはいい環境だなと思いました」。今後もほかのクラブの練習に行く可能性はあるようだが、将来を見極めるうえで重要な判断材料のひとつとしたい考えだ。
「有難いことに多くのクラブからお話を頂いている。それは自信に繋がるし、もっともっと自分を鼓舞してじゃないけど、成長に繋げていきたい。ただまずは筑波にいる期間は筑波にシフトしたいというのがある。たくさんの評価をもらっているけど、ブレることなく成長していきたい」
より自信を深めるためにも、今年も天皇杯での躍進を誓う。筑波大は昨年の天皇杯2回戦で、当時J1首位を走っていた町田をPK戦の末に撃破。3回戦の柏戦は延長戦で敗れたが、印象的な戦いをみせた。今年は初戦からJ2・大宮アルディージャと戦うことが決まっている。池谷も「去年町田を倒したように、大きなエネルギーが必要だと思っている」と話すと、「もし(福井)啓太くんと対戦することになれば、そこはすごく楽しみ。みんなで向かっていければいいかなと思います」と力を込めた。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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