県4部降格も「そこから全国行ったらかっけぇなと」奮起した東急SレイエスFC U-15、1FC川越水上公園を破って関東予選を突破!!

2年ぶりのクラセンへ!!
[6.15 関東CY4回戦 東急SレイエスFC U-15 1-0 1FC川越水上公園 前橋フットボールセンターA]

 東急SレイエスFC U-15(関東2部B)は15日、関東クラブユースサッカー選⼿権(U-15)⼤会の4回戦で1FC川越水上公園(埼玉県1部)に1-0で勝利して2023年以来となる日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会の出場を決めた。

 勝てば全国確定の大一番。東急SレイエスFCの佐藤智監督は「1FCさんはボールを持つのがひとりひとり上手いので、守備の時間が長くなってしまうのかなとは思っていた」というが、選手が奮闘。「よく頑張ってボールを奪ってとかができていた」と指揮官が話すように、1FC川越水上公園の攻撃に対応して次第に相手を押し込んでいった。

 ところが前半13分、佐藤監督が「あまり怪我とかをしないタイプ」と説明する主軸にアクシデントが発生。U-15日本代表DF庄司瑛人(3年)がピッチに座り込み、負傷交代を余儀なくされた。それでも「彼が日本代表に行っていなかった中で試合をやっていたのもあったので」とチームは焦らなかった。

 緊急出場となったDF板垣圭祐(3年)はすぐに試合に適応し、前半18分には左サイドからの好クロスを供給。飛び込んだFW佐々木晴哉(3年)のヘディングシュートはミートしなかったものの早速見せ場を作った。「彼は本当にポジティブで前向きにプレーをする。強くいくところとか両足のキックが彼の武器なので、良さをすごい出して、彼のところで守備をやられることはなかったのですごく良かった」と指揮官も板垣を称えた。

DF板垣圭祐は出場直後に好クロス

 そうして迎えた前半23分、東急SレイエスFCが試合を動かした。DF山本健斗(3年)が縦パスを送ると、FW岡戸一太(3年)がトラップすると見せかけてボールに触れずターン。食いついてきた相手を剥がして佐々木に預けると、ヒールパスのリターンをペナルティエリア内右から右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

FW岡戸一太の先制ゴールに歓喜

 一方の1FC川越水上公園は前半30分、最終ラインでボールを受けたDF高橋珠吏(3年)が右サイドから中央へドリブルで前進し、相手を振り切って左サイドのDF青田湊悟(3年)にサイドチェンジを通す。青田はドリブル突破を試みたが、東急SレイエスFCの守備に対応されてシュートには持っていけなかった。

 1点リードで後半に入った東急SレイエスFCは後半2分、岡戸が山本とのワンツーでペナルティエリア内に侵入してPKを獲得。大きな追加点のチャンスが訪れたが、MF坪井凱聖(3年)が右に蹴ったPKはGK冨田蒼(3年)のスーパーセーブに阻まれて、リードを広げることはできなかった。

右へのPK

GK冨田蒼がスーパーセーブ

 するとこのプレーで勢いづいた1FC川越水上公園がゴールに迫る展開に。MF春本蒼生(2年)が右サイドからパスを送ってFW久和蒼真(3年)がペナルティエリア内でボールを収める場面や、MF翁井恒瑠(3年)が左サイド深くまで侵入してゴール前に折り返す場面など同点に近づく時間帯となった。

 ただ東急SレイエスFCも集中を切らさず、失点は許さない。後半17分にMF鈴木大雅(3年)が敵陣での即時奪回からシュートを放てば、同26分には岡戸のクロスにFW高橋季真(3年)が飛び込むなど2点目を狙っていく姿勢も見せ続けていった。最終的には追加点こそ生まれなかったが、前半のゴールが決勝点となって関東8強入りを果たした。

DF庄司瑛人は安堵の表情を見せた

 東急SレイエスFCが前回夏の全国大会に進んだのは、現3年生が1年生だったとき。配信で先輩が大舞台に臨む姿を見ていたという岡戸は「すごい盛り上がっていて、自分たちも勝利を掴んで全国に行きたい」と憧れを抱いていたという。また、中盤で奮闘したMF尾白晃史(3年)は「ライブ配信を見てでっかい選手たちが戦っていて、自分はここに行けるのかなと思ったけれど、今やっと手が届いて嬉しい気持ちと通用するのかが楽しみでワクワクしています」と喜びを口にした。

 もっともこの学年は昨季、苦しい1年間を送っていた。U-14チームの東急SレイエスFC U-15 2ndとして臨んだ神奈川県U-15リーグ3部1stステージでは1分8敗で最下位に終わり、選手たちによれば前代未聞だという県4部降格を経験。後期は8戦全勝で3部復帰を果たしたものの、岡戸が「過去最弱」と話すなど選手たちは重く受け止めていたという。

 そうした屈辱を「自分たちは覆したいという気持ちが強かった」と岡戸。今季のU-15関東リーグ2部Bでは3連勝を記録するなどして4位で中断期間に入ると、関東CYでも勝利を重ねてここまで勝ち上がってきた。迎えた全国行きを懸けたこの日、佐藤監督は「(県4部降格をして)そこから頑張ってきた。試合前にもちょっとその話をして、そこから全国行ったらかっけぇなという話をしました」。モチベーションを高めた選手は成長を結果で示し、試合後には悔しい経験からの浮上ぶりを仲間同士で語り合っていた。

 ただ岡戸は「全国ベスト4を目指している」と力を込め、通過点であることを強調する。指揮官も「チームとしてみんながひとつになって頑張っている。僕が何かをしたというより、みんなで良い雰囲気を作ってやっている」とここまでを振り返りつつ、「やっぱりJの下部組織のチームが多い中で、強度とかも(上がって)関東1部のチームとかと当たることになると思う」と今後を見据えてより強化に励んでいく構え。今回1ゴールにとどまったことにも「これから上へ戦っていく上ではゴール前のクオリティとかを上げていかなきゃいけない」と見つめ、細部にこだわってさらなる高みを目指していく。

(取材・文 加藤直岐)
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました