選手権で青森山田から2発、U-17高校選抜入りも苦しんだ前期。高川学園FW大森風牙は鹿島内定の先輩の活躍も刺激に逆襲開始

高川学園高のU-17日本高校選抜FW大森風牙(3年=Pateo FC金沢ジュニアユース出身)はインターハイでの得点王を狙う
 悩んだ時期を乗り越え、注目ストライカーが、再び特長を発揮し始めている。高川学園高(山口)のU-17日本高校選抜FW大森風牙(3年=Pateo FC金沢ジュニアユース出身)はインターハイ山口県予選で3試合に出場して3得点。5大会連続となる全国大会出場権獲得に貢献すると、中国高校選手権(6月14日~16日)初戦の就実高(岡山)戦でも決勝点をマークした。

 続く岡山学芸館高との準決勝でも先制点の起点に。1タッチシュートによる得点力の高さと、攻撃の起点になる動き、また前線からの守備といった特長を持つFWは、それまでの不振から改善できてきていることを本人も、江本孝監督も認めていた。

 大森は昨年度の選手権予選決勝でハットトリックを達成し、全国大会初戦でも青森山田高相手に2ゴール。チームを前回王者撃破へ導いたストライカーだ。だが、今季のプリンスリーグ中国は第7節にようやく初ゴールと、結果を残すことができていなかった。

「プリンス(リーグ中国)の前期のシーズンが結果も出せなくて、自分の中で良くない方に行ってしまった。それをチームのみんなが助けてくれた部分もあって、最近は良くなってきています」(大森)

 大森は今年1月にU-17日本高校選抜選考合宿に参加。また、3月のJヴィレッジカップU-18メンバーに選出され、同年代のトッププレーヤーたちとピッチ内外の時間をともにした。A戦(4試合)での出場機会は限られて1得点に終わったものの、チャレンジマッチでは3得点と結果を残した。

 だが、他のタレントたちから刺激を受け、高川学園でできることをより増やそうとした結果、本来の特長を表現できなくなってしまう。「自分が勘違いしていた部分があって。できないことをやろうとした結果、何をすればいいか分からなくなったっていうのがあって……」。これまでとは異なるDFの背負い方をしてボールをロスト。攻撃の起点になること、決めること以外もやろうとし過ぎてしまう部分があったという。

 エースとして期待される中、結果が出ずに苦しんだ。チームにも迷惑をかけた。それでも、苦闘の中で自分の役割を再確認。「自分の仕事以外はチームに任せるっていう方向で行って。やっぱり自分の仕事を1番にやるのがチームにとっても1番いいことだと感じたんで、ゴール前でできるだけ仕事しようと思っています」。PA幅での役割に集中。その中で自身も、チームも内容、結果が向上してきている。

 先輩の活躍が、大森の向上心をより高めている。高川学園OBで、高校時代に大森と同じ10番を背負っていた明治大MF林晴己が、26年シーズンからの鹿島入り内定。大森は「凄いです。(自分も、という気持ちが)高まっています。高川からプロ行ったっていう目標にしている選手なので、負けないようにここから1日1日大切にしていきたいです」と誓う。

 U-17日本高校選抜ではまずまずの結果を残したが、周囲の要求通りに動くだけで得点することができていたという。だからこそ、「リアクションじゃなくて、自分がアクションして点取れるようになっていきたい」。1本のチャンスを決め切る力や、個で打開する力も必要。自分の特長をより伸ばし、結果を残して高川学園のチームメイトたちに恩返しする。

 ここから、高川学園はプリンスリーグ中国を挟んでインターハイへ向かう。大森は「サッカーはチームで戦うスポーツなんで、チームの力を上げるためにも、自分が1番成長するっていう気持ちを持って、そこにみんなについて来てもらうっていうイメージでやっていきたいです」。チームの目標は日本一。個人としては「得点王は目指します」。エースストライカーは自分の役割を全うし、高川学園に多くの白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)


●全国高校総体2025特集
▶高校サッカーの最新情報はポッドキャストでも配信中
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました