「新幹線の往復をしただけで…」オフに緊急招集の191cm大器FW原大智、W杯生き残りへ「こいつを連れて行きたいと思わせるプレーを」

練習場入りするFW原大智(京都)
 突然の吉報だった。FW原大智(京都)は7日朝、FW西村拓真(町田)の不参加を受けてEAFF E-1選手権に臨む日本代表に追加招集。「嬉しかった。オフだったので突然呼ばれてびっくりした」。個人トレーニングのため東京に滞在していたが、“とんぼ帰り”で関西に戻って韓国入り。翌8日の香港戦でベンチ入りした。

 6日夜から東京で過ごし、プロ2年目から続けているという「ゆるトレ」に向かおうとしていた矢先のA代表初招集だった。「結局トレーニングはできずじまいで新幹線の往復をしただけなんですけど……(苦笑)」。それでも目標としていた日本代表入りの知らせ。自然とモチベーションは高まった。

「もちろん(代表入りは)目指していたし、こういう形だけどすごく嬉しい。選ばれて当然だと言われるようなプレーをしたい」

 香港戦ではさっそくベンチ入りし、6-1での大勝に立ち会った。「まだ練習もしていないのにベンチに入って不思議な感じだったけど、いろいろ見て学ぼうというイメージで集中して見ていた」。オフ明けのこの日からは練習に合流。2日後に控える12日の中国戦に向け、準備は万端だ。

 2018年にFC東京U-18からトップチーム昇格し、3年目にはJ1リーグ戦26試合3得点を記録した191cmの大型アタッカー。翌21年からはクロアチアのイストラ、ベルギーのシントトロイデン、スペインのアラベスで過ごし、欧州サッカー界でもまれた珍しい経歴を持つ。欧州各国を渡り歩くなかで、長身を活かしたストライカーの枠にとどまらず、走力とパスセンスも兼ね備えたウインガーに変貌。新境地を切り拓いた23年夏、京都への加入でJリーグに帰ってきた。

「いろんな国に行って、いろんなサッカーを知ることができたのは大きかったし、代表でも京都でもウイングということで新しい形をするなか、身長も大きいのもあってFWにはなりがちだけど、自分もいろんなプレーに挑戦したい思いがあって、どんなポジションでもストレスなく抵抗なくなれるためにチャレンジしてきたのが良かったと思う」

 京都では幅広い素質を開花させ、初年度の半年間で13試合7得点4アシスト、昨季37試合8得点2アシスト、今季19試合2得点6アシストとコンスタントに実績を残してきた。現在のフィジカルスペックとプレースタイルはいまの日本代表主力を担う欧州組にもいない稀有なもの。「空中戦ではでかいのでターゲットにもなれると思うし、そこは新しい代表の形としてプラスアルファできればと思う。その上でパスでいいところを見たり、自分自身が裏に走ったり、新しい形を出していければ」と意気込む。

 今大会でチームキャプテンを務めるDF長友佑都(FC東京)は「自分の大好きなフッキ選手を止めていてすごいなと思った」という幼少期の憧れの選手。「関わるのは初めてだけど、FC東京の下部組織で初めて買ったユニフォームが長友選手で、サインをもらいに行ったり、グラウンドに見に行ったりしたのですごく光栄」。38歳の今もなお変わらぬ熱い姿勢を学びながら、貴重な代表での日々を過ごしているようだ。

 この日々の先には9月のアメリカ遠征での代表入りも見据える。「代表戦はもちろん目の前の試合を1試合1試合やることが大事。まずあさっての中国戦に出たら、そういうインパクトを与えられるように、こいつを連れて行きたいと思わせるようなプレーをしたい」。北中米W杯を1年後に控えるE-1選手権。圧倒的なポテンシャルを解放する時がやってきた。

(取材・文 竹内達也)


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Source: サッカー日本代表

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