[7.12 プリンスリーグ北信越2部第10節 丸岡高 3-3 富山一高 日東シンコースタジアム丸岡サッカー場]
ゲーム主将の左足キックが、劣勢の展開を変えた。プリンスリーグ北信越2部首位・富山一高は開始10分で3失点と苦しいスタート。DF田中陽路(3年=カターレ富山U-15出身)は「背後突くとか、相手の嫌なことするとかしようとしていたんですけど、なかなか上手くいかなくて……」と振り返る。
セットプレーの守りの課題や球際の守備の甘さも出たチームは、3失点後も危ないシーンが続く展開。だが、田中の左足キックが相手の勢いを止め、押し返す要因の一つになっていた。ボールを奪い返すと、DF背後への縦パス、サイドチェンジと効果的なキックを連発。特に「自分、得意なんで。練習しているのがよく出たかなと思います」という対角のキックは、2点目やその他のチャンスにも結びついていた。
田中は、相手サイドアタッカーとの1対1を止め切るなど守備面でも奮闘。奪い返しに来た相手をドリブルで剥がしてボールを前進させていた。本職は左ウイングバックで攻め上がりからのクロスを得意としているが、この日は3バックの左サイドで存在感。1年時から経験を重ねてきたというセンターバックのポジションで主導権をもたらしていた。
左足キックは、「中学の頃からずっと『練習しろ』って言われていた」ことで取り組んで自信を持つ武器に。「振りをコンパクトに。なるべく相手が取りやすいボール、相手の足元に行くボールを工夫して蹴っています」。この日は久々だったという天然芝ピッチでのプレー。後半は相手に警戒されてサイドチェンジの回数が減り、左ウイングバックへポジションを移した後もなかなかチャンスに絡むことができなかった。後半40分に途中交代。だが、天然芝でも納得のキックを続けて勝ち点1奪取に貢献した。
富山一は主将のDF木下空(3年)が負傷離脱中で、インターハイには復帰予定。「キャプテンいないことで自分たち、めちゃくちゃ下向きになるというか、自分たちにとって痛いです。でも、キャプテンの木下は結構、声とかでみんなを鼓舞してくれるんですけど、それがなくなった時に、みんなで声を出して頑張ろうっていうのは、練習からずっと話していました」。特にゲーム主将の田中は責任感を持って行動。本人は「勝って勝ち点を離したかった」と悔しがったものの、プリンスリーグ北信越2部中断前の最終戦で首位をキープし、最低限の役割を果たした。
インターハイ初戦は因縁の札幌大谷高(北海道)とのリベンジマッチだ。田中も先発出場した前回大会1回戦は、3-3(PK0-3)で敗戦。田中ら現3年生は、1年時のニューバランスチャンピオンシップU-16でも2-5で敗れている。
田中は「借りを返さないといけない」。以前から神戸のサポーターでFW大迫勇也やDF初瀬亮が憧れのプレーヤー。「注目される選手になりたい」という長身レフティがインターハイで札幌大谷へのリベンジと目標の全国8強以上を達成し、自身も飛躍を遂げる。




(取材・文 吉田太郎)
●高円宮杯プリンスリーグ2025特集
●全国高校総体2025特集
▶高校サッカーの最新情報はポッドキャストでも配信中
Source: 大学高校サッカー
コメント