[MOM5157]横浜FMユースFW浅田大翔(3年)_圧巻の2ゴールはユースのみんなへの「恩返し」!J1デビューも果たしたトリコロールの未来を担う17歳が得点感覚を解き放つ!

圧巻の2ゴールを奪った横浜F・マリノスユースFW浅田大翔(3年=横浜F・マリノスジュニアユース)出身
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.23 クラブユース選手権(U-18)Fグループ第2節 横浜FMユース 2-2 新潟U-18 福山通運ローズスタジアム]

 トップチームで背負っているのと同じ46番という一際大きな番号も、その存在感を浮き上がらせる。特別な才能を宿していることに、疑いの余地はない。あとはそれを十全に解き放つだけ。その立つピッチがJリーグであろうと、ユースの試合であろうと、まっとうすべき仕事は変わらない。

「自分は個人としての違いを見せつつ、仲間も生かせると思いますし、今日の1点目も2点目もそうですけど、周りの人を使いながら、最後に点の獲れる位置へ行くことが自分の仕事だと思うので、そこを突き詰めていきたいです」。

 既にJ1デビューも果たしている、横浜F・マリノスユース(関東8)の絶対的ストライカー。FW浅田大翔(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)が圧巻のドッピエッタで、その得点感覚を存分にアピールしてみせた。

「みんなと合わせる時間も大会の前日だけだったので、そういったところで難しい部分はありましたけど、そこはみんながうまく自分の特徴を生かしてくれているので、問題なくやれていますし、そういうところでみんなが自分を助けてくれているので、自分はゴールで恩返ししたいです」。

 J1ではここ9戦連続で20人の試合メンバーに名を連ねており。クラブユース開幕の2日前に日産スタジアムで行われた名古屋グランパス戦でも、ベンチ入りを果たしていた浅田は、大会直前にユースへ合流。それでも、初戦の鹿児島ユナイテッドU-18戦で決勝点を叩き出すなど、高いモチベーションを結果に繋げ、この日の第2戦を迎えていた。

 だが、チームは立ち上がりからアルビレックス新潟U-18の勢いに押され、先制点を献上する苦しい展開に。前半で放ったシュートはわずかに1本のみ。浅田にも見せ場がないまま、最初の35分間が経過してしまう。

 それでも後半はリズムが一転。選手交代も追い風に、横浜FMユースの攻め込む時間が長くなっていく中で、背番号46は自分にチャンスが巡ってくる瞬間を、虎視眈々と狙い続ける。

 11分。右サイドでMF海邊真太朗(3年)のパスを受けたMF小幡志雄(2年)が、丁寧にクロスを上げる。「途中から『クロスの時に、ファーに人がいない』と感じていて、そこは絶対なしにしようという話をしていましたし、ファーに諒太が飛び込んできてくれたので、折り返しは狙っていました」。

 ファーまで届いたボールをDF加藤諒太(2年)が懸命に折り返すと、全身で突っ込んだ浅田がわずかに触ったボールは、ゆっくりとゴールネットへと転がり込む。

「相手より一歩でも速ければ点に繋がるので、そこに反応できて、気持ちで押し込んだゴールだと思います。自分がチームを勝たせるつもりでやっているので、そこが出たのかなと」。文字通り執念で押し込んだ、泥臭い1点。横浜FMユースが同点に追い付く。

 24分。左サイドで得たCK。ショートで素早く始めた流れから、加藤諒太のリターンをもらった海邊が、完璧なクロスを入れる。「相手がセットプレーになったら、ちょっと準備が遅いというのは分析で頭の中に入っていたので、そこを突いていこうという流れだったと思います」。

 鋭く入ってきたボールを浅田が頭で捻じ曲げた軌道は、そのままゴールネットへと鮮やかに吸い込まれる。

「真太朗から良いボールが上がってきたので、もう飛び込もうという執念で決めました」。実にストライカーらしい嗅覚と技術を結集させた、美しい1点。横浜FMユースが逆転に成功する。

 ところが、試合は簡単に終わらない。31分。新潟U-18が同点弾を記録して、スコアは再び振り出しに。そこからはお互いオープンに激しく打ち合う中で、35+4分に浅田に決定機が回ってきたが、ここはU-17日本代表のチームメイトでもある新潟U-18GK松浦大翔のファインセーブに遭い、勝ち越し点を奪い切れない。

 結果は2-2のドロー。「3点目を獲れる場面もありましたし、絶対に獲らないといけないポジションだと思うので、もう1点獲ってチームを勝たせなければいけなかったと思います。自分は得点王よりも、チームが優勝することを一番に考えているので、本当に勝てなかったことが一番悔しいです」。自身は2ゴールを決めたにもかかわらず、勝利を引き寄せられなかった悔しさが、浅田の言葉の端々に滲んだ。

浅田と松浦。U-17日本代表では共闘するチームメイト同士だ

 基本的にトップチームで活動しているため、浅田がユースでプレーする機会は限られているが、だからこそチームメイトたちの成長も、チームとしての課題も、より感じている部分もあるようだ。

「今までの自分たちは先制されたら絶対に勝てないチームだったので、今日も逆転まで行けたのは良かったですけど、そこからがもう1個自分たちの課題かなと思います。こういうゲームを勝ち切らないと、引き分けでは上に行けないと思うので、ディフェンスラインだけではなくてベンチ全体で最後の1点を守る気持ちが必要ですし、もう1回引き締めないとダメですね」。

 グループステージの最終節で対峙するのは、ここまで2連勝を飾っているサンフレッチェ広島ユース。4月のU17アジアカップで、ともにワールドカップの切符を手繰り寄せた小林志紋や野口蓮斗も在籍しているだけに、「お互い成長し合える良い仲間でもあるので、そこはライバルですけど、しっかりリスペクトしたうえで、絶対に勝ちたいです」ときっぱり言い切った浅田は、続けてこの大会への強い想いを口にする。

「もちろん全国制覇が目標ですし、決勝は我々のホームで戦えるので、何としてもサポーターや応援してくれる人たちのためにも、絶対そこには戻りたいですね。自分たちはまったく焦っていないですし、次で勝てば問題ないわけで、ここまで試合に出られていない選手もチームの力になってくれているので、中1日でしっかり回復して、全員で勝ちたいです」。

 次の決戦でも、目指すべきターゲットは一択。一歩でも速く、1秒でも速く、球体をネットへ送り届けてやる。横浜F・マリノスが誇る17歳の異才。浅田大翔はチームメイトに笑顔と歓喜をもたらすために、ひたすらゴールを狙い続ける。

(取材・文 土屋雅史)


●第49回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)特集
Source: 大学高校サッカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました