細部、我慢強さを大事に積み上げてきた神村学園。3試合連続でビハインドを負うも乗り越えて初優勝

神村学園高の選手たちが有村圭一郎監督を胴上げ。(写真協力=『高校サッカー年鑑』)
[8.2 インターハイ決勝 大津高 2-2(PK6-7)神村学園高 Jヴィレッジスタジアム]

 2024年インターハイの全国準優勝、同年度の選手権鹿児島県予選決勝敗退(連覇が7でストップ)を乗り越え、夏冬通じて全国大会初優勝。鹿児島県勢にとっても、初のインターハイ制覇となった。

 神村学園高の有村圭一郎監督は、「もちろん、その勝負に勝つっていうのは簡単なことではないですけど、やっぱり細部にこだわらないとすぐにひっくり返されてしまうような世界なので、色々なちっちゃなことを大事にしながら、ちょっとずつ積み上げた結果がこういう風になると、それを実証できたので、本人たちも色々な意味で人生の経験になったんじゃないかなという風に思います」と微笑んだ。

 今大会は、タフな5試合を勝ち抜いた。初戦で帝京高(東京1)に3-0、3回戦で岡山学芸館高(岡山)に2-0で勝利したが、山梨学院高(山梨)との準々決勝、尚志高(福島)との準決勝はいずれも前半に先制点を奪われる展開。だが、神村学園らしくボールを保持しながら相手にプレッシャーをかける。そして、いずれもMF佐々木悠太(3年)のゴールで同点に追いつき、準々決勝はPK戦で、準決勝は佐々木が後半35+8分に決めた劇的な直接FK弾で勝利した。

 3連戦となった決勝でも先に主導権を大津高(熊本)に握られ、後半14分に先制点を奪われた。だが、GK寺田健太郎(3年)のファインセーブなどで粘り強く1点差を維持。そして、攻撃に人数を掛けて反撃し、再び追いつく力を見せた。

 12分間の後半アディショナルタイム突入後の35+6分、DF竹野楓太(2年)の右クロスからFW日高元(3年)が同点ゴール。延長前半にMF細山田怜真(3年)のゴールで勝ち越し、追いつかれたものの、8人目までもつれ込んだPK戦を制して頂点に立った。

 有村監督は「(今年は)チーム力がなかなかないっていつも言われるチームですけども、みんなが、子供たちが、お互いを信じてゲームを進めてくれた」と目を細める。近年、FW福田師王(現・ボルシアMG)やMF吉永夢希(現・ゲンク)、MF名和田我空(現・G大阪)ら世代トップクラスの選手たちを擁し、毎年のように全国上位へ進出していたが、接戦で我慢し切れずに惜敗。目標の全国制覇を果たすことができていなかった。

 指揮官は今大会の準々決勝試合前、ここから先の戦いで勝つために規律や我慢することの必要性を伝えたという。選手たちはその言葉通りに準々決勝以降の戦いで我慢強さと、自分たちの攻撃的な特長も発揮。歴史を塗り替えた。

 表彰式後、選手たちは有村監督を胴上げ。U-18日本代表DF中野陽斗主将(3年)は「(有村監督を)日本一の監督にさせてあげられて自分もとても嬉しく思いますし、恩返しができてとても良かった」と語り、指揮官は「もちろん凄くありがたいですし、ほんとは僕が(胴上げ)してあげなきゃいけないくらい子供たちが頑張ったんですけど、凄くいい子供たちに出会えて良かったなっていう風に思います」と感謝した。

 その有村監督は「今日、優勝っていうことで大会を締めくくれましたけど、今までほんとに少しずつ積み上げてくれたOBだったり、そのOBの保護者だったり、また応援してくれる方々だったり、(神村学園が位置する)いちき串木野市という地元の方々だったり、鹿児島県だったり、色々な人がやっぱり応援してくれて今日はあると思いますので、僕らも地域に貢献したり、鹿児島に貢献したり、サッカー界に貢献したり、そういうもので少しずつ返していけたらなという風に思います」と支えてくれた人たちへ恩返しする考えを明かした。

「強い鹿児島」を取り戻す日本一。今後はより厳しいマークを受ける立場になるが、今冬の選手権で2004年度の鹿児島実高以来、鹿児島県勢21年ぶり、神村学園にとっては初優勝、そして夏冬2冠にチャレンジする。

 今回のインターハイではともにU-18日本代表の中野とMF福島和毅(3年)に加え、寺田、DF今村太樹(3年)、竹野、佐々木、FW徳村楓大(3年)、日高と8選手が大会優秀選手に選出されるなど、個人としての評価も高めた。決勝では交代出場組も奮闘し、厚い選手層で初優勝を果たしたが、中野は「チャレンジャーとして頑張っていきたい」。9月再開のプレミアリーグや昨年敗れている選手権予選へ向けて挑戦者として向かっていく考えだ。
 
 有村監督は「今日からまた同じく14泊ぐらいの遠征が始まりますけども、しっかり鍛え上げて冬に備えたいという風に思います」。夏の王者は細部や規律、我慢強さを大事にしながら、激戦区・鹿児島、全国大会を勝ち抜く力を身につける。

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(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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