「フィールドで出るのは厳しい」4年前真摯に受け止めたGK転向、横谷悠が甲府市立城南中に全国切符もたらす完封劇

GK横谷悠
[8.9 関東中学代表決定戦 サレジオ学院中 0-1 甲府市立城南中 かもめ]

 ほぼハーフコートゲームの後半、GK横谷悠(3年)が果敢な飛び出しで甲府市立城南中のゴールを守り抜いて全国中学校サッカー大会(全中)出場に大きく貢献した。

 甲府市立城南中は前半に先制したものの、試合を通じてサレジオ学院中が主導権を握る展開だった。後半に入ると相手の攻勢が強まっていく。サイド攻撃を中心に攻め込まれる中、甲府市立城南中の守備陣が奮闘。GK横谷は何度もペナルティエリア内のルーズボールに素早く反応し、シュートを打たれる寸前でキャッチするなど、集中したプレーでゴールに鍵をかけ続けた。

「前の人が頑張って一生懸命守って、攻めて、クリアしていたので絶対ゴールを死守しようと、無失点に抑えようと頑張っていました」(横谷)

 最大のピンチは後半24分。縦パスを受けた相手選手がペナルティエリア内中央を突破し、横谷と1対1になった。それでも「1対1は自分の得意分野としてやっているところなので思いっきって飛んで足を広げて、どこかに当たればいいかなという感じで飛び出しました」。シュートは右足に当たって枠の外へ。チームはその後も横谷を中心に集中した守備を続け、虎の子の1点を守り抜いた。

大ピンチを右足で防いだ

 この試合のヒーローになった守護神だが、GKを務めるようになったのは小学5年生の途中からだという。もともとフィールドプレーヤーだったが、「フィールドであまり上手くできていなくて、大会でコーチに『お前はちょっと今フィールドで出るのは厳しい』と言われて。キーパーが足りていなかったのでやってみないかと」新境地に挑戦。経緯としては悔しさを感じるものだが、「フィールドでうまくいっていないのは事実だし、ここでキーパーにポジションを変えて頑張っていこう」と真摯に受け止めて転向した。

 そうして歩み始めたGKの道で全国大会の出場を導く大活躍。横谷は「自分がセーブして勝てたらすごい嬉しい」とこのポジションの楽しさを口にし、全中の出場決定に「何も言葉が出てこないというか…すごい嬉しいです」と喜びを噛み締めた。

 今月中旬にはさっそく全中が開幕する。横谷は「もっと厳しい戦いになると思う」と見据えつつ「やっぱりキーパーなので無失点を大切にしていきたい」と力を込め、大舞台でもゴールを守っていく。

(取材・文 加藤直岐)


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Source: 大学高校サッカー

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