日本代表の名波浩コーチが13日、2023年1月の就任後初めて報道陣の囲み取材に応じ、これまでの2年8か月を「僕自身がポンコツなのが一番印象に残っている」と厳しく振り返った。カタールW杯後の第2次森保ジャパン発足時からチームに加わり、攻撃を担当。「点が取れない試合があったり、攻撃が流暢にいかない時があるのは全て僕の責任だと思う。監督に任されている仕事を全うしているかという点でポンコツという表現をさせていただいた」と語った。
森保一監督については「日々、凄さも人間味も感じている。ポイチさんが率いるチームがなぜ強くなっていくか、なぜ我慢強いか、なぜ粘り強いかがすごくわかった気がする」と称賛。一方、報道陣から「コーチとして一番充実していた試合」に関する質問が飛ぶと「“なし”にしておこうかな」と答え、「コーチとして反省材料がいっぱいというゲームはたくさんあった。なぜあそこでこういうふうに言えなかったか、動けなかったかというのは毎回感じている」と課題を口にした。
コーチ陣の仕事としては試合中の戦術に焦点が当たりがちだが、「(森保監督と)『それはここではやめておこう』とか『何試合後に使えるかもしれない』というコミュニケーションが取れていて、あえてやっていないというのもある」という。その一方で「その前段のアプローチで上手く言えていない、上手く促せなかったということが反省材料として多々ある」と反省点を口にし、「満足した試合は1試合もない。点が入った時はめちゃくちゃ喜んでいるけど、過剰に納得した試合は一つもない」と振り返った。
もっともその中でも日本代表は、北中米W杯アジア最終予選で最多30得点を奪い、7勝2分1敗の首位で突破。過去の予選でも例のない快進撃を演じた。名波コーチは「監督がおっしゃること、やりたいサッカーの具現化を目指して、自分の語彙力と映像の力、それからピッチでの絵合わせ等々で、すり合わせがうまくいかなかったら結果が出ないんだなというのはアジアカップで痛い目を見た。この反省がW杯予選に大きく活きたと思っている」と述べ、躍進の背景にはベスト8敗退に終わったアジア杯の教訓があったことを明かした。
敗れた準々決勝のイラン戦後には、一部選手から「もっといろいろなものを提示してほしい」とコーチ陣への注文が上がっていたが、アプローチも変化している様子。名波コーチは「(W杯までの)時間軸をもとにどう小出しにして提示すれば逆算して7月19日の決勝に合わせられるかとやってきたつもりが、アジア杯でいろいろあり、のちに提示が早くなっているふしがある」と明かし、「いまは選手もそれを理解してくれている。ボス(森保監督)も今はその流れでいいよと言ってくれている」と前向きに語った。
9月にはアメリカ遠征でのメキシコ戦、アメリカ戦を控え、残り1年を切ったW杯への準備が本格的に始まる。「ここ2年間以上アジアの相手としかしていない中、この2か国とやれるのはものすごい財産になる。自分たちの現状の物差しも分かるだろうし、開催地・開催エリアでやれるというのを感じながらできるのでネガティブ要素はない」と意気込んだ。
(取材・文 竹内達也)
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Source: サッカー日本代表
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