日本代表の森保一監督が16日、J1第26節の浦和対名古屋戦を視察後に報道陣の取材に応じ、所属先のスタッド・ランスで実戦から離れているMF中村敬斗に言及した。「過程については本人、代理人の意向で動いていると思うのでそこは我々が口を挟むところではない」としながらも、「しかしながら、ケガや体調不良でなければ一人の選手としてクラブでピッチに立ってプレーしているところを見たい思いでいる」と復帰を期待した。
複数の国内外メディアによると、中村は今季リーグ・ドゥに降格したクラブからの移籍を申し出ているが、クラブが売却に応じない状態。クラブと対立関係にあるという報道もあるなか、今月11日の開幕節アミアン戦では帯同メンバーから外れていた。
渦中の中村の動向は北中米W杯まであと1年を切った日本代表にとっても大きな懸念要素だ。中村は第2次森保ジャパン初陣の2023年3月にA代表に初招集されて以降、負傷していた同年11月のW杯2次予選を除いた全活動に参加しており、実戦離れが長引いたり、コンディションを落としたりするとなれば戦力的に大きな痛手となる。
そうしたなか、森保監督は9月のアメリカ遠征での招集についても言及し、「判断としてはプレーしている選手を優先して選んでいくべきだと思う」と中村の招集見送りを示唆。「これまでの活動の中では代表で結果を出している、存在感を発揮している選手はプレーしているカテゴリを問わずに招集してきているところがあるので、彼の現状の中で彼にとって、代表にとって招集したほうが良かったら招集しようとは思うが、基本的にはコンディションが良く、所属チームでコンディションを上げている選手を招集しようと思っている」と見解を述べた。
さらに森保監督は今夏の移籍が実現し、新たに環境が変わった選手に対しても、所属チームでの適応を進めるために一定の配慮をする姿勢を見せた。「人によってで、そこは全員ではないが、初めての移籍であったり、移籍が絡んで招集することで移籍できない状況になるかもしれないという時には配慮したり、個別に見て判断していきたい」とし、「まだシーズンが始まっていない選手もいるが、これまでの活動を踏まえて、最終予選、6月、E-1の活動のなかで選手を評価して、選手の招集をできれば」と基本方針を示した。
W杯前最後の夏の移籍ウインドーが佳境に入り、選手たちがW杯を目指す舞台が本格的に固まりつつある。それでも森保監督は「まだわからない。これまでも最後の最後まで動いているところがある。まだ移籍市場は動くかなと思っている」と強調。「シーズンが始まってからいきなり移籍というのは過去にも監督として見てきているので、どういうことがあっても対応したいと思っている」と直前まで様子を見守っていく構えだ。
W杯優勝という目標に向け、選手たちに欧州5大リーグやUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)の出場クラブへのステップアップを求める姿勢は今も変わりはない。
「選手たちには常に5大リーグ、チャンピオンズリーグに出られる、チャンピオンズリーグで優勝できるチームを最終的には目指してほしい。それが選手としての価値を上げることにつながっていくし、代表強化にもつながっていくと選手たちには話してきて、話していなくても選手たちは常に高いところを目指して、ステップアップしようとチャレンジしてくれていると思う。残念ながら移籍等々を思ったようにできていない選手たちもいるかもしれないが、それはそれで置かれている所属チームで力を上げていく、レベルアップしていくことをやってもらい、そこを我々はしっかり見て、評価して、招集に向けて常にベストな布陣を組めるようにと考えている。ただ、やはり日本のサッカーがW杯で優勝するため、世界トップトップの力をつけていくためには選手たちにはこれでいいではなく、最高のところを所属チームでも目指してチャレンジしてほしいと思う。日本人の選手たちはここ数年だけでも、世界的にも評価されて、これだけ世界の市場に入っていっている。トップトップのリーグでも日本人はやれるということを示してくれているので、選手たちには常に高みを目指してチャレンジしてほしい」
そう熱を込めて話した森保監督は最後にJリーグの選手たちにも目を向け、「その中でJリーグが世界トップトップのリーグに負けないくらいに熱い戦いをしてほしい。国内にはまだまだたくさんのいい選手がいるということをE-1の舞台でも選手たちは見せてくれたし、6月の代表戦でも見せてくれたので、選手たちにはどんどん自分たちの力を所属チームで、Jリーグで熱い戦いを見せてアピールしてほしい」と期待を語った。
(取材・文 竹内達也)
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Source: サッカー日本代表
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