[8.25 クラセンU-15決勝 FC LAVIDA 1-2 神戸U-15 SSAP天然]
ヴィッセル神戸U-15GK田口創一朗(3年)が8試合2失点の堅守を支え、16年ぶりとなる日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会優勝に貢献した。3年前のリベンジマッチとなった決勝は気合を入れつつも目の前に相手に集中し、最少失点に抑えた。
田口は3年前、ヴィッセル神戸U-12の一員として国内外のU-12世代強豪チームが参加したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022に出場していた。決勝まで勝ち残るとチャンピオンの座を争ってmalva future selectと対戦。相手にはその後FC LAVIDAに加入する選手が多く所属していた。
田口はそうした決勝でゴールを守るも、現在FC LAVIDAでエースのFWオツコロ海桜にゴールを許すなど2失点。2-2で突入したPK戦を8-9で落として準優勝に終わり、試合後には顔を両手で覆って肩を落とす姿があった。
その決勝から同じ日付で丸3年が経過した2025年8月25日、田口は神戸U-15の守護神としてクラセンU-15決勝のピッチに立った。「ジュニア(U-12出身)の選手とかと一緒に、ワーチャレのときに負けたから絶対に勝とうと結構意気込んでいました」。田口はそのようにモチベーションを高めたというが、「まずは相手はmalvaじゃなくてLAVIDAだし、ちゃんと相手を見て味方を信じて自分のことも信じてやることを意識して試合に入りました」と気合を空回りさせることなく大一番に臨んだ。
もっともこの試合では開始4分に先制点を許す展開に。それでも田口は「続けて失点したりして崩れるのが絶対嫌でした。失点した後からずっと声をかけ続けてまずは守備からちゃんとやっていって、そこから自分たちのリズムを作っていけるようにコーチングをしました」と顔を上げてプレーする。すると神戸U-15が主導権を握るようになり、前半のうちに逆転に成功。後半には田口がゴール隅に向かうシュートを右手一本で弾く好セーブもあり、2-1のまま逃げ切って優勝を果たした。
「みんなで勝ち取った最高な優勝ができたと思います。チーム全体で走ってちゃんとスライドもして、前線の選手もちゃんと空いたスペースをカバーしてみんなで連動して守備できた。ディフェンスラインの弾き返す能力だったりとか1対1の強度とか球際とかが安定してきたから、この少ない失点数で優勝できることに結びついたと思います」
3年前に涙を飲んだ田口は「最初は全然技術が足りなくて突き放された部分もあったんですけど、技術の向上というのは自分の成長のポイントだと思う」とU-15昇格後の2年半を振り返る。「戦術理解で分からなかった部分も分かってきて、チームが何を狙っているのかとか何がしたいか、何を意識してどう結びつけていけばいいかとか、そういう点からもサッカーを見られるようになったのが大きい」と成長を重ねて日本一の守護神になった。
GKを始めたきっかけはロシアワールドカップだという。日本代表がポーランドと対戦したグループリーグ最終節、前半32分のピンチをGK川島永嗣が右手一本で凌ぐビッグセーブ。当時小学2年生の田口は「それを見てかっこいいと思って、その時期にいたチームで『キーパーは誰にする?』みたいになって川島選手のセーブがあったので『ちょっとやってみたい』と言ってやったら楽しかった」とGKに興味を持ち、GKとしてサッカー人生を歩むことを決断した。
「あの試合を見ていてよかったなと思うし、そこでキーパーを始めてから積み重ねがあって日本一に繋がったと思います」。目標はやはり川島のようなGKであり、現在の日本代表で守護神を務めるGK鈴木彩艶も憧れ。田口は「これからもどんどん成長していくために、努力を積み重ねてより良いキーパーになっていきたいと思います」とさらなる成長を誓った。
(取材・文 加藤直岐)
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Source: 大学高校サッカー
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