ステップアップ初年度で順調なスタートを切っている。日本代表DF渡辺剛(フェイエノールト)は今季のエール・ディビジで開幕8試合連続フル出場を果たし、チームも7勝1分と好調を継続。9日の練習後、報道陣の取材に応じた28歳は「試合に出られていることと、リーグで負けていないというところは自信を持ってやれている」と手応えを口にした。
欧州カップ戦の舞台でも貴重な経験を積んでいる。
過去2シーズンのゲントではUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)に出場していたが、今季はUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)プレーオフとUEFAヨーロッパリーグ本戦に出場。欧州CLプレーオフではフェネルバフチェに敗れ、ELでも2連敗中と苦しい戦いは続くものの、「リーグとヨーロッパで求められることが違うので、力の発揮の仕方、自分の得意なプレーをどう出すかを常に考えながらやっている」という日々は成長の土台となっている。
特に試されているのは自身のマッチアップで負けないというだけでなく、チーム全体で相手を抑え込むための統率力だ。
「自分のところから決められるシーンはあまりないなか、チームとしてどう守るか。それはこの代表でも大事。全体の守り方が自分の評価につながるというのを新しくステップアップして感じている。まずは自分のところを抑えるのも大事だけど、どうやって守備を構築しながら自分以外のところを守れるかが自分のタスクだと思う。そこは意識しながらやっている」
日本代表としても9月のメキシコ戦で国際Aマッチ5試合目を刻んだばかりだが、経験豊富なCBに負傷者が相次いでいるため、統率役が求められる立場。充実感を持ちながらその役割に向き合っているようだ。
「もともと守備を人の責任にしたくないと思っていて、自分が統率して守りたい気持ちがあった。それを得意として今までやってきたなか、それが代表でも発揮できるような立場というわけではないけど、自分もそういうのを出せるようになってきた。結果を出さないといけないなか、失点の部分は自分の責任にもなるし、そういうところを自分で組織できるのはプラスになると思う」
すでに周囲とも積極的なディスカッションを進めているようで、例えば守備のラインコントロールに関しては、細かい部分にまでコミュニケーションが行き届いている様子。渡辺が例に挙げたのは、相手がロングボールを蹴ってくる場合のラインの高さの設定だ。
「相手が蹴らないチームだったり、メキシコ戦のように裏まで蹴らないで自分たちの前に落とすチームならハイラインを取って守備をしてもいいけど、アジア杯の負けてしまったイラン戦などがそうだけど、自分たちの裏までボールを飛ばしてくる場合は、ハイラインを取る場合と取らない場合をしっかりしないと、いらない失点で処理が難しく、そのこぼれを決められてしまう試合展開が出てくる」
そうしたなか、10日のキリンチャレンジカップで対戦するパラグアイ代表は「裏までボールを落としてくるチーム」という分析。「しっかり相手のロングボールに対応しながら上げすぎず、自分たちの間合いのラインでやれるかどうかが大事だと思っている。そういうところを統率しながらやりたいし、守備ラインではコミュニケーションを取っているので、ハイラインの時とブロックを敷くときが大事だと話している」と展望した。
(取材・文 竹内達也)
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Source: サッカー日本代表
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