[10.16 国体少年男子3位決定戦 東京都 2-1 広島県 OSAKO YUYA stadium]
今大会、東京都は4-3-3、4-4-2のフラット、ダイヤモンド、そしてこの日は3-4-3システムにもチャレンジした。「個人戦術がしっかりとしているから、それを掛け算して行こう」という石川創人監督(東京農大一高)の下、6チームから選抜された選手たちが「単独チームじゃない戦い方」で育成と成果。準決勝をPK戦で落として目標の日本一を勝ち取ることはできなかったが、それでも3位決定戦で逆転勝ちし、今大会4勝目をマークした。
この日は広島ユースの9人が先発した広島県との戦い。けが人が出ていた影響によって、急遽3-4-3で試合をスタートしたが、上手く噛み合わないと見るや4バックへ移行して立て直した。
前半こそ0-1で折り返したものの、指揮官の檄も受けて臨んだ後半立ち上がりに2得点。4分、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)の左CKを大外のDF坂井倖大(東京Vユース、1年)が頭で決めると、8分には再び仲山の左CKから、こぼれ球をMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)が右足で叩き込んで逆転した。
交代出場で鋭い動きを連発したU-17日本代表FW前田勘太朗(横浜FCユース、1年)やDF今井宏亮(東京Vユース、1年)、GK長谷川宗大(三菱養和SCユース、1年)が後半にチームのギアを上げ、勝利への執念の部分でも相手を上回った。
東京都、U-16日本代表でも主軸の仲山は、「(準決勝で茨城県に)負けたことをしっかりと認めて、みんなテンションを保って今日の試合強い気持ちを持って、東京のプライドを持って戦えたことが逆転に繋がったと思います。東京都の強みのセットプレーで点を取れたのが後半良かったかなと思います」と勝利を喜んだ。
今大会の上位には鹿島ユースのメンバーを中心に優勝した茨城県や、広島県、東京都が準々決勝で対戦した徳島県(徳島ユースが中心)など1つのチームを中心としたメンバー構成、同チームをベースとした戦い方で挑むチームが食い込んでいる。その中で、東京都は3位決定戦も、FC東京U-18や東京Vユース、三菱養和SCユース、川崎F U-18、横浜FCユース、東京実高の選手たちが力を結集して勝利。石川監督は「タスクを理解しながらチャレンジしてくれた」と感謝する。
仲山は東京Vユースや年代別日本代表でのポジションよりも後方のボランチなどでプレー。その正確なボールタッチと配球力を発揮し、ボールに触れる回数を増やした3位決定戦でもゲームメーカーとしての力があることを証明した。だが、満足はしていない。
「監督からはゲーム作るのもそうですけれども、決定的な仕事も任されていたので、ゲームを作ることはできたかもしれないですけれども、(決定的な仕事をするという点で)期待に応えることができなかったのは、今大会の反省点かなと思います」と自己分析する。
今回の経験も糧に今後の活躍に繋げる考えだ。仲山は「年齢はサッカー関係ないのでトップの練習に参加して、そこで結果を出して、昇格を掴むだったり、あとは今年ユースで目標にしているプレミア昇格だったり、そこを自分の点とか自分のチャンスメークでチームを勝たせられて昇格できたら良い評価を得られる。自分の良いところは起点になってチャンスメークするところなので、リーグ戦でももっと発揮して、あとは体力。自分はあると思うので、攻守に置いて豊富に走って、戦って、一番見る人を魅了する選手になれば良いと思います」と意気込んだ。
今回の東京都について、仲山は「とても良いチームでした」。そして、「1位を取れなかったことは反省して、3位取れたので胸張って帰れればいい」と語った。また、石川監督は各選手へ向けて「ここでの経験を活かして自チームで活躍して欲しい」。そして、国体で計5試合を戦った選手たちだけでなく、惜しくもメンバーから漏れた選手たちが悔しさをバネに成長することを期待する。選手たちにとって大事なのはこれから。東京都の選抜チームで得たことや悔しさも力に飛躍を目指す。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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