[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.12 選手権神奈川県予選2回戦 平塚学園高 2-3 横浜商大高 日大藤沢高G]
「3年生ともっと」の思いと「振る」姿勢を表現。2年生レフティ、MF鈴木智喜(SCH.FC出身)の一撃が横浜商大高を勢いづけた。
インターハイ予選で敗れている平塚学園高とのリベンジマッチは前半、自陣で守る時間の長い展開に。横浜商大は何とか凌いでいたものの、先制され、1点を追う展開になった。だが、前半33分に鈴木が得意の左足で同点ゴール。ミドルレンジでパスを受けると、対峙したDFを半歩ズラし、左足を振り抜いた。
DFの股間を狙って放ったという一撃は鋭い弾道を描き、ネットに突き刺さった。「マイナスのボールが来て、ターンして、足振れば何か起こるんで振って。先週、『足を振る』っていう練習をいっぱいしていたんで、練習通りかなっていう感じです」。平塚学園に敗れたインターハイ予選や神奈川県3部リーグでは、勇気を持ってシュートを打てなかったことが課題に。鈴木が勇気を持って左足を振ったことが同点ゴールに結びついた。
司令塔のMF西田元輝(3年)が「足元が凄く上手い選手」と評する鈴木のゴールはチームメイトに勇気を与えた。この後、西田、MF清水大翔(2年)も思い切りよく足を振ってゴール。また、安達伸彦監督は「もうほんとにチームのためにっていうところでハードワークしてくれて、ゴールも決めてくれて」と鈴木が以前と異なる姿勢で、チームのために戦い抜いてくれたことを喜んでいた。
右サイドでボールを収めて起点となり、球際、守備で身体を張った。その鈴木は、3年生のために、という思いも強かったようだ。この2回戦を控えた練習後、CB甲斐陽向ら2年生が「3年生ともっとサッカーをやりたい」とメッセージ。この試合、鈴木は万全なコンディションではなかったが、3年生のために身体を動かした。
「2年生で出ている人は全員、その責任感を持って戦っています。3年生が最後っていうのもあって、自分はまだ2年生だけど、その3年生に対する責任感だったり、3年生がもう大学でサッカー続ける人も少ないっていう中で、この大会で3年生と最後まで長くサッカーやれたらなって思って戦いました」(鈴木)
右サイドからのドリブル、左足シュートなどが武器の鈴木は「ダニ・オルモとかコール・パーマーとか、ヤマルとか、上手い左利きの右サイド」のプレーヤーが目標。3回戦以降も果敢にゴールを目指して左足を振り、3年生たちと一日でも長くサッカーをする。




(取材・文 吉田太郎)
●第104回全国高校サッカー選手権特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中
Source: 大学高校サッカー
コメント