
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 関東大学L2部第19節 法政大 2-1 東京農業大 城山G]
またしても劇的なゴールを奪って法政大を救った。MF大畑凜生(4年=矢板中央高/清水内定)がラストプレーのCKで勝ち越し点。ドラマチックな4試合ぶりの勝利に「忘れられない試合になった」と喜びを示した。
ここ3試合を1分け2敗と低調な法政大は首位から3位に転落して迎えた今節、東京農業大と対戦。先制したものの同点とされて1-1のまま後半アディショナルタイムに突入した。それでも後半45+6分、右CKをDF薬師田澪(4年=大津高)が頭で合わせてゴール方向に叩くと、ゴール前にいた大畑が反応。右足ボレーシュートでゴールに突き刺して劇的な勝ち越し点になった。
「(CKが)アウトスイングのボールでキーパーがそこまでアタックしてこないのはわかっていた。そこで薬師田が競り勝ったところで、自分がスッと相手の前に入れた。相手を押さえながらだったけれどボールがきた瞬間は『ここしかない』と思って自然と足が出た」
得点後にキックオフは行われずそのままタイムアップとなり、法政大がまさに最後の最後のところで勝利をもぎ取った。4試合ぶりの白星で2位に浮上したが、大畑は前節(vs産業能率大△1-1)も後半アディショナルタイム3分に同点ゴール。シーズン佳境に勝負強さが光るものの、本人は「それまでに色々な選手が体を張ってくれたり、球際を戦ってくれたりしていたからああいったチャンスが転がってきただけ。たまたま最後に自分が点を取っただけ」と謙虚に語った。
大畑は得点後、「気づいたらそこにいた」と応援に回った部員が陣取る左サイドのコーナーフラッグ付近まで一直線。そこに雪崩れ込むように部員が一斉に駆け寄ってきた。清水エスパルスへの加入が内定している大畑だが、2年生の終盤まではBチームで活動。応援に回る悔しさも十分理解しており、そうした仲間と喜べたことを感慨深く語る。
「自分も1年生や2年生のときは、すごく悔しい思いとか自分が出たいという気持ちを押し殺して応援していた。今日は結果的に自分がゴールを決めた形になったけれど、応援している選手もプレーしている選手も諦めずに戦ってくれた。ホームで劇的な勝利ができたことでまた良い波に乗れるきっかけになればと思うし、(ゴールは)本当に仲間のおかげです」


ボランチを主戦場としてきた大畑は清水エスパルスでJ1デビューを飾っており、プロの舞台ではサイドバックや3バックの一角にも入った。また法政大のBチーム時代にはFWを務め、この試合はトップ下で先発しながら後半途中からはボランチに移動。4年間の大学サッカーで一気にユーティリティ性を高めるとともに、異なるポジションの立場からボランチでプレーする選手を見て自分のプレーに繋げてきた。加えて清水で「結局ブラしてはいけないのは戦うところ」と学び、技術の向上に取り組みながらも強度高くプレーしてチームに貢献する大切さを再確認したという。
そうして成長を重ねてきた法政大での日々も、リーグ戦は残すところ3試合。大畑は「4年生としてチームに何を残せるかと言われたら昇格や優勝といった目に見える結果しかない」と力を込め、勝利にこだわっていく姿勢だ。その上で「プレーで楽しさを表現したい」と大畑。今節は苦しい展開でもチーム全体でネガティブな声掛けを避けるように意識していたといい、「ポジティブにやっていけば最後にこうやって笑える瞬間がある」。大畑はプレッシャーがかかる昇格争い最終盤も明るく戦い抜き、1部復帰を置き土産にする。


(取材・文 加藤直岐)
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Source: 大学高校サッカー
 
  
  
  
  
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