U-17日本代表は“普段見ない景色”に苦しみ白星逃す…FW吉田湊海(鹿島ユース)「逆に自分たちをやりづらくさせた」

1点が遠いままタイムアップを迎えた
[11.6 U-17W杯GL第2節 日本 0-0 ニューカレドニア ドーハ]

 U-17ワールドカップに臨むU-17日本代表は、3日にアフリカ王者のU-17モロッコ代表を2-0と破る快調なスタートを切った。

 6日に行われた第2戦の相手はU-17ニューカレドニア代表。初戦でU-17ポルトガル代表に大敗を喫しており、グループの中で力の落ちる相手と目されていた。その評価が間違っていたわけでもないのだが、スコアボードの数字は最後まで「0-0」から動かず、引き分けという決着になってしまった。

 この試合、シュート35本(日本の独自ルールによる公式記録法とは異なり、DFにブロックされたシュートなどもカウントされている)という数字が示すとおり、試合全体として日本が相手を押し込み続けた内容だったのは間違いない。

 FW吉田湊海(鹿島ユース)が「ボール保持ができる試合展開だったんですが、それが逆に自分たちをやりづらくさせたというか、自分たちは『うまくいくと思っている』状態にしてしまっていた」と独特の表現で振り返ったように、「そのうち決められるだろう」という雰囲気のまま前半の45分を空費してしまった。

 廣山望監督が前半途中に選手たちへ「誰がシュートを打つんだ?」と呼び掛けていたように、善くも悪くも強引にゴールを狙うというより、慎重なプレーが多くなっていた。しっかりボールを動かして隙を狙うのは、一般的には間違っていない手法なのだが、世界大会に臨んでくるチームの士気の高さは別格のもの。実際のところ、時間経過とともに難しくなるのは必然だった。

 廣山監督はこうした状況を「なかなか普段見ない景色」と形容する。後方に人数を割いて守りを固められた経験自体はこのレベルの選手たちは誰もが持っているものだが、大柄で足腰が強く、スピードもジャンプ力も優れる選手たちが、戦意旺盛に守りを固める状況というのは、日本での試合で体験できるものではない。また国際試合であっても、親善大会では体感できないだろう。

 引いて守ってくるのにボールを“狩る”ために相手の足が出てくるというのも独特の体験だ。守備的でありつつ、ボールを奪い取る意識は失っていないニューカレドニアの守備に、日本は手を焼き続けた。

「決め切れなくて焦ってきて、後半の10分くらいからみんな本当に焦ってきてしまった」と吉田が振り返るように、点を取れていないという事実がメンタルに影響し、シュート精度も下げてしまった。悪いパターンにハマってしまっていた。

 8年前のU-17ワールドカップでも、いまA代表で活躍するDF菅原由勢やFW中村敬斗といった選手たちを揃えた日本が、やはり守りを固めてくるニューカレドニアに大苦戦。このときも1-1のドローに終わってしまっている。日本人選手の集まりである日本代表が、どうにも苦手とする、勝ち点を落としがちな流れなのは、わかっておくべきなのかもしれない。

 またこの試合もそうだし、A代表におけるカタールW杯のコスタリカ代表戦もそうだったように、実はこうした展開での最悪のパターンは、意識が前に傾く中で失点してしまうことだ。
 
 その点でも「危ないシーンはあった」と指揮官が顔をしかめたように危険な場面を作られてしまったり、カウンターのリスクが高い不用意なボールロストも起きていた。ただ、結局失点することなく、ドロー決着。これで「(得失点差により)突破の可能性はかなり大きくなった」(廣山監督)のも確かで、トータルではポジティブな結果と解釈もできる。
 
 ポルトガルとの第3戦はまったく違う内容になるだろうが、次回大会へ向けて、あるいは今後の大会に向けて、このニューカレドニア戦は、あらためて戦訓としておきたい。

(取材・文 川端暁彦)


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Source: サッカー日本代表

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