[選手権]元Jリーガー指揮官に率いられた創部7年目の九州文化学園、「圧倒するサッカー」実現で初の全国切符!!:長崎

九州文化学園高が初の頂点に!!
[11.9 選手権長崎県予選決勝 九州文化学園高 3-0 創成館高 ピーススタジアム]

 第104回全国高校サッカー選手権の長崎県予選は11月9日、ピーススタジアムで決勝戦を行い、九州文化学園高が3-0で創成館高を下して、初の全国大会出場を決めた。

 今大会は、波乱の展開。夏のインターハイで県予選決勝を戦った長崎総合科学大附と鎮西学院、さらにプリンスリーグ九州1部で3位と健闘している国見といった上位候補が準々決勝で敗退。国見を破った九州文化学園と、前回準優勝で県1部リーグ無敗の創成館の2校による決勝戦だった。優勝した九州文化学園は、Jリーグの長崎などでプレーした有光亮太監督が指揮。佐世保市で活動する創部7年目の新興勢力で、県南勢優位の勢力図に新たな色を加えた。

 決勝戦の序盤は、素早い連続攻撃を見せた創成館が攻勢だった。開始34秒で左から押し込むと、MF菅圭吾(3年)のクロスからMF森永功喜(2年)がミドルシュート。前半8分には、ロングボールのこぼれ球を拾い、FW堤陽来太(3年)がカットインシュートを放った。

 しかし、10分が経過すると、九州文化学園が自陣で落ち着いてポゼッション。ワイドポジションで相手をけん制しながら、横に運ぶドリブルで相手を食いつかせ、マークを外した選手にボールを渡して前進。最終ラインからはDF松本士苑(3年)、中盤からMF辻昂志郎(2年)やMF水田凛太朗(2年)が敵陣にボールを運んだ。辻は「(中盤3人の役割は)相手を偏らせて、スペースを空けて、そこを仲間に使わせるイメージ。今までは、パスを散らすだけだったけど(ドリブルで)運ぶことで、自分がシュートを打てたり、2対1を作れたりするので、意識してやっていた」と振り返った。

 中央で運び、相手を寄せ付け、サイドが空けばアタッカーが突破。少しずつCKの回数が増え、一方的に押し込んだ。前半19分、松本のアーリークロスにFW小島祐杜(3年)が飛び込むと、ゴール前で混戦となるチャンスを創出。前半24分には、小島が左に展開し、水田がクロス。逆サイドへ抜けたボールをMF谷村哲平(3年)が鋭角から狙ったが、枠を捉えなかった。なかなかゴールを割れなかったが、前半30分、相手最終ラインのコントロールミスからボールを奪った水田が、相手をかわしてシュート。後ろ向きでブロックする格好になった相手のオウンゴールを誘発し、先制に成功した。創成館は、主将を務めるGK阿部巧翔(3年)が好守や飛距離のあるキックやスローで会場を沸かせたが、反撃の機会は少なく、前半34分にカウンターから堤が好機を迎えたが、シュートに力がなく、GK山本大誠(3年)に抑えられた。

 後半に入ると、創成館はFW小笹朋史(3年)とMF本田遼(3年)を投入。後半7分、右CKを相手GKがファンブルして混戦になるなど同点のチャンスを作り出したが、決めきれなかった。前半よりも創成館が押し返す場面が増えたが、九州文化学園は、後半22分に右からクロスを入れた場面で、イレギュラーバウンドによる相手のハンドを誘い、PKを獲得。FW小田琉太郎(3年)が左上に決めて勝敗を決定付ける追加点を挙げた。終盤に差し掛かると、創成館が速攻を仕掛け、早い奪い返しを狙ったが、九州文化学園は、試合のペースを渡さなかった。試合終了間際にカウンターから左でパスを受けた小田は、縦に突破して左足のシュートを突き刺し、ダメ押しの3点目。最後まで攻め続け、初優勝を勝ち取った。

 夏以降に「圧倒するサッカー」をテーマに掲げてきた有光監督は「インターハイは、あまりにもゲームコントロールに偏り過ぎた。チャンスの数を倍に増やすと(攻守が入れ替わる)トランジションの数が増える。それを(生まれる場所を)もうちょっと前進させることにトライできたと思う」と得点機を増やす取り組みの成果に手ごたえを示した。全国大会は初挑戦となるが、2得点の小田は「勝つことで九文(キュウブン)の名を広められように頑張りたい」と、全国大会でのさらなる躍進を誓った。

胴上げされる九州文化学園高の有光亮太監督

(取材・文 平野貴也)


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Source: 大学高校サッカー

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