
[11.18 U-17W杯決勝T2回戦 北朝鮮 1-1(PK4-5) 日本 ドーハ]
18日に行われたU-17ワールドカップのラウンド16にてU-17日本代表は1-1からのPK戦でU-17北朝鮮代表を撃破。14年ぶりとなる8強進出を果たした。
試合内容としては決して良かったわけではない。開始早々に先発抜擢のFWマギージェラニー蓮(琉球U-18)のゴールで先行する好スタートを切りながらも、以降の時間帯で狙った試合運びはほとんどできなかった。
廣山望監督は「見事に良い入りをしたんですけど、相手がそれにめげずに矢印を出し続けて、本当に選手も苦しめ続けられた」と振り返る。北朝鮮は伝統的なタフネスに加え、個々の“止める・蹴る”の精度も高く、意欲的な攻守のチャレンジに苦戦を強いられた。
「守備もそうだし、攻撃もスピーディー。ワンタッチで迷いもせずに当てて潜ってくるところ、守備で五分五分のボールを日本の選手が『どっちかな?』って判断してるときに『俺が行く!』と決意するところは、明らかに負けていました」(廣山監督)
相手の戦意旺盛な振る舞いそのものに戸惑ってしまったことも含め、ハーフタイムでの修正も図り、「相手を揺さぶって頑張らせないような展開にしたかったが、本当に最後までこっちがそういう心理的な優位を与えてくれなかった」(廣山監督)。
こうした試合にしてしまった反省は当然あるものの、「(大会を勝っていく中で)どこかであると思っていた」と指揮官が言うように、追いつかれてPK戦にいったこと自体にそこまで大きな悲観はなかった。思うような試合ができない中で、PKでも勝つ。その意識も明確にあった。
むしろ廣山監督はPK戦について「彼らの成長のためには経験しないといけない舞台だと思っていた」とまで思っていたという。自信を持ってキッカーを指名しつつ、「思い切り蹴ってこい」と言って選手を送り出した。
PKの練習自体もチームとして積み上げてきており、FW浅田大翔(横浜FM)が「全員が自信を持って蹴れた」と胸を張ったように、5人全員が成功となった。
指揮官は北朝鮮の蹴り終えたキッカーが、蹴りに行く日本の選手に対して挑発してくるような振る舞いをしたことにも触れ、「PK戦でも邪魔されて、選手も衝撃的だったと思う」としつつ、それを乗り越えて「自信を持って蹴ってくれた」選手たちを称えた。
この件については、指揮官の口から「(ちょっかいを出されたのが)幸いにも鹿島の選手だったので、さすがに鍛えられていた(ので、大丈夫だった)」という冗談(多分)も飛び出していたりもする。


苦戦を強いられたからこそ得られた要素も多いゲームで、「勝っていく中で選手を成長させたい」と常々語っている廣山監督にとっても、収穫の多いゲームだったようだ。
「PK戦も含めて勝つという、勝ちへの執着心は上回れたゲーム。やっぱり、同点に追いつかれた後に凹むんじゃなくて、相手のボールへの執着心と勝ちへの執着心というところで言うと、勝ちへの執着心については最後にこっちがもっと大きくできた。チームが勇気を持ってPKを蹴れた理由かなと思います」(廣山監督)
そしてもちろん、過去最高成績の8強に並んで満足して終わりということもない。また、「(今回の代表メンバーは)中学時代とかに全国大会のトーナメント戦で優勝しているような子が多いので、1試合1試合『勝つでしょ』という感じがある。それはPK戦も含めて。そこは大きいですね」とも言う。
そしてもちろん、「(北朝鮮戦で)執着心は出したけど、サッカー的にはなかなか上回れなかった」ことを踏まえ、「次の相手にはそれ(サッカーの内容で上回ること)をやりたいなと思っています」と、21日15時半(日本時間21時半)から始まるU-17オーストリア代表との準々決勝で躍動することを誓った。
(取材・文 川端暁彦)
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Source: サッカー日本代表


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