[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.29 高校選手権岩手県予選準決勝 遠野3-0盛岡中央 いわぎんA]
一生忘れることのできない誕生日になったはずだ。この日18歳になったMF菊池遥大(3年)が、「公式戦では初めて」だという1試合2ゴールを記録。遠野高を3年ぶりの決勝へと進出させた。
“エンコウ”で選手権を戦うことが夢だった。憧れたのは幼少期、9歳離れた兄が、遠野高のユニフォームを着て颯爽とプレーする姿に、将来の自分を重ねた。この日は両親とともにお兄さんもスタンド観戦。家族にとっても忘れることが出来ない日になった。
菊池遥自身は、“復帰戦”にもなっていた。佐藤邦祥監督も「ゴール前に顔を出すところなどアクセントを必ずつけてくれる選手なので、いてくれないと困る選手」と絶大な信頼を寄せるボランチだが、9月23日の県リーグ最終節で膝を負傷。リハビリ期間に入っていた。
しかし高校選手権を欠場するわけにはいかない。チームの心臓としての責任感が、リハビリを加速させると、 10月21日の準々決勝・盛岡誠桜戦に途中出場。そして準決勝の盛岡中央戦では先発復帰と順調な階段を上っていた。
本人が「筋力的にも体力的にも落ちていた」と振り返った通り、後半途中に足をつらせて途中交代した。ただ2得点という結果が残せたことは最大の良薬。コンディション調整を更にはかどることになりそうだ。
「優勝して全国で戦いたい。インターハイで悔しい思いをしたので、もう一回全国で戦いたいなと思います」。憧れた兄らの世代も立てなかった全国へ。9年の時を経て、“エンコウ”の中心選手になった少年が、夢舞台へと導く。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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