[11.11 選手権香川県予選決勝 高松商高 0-1 大手前高松高 香川県総合運動公園サッカー・ラグビー場]
第102回全国高校サッカー選手権香川県予選決勝が11日に行なわれ、高松商高と大手前高松高が対戦。FW山村音喜(3年)のゴールによって大手前高松が1-0で勝利し、3年ぶり3回目の全国大会出場を決めた。
本格強化9年目の2019年に選手権初出場。翌2020年にも全国行きを果たし、常連校の仲間入りを果たすかと思われた大手前高松だが、昨年、一昨年は2年連続で涙を飲んだ。連続出場を果たした先輩たちに憧れ、門を叩いた今年の3年生は一度も全国の舞台を踏んでいないため、「他のチームよりも人一倍全国への想いが強かった」(MF増田凌、3年)。
ただ、前半は決して満足の行く試合展開とは言えなかった。高松商は従来の4バックではなく、3バックでスタート。主将のDF柴村泰駕(3年)を中心に守備を固めて、カウンターからゴールに迫るのが狙いだった。10分にはFW星野滉成(2年)が胸トラップでおさめたボールから、MF徳田一輝(2年)がロングシュートを放つなど入りは上々だったと言える。
対する大手前高松は攻め込んでも相手に跳ね返されるため、狙い通りのポゼッションができなかった。後方でボールを動かしはするものの、間延びしたせいで重心が低いのが前半の課題。「いらない所にポジションをとって、必要な所に人が足りていない」(川上暢之監督)状態だったため、相手ゴール前に侵入しても、決定機には至らない。19分には右サイド高い位置でスローインを獲得。DF東山諒大(3年)が大きく投げ入れたこぼれ球をMF竹内蒼一朗(2年)が狙ったが、ミートできずスコアレスで前半を終えた。
後半に入ると高松商が攻撃のギアを入れる。左ウイングバックに入ったMF秋山慧汰(3年)が力強いドリブルを披露したほか、MF櫨林康生(2年)も3列目から積極的にスペースへと飛び出し、攻撃を活性化していく。後半2分には秋山が仕掛けたこぼれ球から、櫨林がゴールを狙うなど試合の流れを完全に引き寄せた。
悪い流れを断ち切りたい大手前高松は10分にMF洲脇海輝(3年)を投入し、4-1-4-1から3-4-2-1にシステム変更。高松商とのミラーゲームに持ち込んだ結果、適切な位置に人員が配置され、展開が好転していく。特に良くなったのは中央の厚み。2ボランチと2シャドーの4枚でセカンドボールを拾って攻撃に繋げた結果、自分たちの時間を増やしていく。
25分には左サイドから東山がロングスローをゴール前に展開。混戦から粘り強くゴールを狙ったが、得点には至らない。29分には右中間で得たFKをDF林勇仁(2年)がゴール前へ。こぼれ球から打ったMF糸瀬勇哲(3年)のシュートはDFに阻まれたが、FW山村音喜(3年)が左足で押し込み、均衡を崩した。
「セットプレーもデザインしてきた。いつもは金曜日にしか練習しないのですが、今週は水曜日から毎日練習して、ロングスローの配置まで拘ってきた。そこでチャンスが生まれたので良かったです」。増田が安堵の表情を浮かべたようにリスタートは準備してきた形。このゴールが決勝点となり、3年ぶりの全国行きを掴み取った。
選手権への帰還を果たすため、今年の大手前高松が拘ってきたのが選手同士の距離感。これまでとは違って、飛び抜けたタレントがいないため、組織で戦うため選手同士が近距離でパスを繋ぐのが狙い。良い立ち位置が取れていてればミスが起きても、すぐ奪い返せるのも利点だ。プリンスリーグ四国が開幕した当初は良い距離感に立てていなかったが、夏以降は選手の理解が深まり、調子は上向き。後期に入ってから4勝1分1敗と白星が先行した状態で、選手権予選に挑めた。
チームに確かな手応えを感じているため、選手は全国でどこまでできるか楽しみにしている。勝って満足している選手は一人もいない。「今は全国に行けて嬉しいけど、ここがゴールではない。自分たちは全国ベスト8という壁を乗り越えるために今までやってきた。今日は優勝の余韻に浸るけど、まだ明日から切り替えたい」。東山の言葉通り、すでに全国での躍進に目は向いている。
(取材・文 森田将義)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー
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