11月の県決勝で指を骨折、復帰は一週間前も…選手権注目の守護神・前橋育英GK雨野颯真は好セーブ連発

前橋育英高GK雨野颯真(3年)
[12.29 選手権1回戦 前橋育英 3-1 立正大淞南 ニッパツ]

 試合終了後、グローブを脱いで整列した守護神の右手指には包帯が巻かれていた。前橋育英高のキャプテン・GK雨野颯真(3年)は点差を守り切り、勝利に貢献。11月の予選決勝で指を骨折していたが、本大会一週間前に復帰して大舞台に立った。「(包帯は)試合に入ると違和感はなく、プレーに影響はない」と復調をアピールした。

 高校世代ではすでに名の知れた存在だ。昨夏のインターハイでは2年生でレギュラーとして優勝を経験。世代別代表にも選出され、名実ともに守護神としてチームを支えてきた。

 経験豊富な守護神は、選手権初戦という舞台にも物怖じしない。前橋育英は前半18分にFWオノノジュ慶吏(2年)が先制ゴール。だが、その2分後にピンチを迎える。ゴール前まで進入を許すが、2度のシュートを防いだのは雨野。187cmの巨躯を生かしてシュートコースを阻み、ピンチをしのいだ。

 後半13分に失点を喫したが、前橋育英はそのまま点差を守り切り、3-1で勝利。雨野は「仕上がりも良くなってきている」とチームの完成度に胸を張った。

 昨夏のインターハイ優勝は当時の3年生主体のチームで、2年生の雨野は現チームでは唯一のレギュラー経験者だった。その経験値ゆえに精神的支柱としてチームを支えてきたが、11月12日の群馬県予選決勝・健大高崎高戦(○2-0)で右手指を骨折。本大会出場まで1か月半という短い時間のなかで、治療を余儀なくされた。

 それでも、雨野はできることに目を向ける。「自分の課題はビルドアップやロングパスの質。キックで状況を変えられるようなGKになりたい」。キックの練習に専念することで、短期間でのレベルアップに努めた。

 選手権開幕の一週間前にようやく復帰。初戦でゴールマウスに立ちはだかり、勝利を手にした。試合後には右手指を氷で冷やしていたが「痛みはないんです。予防のアイシングです」。プレーに影響はないことを強調する。

 31日には神戸弘陵高(兵庫)と対戦。もちろん、雨野も出場に前向きだ。「まだまだ今日みたいな試合を通して課題もあるが、(2回戦まで)1日あるので、突き詰められたらいい」。自身の怪我の様子は気にせず、選手権の頂点だけを見据えていた。

(取材・文 石川祐介)


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Source: 大学高校サッカー

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