[1.4 選手権準々決勝 神村学園 3-4 近江 浦和駒場]
世代の顔であり続けたレフティの高校サッカー生活は、悲劇的な幕切れとなった。選手権準々決勝敗退後、自身のプレーから決勝点を喫した神村学園高DF吉永夢希(3年=ソレッソ熊本)は「点を取ったらしっかり守ろうというのは全員で話していたけど、それができずに自分のほうで失点してしまった。チームに迷惑をかけてしまった」と悔やんだ。
守勢のまま3-3で迎えた後半アディショナルタイム2分だった。右サイドを攻め込まれた神村学園はゴール前にクロスを入れられると、折り返しのボールを吉永が触れたが、クリアし切れずに相手選手のもとへ。ここからMF鵜戸瑛士(3年)にシュートを打たれ、決勝点を決められた。
1失点目でも自身のサイドから失点を喫していた吉永は「自分の力不足をゲームの中で感じた」と反省。チームは前回大会でも準決勝の岡山学芸館高戦で3-3のシーソーゲームに持ち込まれた結果、PK戦で敗退しており、「去年と同じように追い越したのに追いつかれて、最後に追い越されてという形で、こういうゲームに勝てなかったことが悔しい」と唇をかんだ。
前半22分には左サイドの角度のないところから意表を突いたシュートを決め、一時は逆転の立役者となった。しかし、これも嬉しいゴールとはならなかった。
「キーパーがちょっと出ていたので速いボールというか、キーパーに当てて入るようにというのを狙った。でもあの一発だけだった」。大半の時間帯は徹底的に縦突破とクロスを封じてきた相手の対応に苦しみ、「もっとレベルアップしないと海外では戦えないので、個の能力をつけていきたい」とさらなる成長の必要性を痛感していた。
今年は春のAFC U17アジアカップで連覇に貢献し、秋のU-17ワールドカップにも出場するなど、大きな国際経験を積み重ねた吉永。そこでのポテンシャルが評価され、卒業後はベルギー・ゲンクに加入することが決まっており、2月22日に18歳の誕生日を迎えて国際移籍が解禁され次第現地に向かう。
同じく“高卒即海外”を実現させた先輩のFW福田師王(ボルシアMG)の後を追いつつ、「師王さんは対策されながらも点を取ってチームを勝たせてくれる選手だったけど、自分は勝たせられる選手ではなかったのが師王さんとの違い」という課題も見据えながらの海外挑戦となる。
もっとも高校年代で全国出場経験のない選手が多くA代表に上り詰めていることからも証明されているように、トップレベルへの旅はここからが本番。「(本職の)左サイドバックでこの大会を経て、ここは通過点だと思っている。この大会が良かったなと思えるように、財産になるように今後海外で結果を残したい。A代表が目標なのでしっかり入り込めるように頑張りたい」。同世代の誰よりも厳しい道で、己を鍛え上げる日々に挑んでいく。
(取材・文 竹内達也)
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Source: 大学高校サッカー
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